5階
◆◆◆5階◆◆◆
私たちは掘り起こした転移装置を起動して5階へと進みました。
5階は火山でも洞窟でもなく、レストランでした。
レストラン・・・?
「いらっしゃい。」
カウンターにいる店主っぽい人が話しかけてきました。
「えっと、もしかして、ダンジョンマスターさんですか?」
「ほっほっほ。私は主上に仕えここで働いている魔物に過ぎません。どうぞ、お好きなところへおかけください。」
「こやつからは何の力も感じぬ。なんとも弱いダンジョンマスターがいたものだ。」
「主上と見間違えていただけるのはいささか嬉しいものですが、私は本当にただの魔物に過ぎないのでございます。その証拠に、奥にあるあの扉をくぐれば6階へ進む転移装置をご利用いただけますので、ここでのご休憩に飽きてしまわれたのであればどうぞ、ご自由にお通り下さい。」
「ふむ・・・たしかに転移装置らしき気配がある。もしかしたらそれはダンジョンコアかもしれぬが・・・メニューにあるこれは本当か?」
キリコさんがメニューに書かれた文字を指差し・・・あ、おいしそう・・・。
極上ステーキ[達人級] HP50000 MP1000 SP2000
と書かれた上に、おいしそうなステーキの絵が載っています。
誰が描いたのでしょうか?不動産屋さんみたいに、この人も上手なのかな?
私も見てみよっと。
私は椅子に座って机に置いてあったメニューを手に取りました。
「もちろんでございます。ただし、当店では対価としてお金ではなく、HP、MP、そして体力をお支払いいただいております。」
あ、ミミックの刺身があります。
ミミックの刺身[中級] HP20 MP30 SP15
「体力?HPとは違うのか?」
たしか・・普通のLv0の人のステータスが
Lv0男性 HP100 MP10 攻20 守10 魔10 護10 速8
こんな感じだったから、Lvアップしていない時だと注文できませんでしたけれど、魔化すればだいたい
Lv1男性 HP210 MP20 攻50 守20 魔20 護20 速8
こんな感じになるので、MP以外はたぶん大丈夫ですよね?
「スタミナ、カロリー、エネルギーなどと表現した方がおわかりいただけたでしょうか?お持ちいただいているメニューは魔法契約書の役割も果たしておりますので、ご注文いただくと同時に契約締結。私が料理を配膳させていただくとともに自動的に対価が私共のダンジョンへと支払われる仕組みとなっております。」
あ、これもよさそうです!
大甘エビの天ぷら[上級] HP167 MP57 SP311
「なんとも面妖な・・。しかし、足りなければどうなる?」
SPが高いからダメそうですね・・・。
「その場合は注文できないようになっておりますのでご安心ください。」
「あ、足りなかったら注文できないだけなんですね。じゃぁ、大甘エビの天ぷらをください!」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
「これ、勝手に先ばしるでない。」
「えー、だって、すっごくおいしそうですよ?」
「あやつが言っておる事が本当とは限らぬ。足りなくても無理やり搾り取るやもしれぬ。搾り取っても割に合わない時だけ無効という手もあるぞ?」
「え、あ、そうですよね・・・。」
「注文は我がしよう。欲しいものがあれば我に伝えるのだな。圧倒的ステータスの高さを見せつけてくれよう。」
キリコさんは、キングベヒーモストゥルーヴァンパイアですからね。きっとすごく高いんですよね?
「ちなみに、どのくらいとかわかったりしますか?」
「SPは知らぬが、HPよりも低いMPですら100万くらいだ。存分に注文するが良い。」
「ひゃ、ひゃくまん・・・。」
「お待たせいたしました。こちら、大甘エビの天ぷらでございます。」
「お、おっきい・・・!!」
私の両手の掌を合わせたよりもおっきいです!!
「く、見たら我も欲しくなった。同じものを頼む。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
私はキリコさんがうらやむのには気が付いていましたが、我慢できなかったのでエビにかぶりつきました。
甘いです!ぷりぷりさくさくです!
この、海を思わせるほんのりと効いた塩味もさすがです!
「じゅるり。」
「あ、あげませんからね!」
「これから我が注文した料理を食べるというのに何を言っているのやら。」
「それとこれは別です!」
「お待たせいたしました。追加の大甘エビの天ぷらでございます。」
私たちは話を中断して夢中で大甘エビの天ぷらに挑みました。
なんだか、最近は食事ネタが増えてきた気がします。
おなか減っているから・・・か?
そんな事より無性に甘エビ食べたくなってきました。
あの一口でつるんと食べられるのもまたいいんですよねぇ。




