指輪を鑑定しましょう
◆◆◆指輪を鑑定しましょう◆◆◆
MPの使い過ぎは良くありませんね。
お部屋についたらパタリと寝てしまいました。
今思えば、迷宮で意識を失った時に魔物に襲われていたら危なかったです。
パーティーを組んでくれる人か、私を守ってくれるアンデッドさんがいればいいのですけど…。
今日は昨日拾った指輪を鑑定してもらって、あまり使ったことのない魔法の練習をしようと思います。
鑑定所は冒険者ギルドにあったと思うので、私はギルドに来ていました。
「おはようございます、サリアさん。」
「おはよう、ヘンリエッタちゃん。無事だったみたいね。スライムはどうだった?」
「1体なら簡単に倒せたのですが、たくさん出てきた時に焦ってしまって危なかったです。」
「たくさん?もしかして、モンスターハウスになってたの?だめじゃない、すぐに逃げなきゃ。それとも、すぐ近くに行くまで気が付かなかったの?」
「いいえ、カースだけでは足りなかったので、ブラックショットという魔法を使ってみたらマインドダウンしてしまったんです。ぎりぎりダークガーデンが発動できたので助かりました。」
「何危ない事しているのよ。使ったこともない魔法に頼っちゃダメでしょ。でも、ヘンリエッタちゃんの口ぶりだと、ダークガーデン一発でスライムの群れを倒せたみたいね…。実力的には無茶でもないのがお姉さんちょっと対応に困るわ。」
「やっぱり、こういう時のためにパーティーを組んでくれる人を探した方がいいのでしょうか?」
魔法系なので、今後も何らかの理由でマインドダウンしてしまう可能性はありますよね。
「うーん、よっぽどの事でもない限り、ヘンリエッタちゃんは普通の人とパーティーを組まない方がいいわ。」
「え?なんでですか?」
ネクロマンサーなのがそんなにいけないのでしょうか?
「ヘンリエッタちゃんは、戦闘力はともかく、労働力を確保できるからFランクにしては稼ぎがいいでしょ?だから、そのおこぼれにあずかろうとヘンリエッタちゃんを紹介するよう求めてくる冒険者がたまにいるのよ。あ、でも、ちゃんとクギを刺してあるから安心してね。」
「え、でも、その、安全を買うと思えば、それくらいいいと思いますけど…。」
「だめだめ、そういう奴らは、ヘンリエッタちゃんが倒れた時にこれ幸いと何か盗んだり、奴隷の首輪を嵌めようとしたりするからかえって危ないわ。」
「そう、なのですか…。」
奴隷はこわいですぅ…。
「だから、お金を貯めてランクの高い魔物の死体でも買い取れば頼れる護衛の出来上がりよ。今回の採掘でも結構稼いだんでしょ?」
「えっと、金貨1枚くらい…。」
「さすがヘンリエッタちゃんね、羨ましいわ~。でも、そんな簡単に稼ぎを言いふらすのもダメよ?」
「あ、はい。気をつけます。」
「その稼ぎを休日も入れて2か月も続ければ買えるわね。うーん、でも、とりあえずDランクの魔物も1体選んでみるのもいいかもしれないわね。」
「あ、サリアさんもそう思いますよね!」
やっぱり、ライネルさんはいきなり高望みしすぎだと思います。
「Dランクでガタイが良くて最低限指示を理解してくれる魔物なら、戦力的には不足しても荷物持ち、つまりはサポーターとして役に立つ…かもしれないわ。」
最後にかもしれないが付くのはライネルさんと一緒なんですね。
「いいですね!それに、Cランクのアンデッド1体というのも不安だと思っていました。Cランク1体にDランク1体。そしてまずはDランクのアンデッド1体を目標に頑張ります!」
「うんうん、Dランクの魔物の死体の納品の依頼はだいたい100万園くらいで出せるから、ヘンリエッタちゃんならすぐに手に入ると思うし、頑張ってね。」
「はい!じゃぁ、えっと、今日は薬草採取の依頼を受けようと思います。」
「あれ、そんな依頼でいいの?」
「まだ使ったことのない魔法を試してみたりしようと思うので、ついでに薬草を取ってきます。」
「そういう事ね。薬草採取の依頼は無期限だから、なかったらなかったで大丈夫だからね。無理だけはしないように。」
「はい、あ、そうだ。これの鑑定をしてもらいたいのですけど、どこに持っていけばいいですか?」
私は昨日手に入れた指輪を2個取り出しました。
「ん?昨日手に入れたのね?たぶん、初級以下よね?簡易鑑定用スクロールは1個大銅貨1枚よ。」
「えっと、これでお願いします。」
私は大銅貨2枚を差し出しました。
「毎度あり~。中級以上はちゃんとした鑑定士じゃないとできないから、鑑定屋さんを探してね?うちのギルドにも鑑定士いるんだけどあんまり腕が良くないし、彼は査定がメインなのよ。ここを出た通りにもあるから、そっちに行った方がいいわ。」
サリアさんから鑑定用スクロールを受け取りました。
「わかりました、ありがとうございます。」
「そのスクロールの上に鑑定したいものを置いて、秘められし力を暴き給え、簡易鑑定!って唱えれば結果がスクロールに記入されるわ。2個ならすぐ終わるし、そこに置いてやってみたら?」
サリアさんがすぐ近くの長椅子を勧めてきました。
「はい、やってみますね。」
どんな指輪でしょうか?わくわくです!
私はスクロールの1枚を広げて指輪を1個載せました。
「巻いてある方は発動しないから安心してね。」
「わかりました。秘められし力を暴き給え、簡易鑑定!」
スクロールに字が書き込まれていくのが見えます。乗せている指輪がスクロールに対して小さいからこのままでもだいたい読めますね。
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強力な錫の指輪 耐久11/13
スキル 攻+1 護+2 睡眠耐性[入門]
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「どれどれ、お姉さんにも見せて?」
サリアさんがのぞき込んできました。
「うーん、せっかく3種類のスキルが付いているのに数値が小さいわね。でも、無いよりはマシだし、売れば小金貨1枚くらいにはなるわよ?」
「え、そんなにするんですか?」
「そりゃあするわよ。指輪なら10個装備できるでしょ?こんなのでも数を集めれば役に立つのよ。」
「そうなんですか。」
掘っている時に鉱石を捨てていたのは間違いでもなかったんですね!
「もう一個行きますね。秘められし力を暴き給え、簡易鑑定!」
私はもう1個の鑑定の準備を済ませて詠唱を唱えました。
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破壊の錫の指輪 耐久8/8
スキル 攻+11 魔+14
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「へぇ、こっちはなかなかいいわね。欲を言えば、攻じゃなくて他のだったら良かったのだけど仕方ないわ。」
「せっかくなので、2個とも装備して、お金が必要になったら売ろうと思います。」
「それがいいわ。それじゃぁ、もう行くの?」
「はい、それでは、行ってきます!」
「そっか、いってらっしゃい。」
私はサリアさんに見送られながら、元気に町の外へと向かいました。
ゲームではよく1個とか2個とかしか装備できないアクセサリ系。
効果さえ出るのなら何個でも装備するに決まっています。
20話くらいすぎて今更説明していない部分がゴロゴロと出てきてしまう件。
・・・・・・次回作までに改善できるといいなぁ。




