食べれば食べる程
◆◆◆食べれば食べる程◆◆◆
極上ステーキ。
星降り茸のお吸い物。
ドラブアルラのクーデサラダ。
祝福のソフトクリーム。
「どれもとっても美味しかったです。あれ、キリコさん?大丈夫ですか?」
なんだかキリコさんがげっそりとしています。
「うむ・・・何やら・・・食べれば食べる程腹が減るのだが・・・。」
「SPをいただいておりますので、お召し上がりになられる前よりは減っているのではありませんかな?そろそろ、普通の食事もされる事を提案させていただきますがいかがでしょうか?」
「そんなものは無い。」
「えっと、白パン」
「どうせそれでは足りぬ。あそこから次へ行けるのであったな?通らせてもらう。」
「どうぞ、ご自由にお通り下さいませ。またのご来店をお待ちしております。」
「あぁ、味は良かった。次はエネルギーを補充する物を持ってくるとしよう。」
「進むより、戻った方がいいんじゃないですか?」
「いや、いい。最悪生えている木でも食べられる。」
木の葉じゃなくて木そのものを食べるんですね。豪快です。
4階は雪原だったけど、薬草とかなら・・・キリコさんには足りませんよね。
ドアを開けると、普通に転移装置が置いてありました。
「行ってらっしゃいませ。」
そう言って送り出す店主さんはとてもいい笑顔をしていたような気がしました。
6階。
見渡す大地は変な色をしていて、木どころか草もなく、同じような色の沼が広がっていました。
なんかドロドロしているし、池じゃなくて沼であっていますよね?
「木、生えていませんね。」
「ああ・・。」
「やっぱり戻りましょう。あ!!」
キリコさんが驚く私に視線を送りました。
「さっき使った転移装置がありません!!」
「そん・・・そのようだ。ハメられたか・・。」
さっきまで転移装置があった場所はただの地面に変わっていました。
「まずは食料・・・よりも先に水を探そう。」
「で、でも、おなかすいているんじゃ・・・。」
「我は最悪送還すればその場しのぎにはなるだろう。主の方が問題だ。」
「そう、ですよね?」
キリコさんが倒れちゃった後に送還しても大丈夫なのかなぁ?
早めに食料も探した方がいいですよね?
なりふり構っている場合ではありませんから、スケルトンさんたちにも探索に協力してもらいましょう。
「骨か。ならば、トカゲとミミズも呼んでおけ。我は送還された先で状態を整えらえるか確認して来よう。」
「はい、行ってらっしゃい。」
キリコさんを送還するのはこれが初めてですね。
私は先にキリコさんを送還してからロイヤーとわむこを召喚しました。
「えっと、水ですよね?さすがにこの沼をろ過するのは大変そうですし、見た目がきれいになったとしてもあまり飲みたくありませんね。」
ほんとうにどうしようにも、どうしようもなくなったらがんばってろ過してもいいかもしれませんけれど、ゴミとかがいっぱいあってすぐにろ過層がダメになってしまいそうです。
「とりあえず、あっちに行ってみましょう。」
この階に来た時から見て正面と左は全部沼、後ろも遠くに沼が見えるので、右の方にしか進めません。
沼に囲まれているフロアみたいですね。
左後方からは宝箱の気配がしますが、今はそれどころではありません。水か食料になりそうなものを探さないとです。
ずぶ ずぶ ずぶ
地面がぬかるんでいて歩きづらいです。
ロイヤーなんて、ちょっと沈みながら進んでいます。
「あ、敵が見えました。」
バチバチと光っているのでまだ遠いけれどすぐにわかりました。
でも
「どうみても、エレメンタルですよね・・・。」
バチバチとしているからたぶんサンダーエレメンタルです。
形は飛べないけど足の速い鳥みたいな形なので、サンダーエレメンタルバード?みたいな名前かもしれません。
「倒しても食べらるところがないし、あれ、絶対強いですよね?」
エレメンタルは弱点以外の攻撃があまり効かないし、魔法が使えるので強いんです。
どうしよう・・・。
「あ、もしかして、ロイヤーなら電気大丈夫?」
「ウロロロイ。」
ロイヤーが、まかせろと言わんばかりに軽く吠えたあと、サンダーエレメンタルに向かっていきました。
「大丈夫かなぁ?」
よく見ると、先に偵察に行ってもらったスケルトンさんと復活したアンデッドをサンダーエレメンタルが電気で攻撃しているみたいです。
「だめそうだったら、スケルトンさんを増やして、ロイヤーは送還すれば大丈夫かな?」
どうか、ロイヤーに電気が効きませんように!
私の祈りが届いたのか、アンデッドさんたちに気を取られていたのか、ロイヤーの攻撃がうまく当たって、あっさり倒すことが出来ました。
やっぱり、岩とかが弱点だったのかな?
倒したサンダーエレメンタルはエレメンタルコアと言われる丸くて魔力のこもった石?みたいなのを落として消えてしまいました。サンダーだったから、エレメンタルコアは黄色いです。
「すごいね、ロイヤー。次も出たらお願いね。」
「ウロロロイヤー!」
ロイヤーはなんだかうれしそうです。
「でも、これは食べられませんし、薬草も変な色をしているので食べられるのかよくわかりませんね。」
赤とか青とか紫とかなんです。ちょっと食べるのはもう少し探してみてからがいい気がします。
まだ、一本道みたいなので、道なりに進みましょう。




