プロローグ
ただの主婦です。
主婦の毎日は忙しい。
朝は洗濯に始まり、朝食の用意をしつつパパと息子の弁当を作る。
「時間よ〜 ご飯食べちゃって〜」
すると、出会った頃よりボリュームの増えたパパが、寝癖のついた髪を掻きながら椅子に座る。
「はい、お味噌汁」
「ありがと、いただきます」
ズズズと啜るのを横目に、息子を叩き起こす。
「こら! いつまで寝てんの早く食べなさい」
「うー 鬼婆」
毎朝起こしてもらって、この言い草。小さい頃は可愛かったのに。
「そんな事言っていると、お弁当、覚えてなさい」
「お母様、おはようございます」
そう、母の怒りはお弁当に反映する。
おはぎ弁当や500円玉弁当は効果なかったので、食パン(のみ)弁当にしたら堪えたらしい。
「早く食べなさい」
「ウィース」
「まったくもう」
すると、洗濯が終わった音がした。今日は天気がいいから外に干していける。洗濯物を干し始めると、2人とも朝ご飯を食べ終えて出かける支度を始めた。
「お弁当、忘れないでよ」
「ああ」
「ほーい」
干し終わると洗い物、2人を送り出すとようやくテレビを見ながら朝食。食べ終わると掃除機をかけてパートに行く準備だ。
週5日でスーパーの惣菜部門で働いている。このスーパーで働いていると、割引も受けられるのでお得なのだ。しかも、仕事終わりに買い物もできる。
パート同士でややこしい事もあるけれど、まぁそれとなくスルーしている。
「今日の特売はなんだっけ。給料日前だし、カレーにサラダでいいか」
冷蔵庫の在庫と相談しながら夕飯を考えつつ、パート先に向かう。
今日は暖かい、帰る頃には洗濯物も乾いているだろう。
通いなれた道を急ぐ。とは言え、信号は待たねばいけない。
すると、横に女子高生が並んだ。
清楚系の可愛い子。
ああ、女の子も欲しかったな。こればっかりは授かりものだもんね。
信号が変わり、急ぐ私と女子高生は同時に歩き出す。
と、光に包まれ、足元に魔法陣が現れた。
ちょ、これってまさか?
そこで、意識が途絶えた。
ただの主婦なのに