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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

集団戦と夏休みの開始

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320/325

休憩と掲示板 ダークエルフ対ハイエルフ

「え、見るのか? 勝っていないのに?」
「そりゃあ見るさ。引き分けとはいえ、どんな戦いだったのか気になるし」

 トーナメント初戦を終えた俺と未祐は、一度ログアウトして部屋で休憩していた。
 見る見ないの話は、先程のユーミルと弦月さんの一騎打ちのリプレイの話だ。
 しかし、さっきの戦いの功労者は間違いなくリコリスちゃんだったな。
 彼女が防御隊を維持してくれたからこそ、接近して有効な魔法攻撃を送り込むことができた。
 未祐が見たいというので、俺は先に全体の様子を映した一回戦・大将戦の映像をパソコンで流す。

「おおー! お前たちも熱い戦いをしていたのだな! 矢の飽和攻撃対大魔法の一斉攻撃か! 後でリコリスをうんと褒めてやらねば!」
「そうしてやってくれ。ただ、向こうの最後の特攻には焦ったよ。前衛型フォワードタイプの弓術士がもうちょっと多かったら、少し危なかったかもな」
「そう言う割には、憎らしいくらいに冷静な対処と陣形変更ではないか……こうして客観的に見ると、お前は本当に嫌な相手だな! 攻め気を逸らされて戦意がボロボロではないか! この状態でよく、アルテミスは最後まで攻め続けたものだ!」
「……褒め言葉として受け取っておくよ」
「む? 私は最初から褒めているつもりだぞ!」

 その割には褒められている感じが全くしないが。
 最後の攻撃を上手く凌ぎ切り、俺たちは無事アルテミスに勝利していた。
 これで初戦は3対0で、サーラ王国は次戦へと進むことに決定。
 先にトーナメントの反対側――予選3位のマール共和国対予選2位のグラド帝国の試合が行われるので、その間こちらはインターバルとなっている。

「じゃあ、今度はお前の戦いぶりを見るとするか」
「うむ、見ろ! じっくり見ろ! そして素直な感想を言うのだ! さあ、さあさあさあ!」
「うるさいなぁ……」

 俺が座る椅子を揺らしながら未祐が急かす。
 二人の戦いを見るのに適したカメラを選択すると、操作をやめて画面に注目する。
 ――そういえば、最初の一射を完璧に躱したんだったな。
 この戦いは未祐にしては珍しく、初っ端から集中している。
 事前に弦月さんの戦いを話しておいたのが功を奏したか?
 そして接近し、ユーミルの足を狙った低い初撃を弦月さんがバク宙で躱し……?
 いやいや、こっちも大概おかしいな。

「トビも身軽だけど、比べると弦月さんの動きは一つ一つが綺麗だよな?」
「うむ。教科書のような、というよりも体操選手のような動きだったな」

 彼女は非常に身体能力が高い。
 躱した勢いのまま、バックステップに移行して『コンポジット・ボウ』で矢を連射する。
 それをユーミルが剣を盾にして弾き……いやいやいや。
 見てからではなく、視線から方向を読んだのだろうという理屈は分かるのだが。

「どっちもおかしいぞ、これ……どうなっているんだ?」
「何だか知らないが、普段以上の力を出せたぞ! 闘技大会の決勝以来か? この感覚は!」
「なるほどね……」

 どちらも事前に相手を強敵だと認識しており、かつ相性が良かったのだろう。
 互いの力を引き出し合っているのか、徐々に動きに鋭さが増していく。
 皮一枚で躱し合う、思わず息を呑むような戦いが連続で展開されている。
 凄まじい速度で振るわれるユーミルのロングソードを、弦月さんが躱して矢を放つ、蹴りを放つ、ナイフで急所を狙う。
 身を捻ってそれらを回避し、再びユーミルがロングソードを振る。
 背筋の凍るような美しい斬撃を見て、俺は画面内の弦月さんと同じような表情に。
 今、ゾクっときた。

「……本当に格好いいな、集中している時のお前は。惚れ惚れする」
「………………」
「あれ、どうし――」

 俺の偽らざる本音を聞いた未祐は、しばらく固まった後……。

「――っ!!」

 頭の天辺から足の爪先まで真っ赤になる。
 そのまま俺のベッドに潜り込むと、布団を被って丸まってしまった。

「ちょっ、おい! 照れるにしても反応がおかしいだろう!? 俺の布団がっ!」
「う、うう、うるさい! 頼むから、しばらく放っておいてくれ!」

 顔を見られたくないのなら、一度部屋から出るとかさ……。
 そもそも、お前が聞きたがっていたんじゃないか。ユーミルが戦っている姿を、俺がどう思うかを。
 ……仕方ない、掲示板でも見ながら未祐が落ち着くのを待つとするか。



【トーナメント】決勝トーナメント実況スレ3【第一回戦】

TBで開催中の国別対抗ギルド戦・決勝トーナメントのゲーム外生放送を実況するスレです。
スレはマナーを守って正しく使いましょう。
次スレは>>800が宣言して立てること。
立てられない場合は必ず次のレス番号を指定すること。
次スレが立っていない場合は各自減速を。

702:名無しの武闘家 ID:C7STKPN
ルスト……

703:名無しの軽戦士 ID:VN8GZf3
もう決まっちゃったかぁ
女王の狂信者怖い

704:名無しの弓術士 ID:9PAVu4B
応援NPCも現地人兵士も含めてそれだもんな
ダメージ受けてもガンガン突っ込んでいくから止まんねー

705:名無しの魔導士 ID:Dh48tVy
ここまでどっちもじっくり組み立てる試合だったのに……
急にあそこまでペースチェンジされたらきついわ

706:名無しの騎士 ID:Hm4cUti
先鋒戦は相性ゲー、中堅戦はこれだから別にルストも弱くないよね?

707:名無しの神官 ID:BAMgsVa
弱くはないねぇ
少なくとも俺たちのギルドよりは強い

708:名無しの武闘家 ID:ZjcxYJe
そりゃそうだ
ちゃんと予選20位以内だぞ、どっちも

709:名無しの神官 ID:2DSTB3e
あー、でもどっちも全体順位はそんなもんなのか
そう考えるとベリとグラドの4位・5位はきっついな、成績良くても出られなくて

710:名無しの魔導士 ID:Yer6Tnb
まあそうだけど、そこに所属するのを選んだのは自分たちだし
次のアルテミスはトップ10内だから期待していいんじゃない?

711:名無しの重戦士 ID:M64Gber
もうルストの負けは決まったけどね

712:名無しの魔導士 ID:G8YufAP
でも、俺はアルテミスの攻撃スコアに賭けてるから頑張ってほしい

713:名無しの騎士 ID:a8wr62b
それもあったね、このイベント
基本的に一戦の最高記録だっけ? 競うのは

714:名無しの重戦士 ID:CzSPuC8
通算だと試合数で差がついちゃうからね
最大三戦になるのかな? このままサーラが勝ち上がればの話だけど

715:名無しの軽戦士 ID:ZmDj6EN
んでも、次は予選1位のベリでしょ?
かなり無理くない? ギルド順位も三つともベスト5って……

716:名無しの弓術士 ID:ianfQzF
そういう予想を散々ぶっ壊してきたのが本体と勇者ちゃんだけどね
一応期待はしておく

717:名無しの武闘家 ID:kASesmk
とりあえず今は残りの試合だなー
始まったぞー

718:名無しの重戦士 ID:SrZ8y8F
おお!

719:名無しの騎士 ID:dV3pjCP
始まったけど……何だこれ、どっちも野戦ゾーンで動かねえな

720:名無しの軽戦士 ID:3yQceuY
あ、何か出てきた

721:名無しの魔導士 ID:T5CewMQ
これ弦月? 初めて見たけど、噂以上の美人……エルフ耳装備かぁ

722:名無しの神官 ID:AgibS6L
ルストのプレイヤーには珍しくないけど
この人は滅茶苦茶似合ってんな、別格レベルで

723:名無しの弓術士 ID:JMrEizJ
一部からはハイエルフ様って呼ばれているらしいぞ

724:名無しの軽戦士 ID:VZbF8LJ
すげえしっくりくる呼び名
そしてこっちからはダークエルフが出てくるのであった
勇者ちゃぁぁぁぁん!

725:名無しの神官 ID:5TRsazu
何が始まるんだ? もう試合スタートしてるのに

726:名無しの魔導士 ID:CPe3cmG
音声拾ってみたら、何か一騎打ちがどうとか言ってるみたい

727:名無しの弓術士 ID:g9S57QU
え?

728:名無しの重戦士 ID:VEVpYFB
あ、もう話し合いが終わった
この短さからして、どっちも知り合いだったのかな

729:名無しの重戦士 ID:98PrrLZ
うわ、本当に一騎打ち始めた
しかもフィールドのど真ん中かよ……何じゃこりゃあ

730:名無しの弓術士 ID:ZVuC93x
面白いから全然ありだけどね!
ダークエルフ対ハイエルフ!

731:名無しの騎士 ID:h8gfc3x
って、他は普通に戦うのね
そりゃそうか
制限時間的に、一騎打ちが終わるのを待っていられないもんな

732:名無しの武闘家 ID:EQi8Ucn
弦月の撃破数に賭けた俺の金はどうなんねん!?

733:名無しの神官 ID:UxQaEjM
勇者ちゃんに賭けた俺の金は!?

734:名無しの重戦士 ID:XEpdNdM
諦めた方が早いんじゃない?

735:名無しの武闘家 ID:EQi8Ucn
ええええええええええ

736:名無しの神官 ID:UxQaEjM
ま、まあ勇者ちゃんは次の試合もあるし!
あれ、ところでみんなはどっち見てる? 一騎打ち? それともそれ以外?

737:名無しの魔導士 ID:pTXVxrs
一騎打ちの方
二人とも物凄い速度で動いてる……目が追い付かねえ

738:名無しの神官 ID:5pnmeXB
俺も目の保養に一騎打ち
美女が二人で倍美味しい

739:名無しの弓術士 ID:efMYxdY
>>738
そんな曇った目で二人の動きが見えるのか……?

740:名無しの神官 ID:5pnmeXB
見えん! しかし満足!

741:名無しの軽戦士 ID:wRSNCT5
それでいいのかお前……にしても、一騎打ちを見ている人の方が多いのか
全体の方も良い試合なんだけどなぁ

742:名無しの武闘家 ID:NhTeT3a
全体の方、そろそろ砦内の鳥同盟の準備が整うな

743:名無しの弓術士 ID:CJgEXsJ
弦月、回避行動のおまけで矢が飛んでくる!
真似できそうもないなぁ、かっけえ

744:名無しの重戦士 ID:nWrmhWT
勇者ちゃんの動き、読みやすいんだけど純粋に鋭いな
回避、溜め、攻撃ってリズムが良い

745:名無しの軽戦士 ID:R4SDPtr
>>744
それを必ず相手より先に押し付けに行くから、リズムを崩されることもないしな
素晴らしい思い切りの良さ

746:名無しの弓術士 ID:CKwzbbY
ここまでどっちも被弾なしという

747:名無しの神官 ID:iU3xEwf
勇者ちゃんって、単体でもちゃんと強かったんだな……

748:名無しの魔導士 ID:
おおお、魔法が矢を飲み込んだぞ!
って、実際に矢が消える訳ではないけども、これは決まったか!?

749:名無しの武闘家 ID:CxuG3TB
決まったっぽいね
崩れる前に撤退に入ったけども、すぐに反撃できる状態じゃないや
ルストは大将のアルテミスも負けかぁ

750:名無しの騎士 ID:ghrKyHb
完全に本体の指揮(総指揮官、本体だよね?)勝ち
弓術士単の弱点を読み切っててやーらしー

751:名無しの魔導士 ID:BDaYEkg
一番前で盾持ってたリコリスって子を個人的に応援したくなった
小さくて元気一杯で、見てるこっちまで元気出た

752:名無しの弓術士 ID:9dp6w9h
駄犬ちゃんのラッキーショットをしっかり潰してたなぁ、俺らと違って
ギルマスが急に吹っ飛んだ時は笑ったわ

753:名無しの神官 ID:PNyjLcE
>>752
まあ、セレーネの狙撃の方が普通に上だよな
あっちは任意だし、長距離でも外さないしで怖い

753:名無しの魔導士 ID:SUcCrbX
今回、弓術士の単発型が再評価されたよな
連射型じゃ無理でも、
単発型なら回復される前に倒し切れるパターンが多いから

754:名無しの魔導士 ID:Y5jVj2t
魔法だと、あそこまでシャープに狙えんからね
今後そういうスキルが出ないとも限らないけど、どっちみち詠唱はあるだろうし
軽戦士の罠型と弓術士の単発型は今回で印象変わったよね

755:名無しの武闘家 ID:sS4GVSW
あ、試合終わった
結局、一騎打ちは決着つかなかったなぁ

756:名無しの騎士 ID:A7uUfUB
でも見応えあって楽しかった
消化試合だからって見るのをやめなくて良かったわ

757:名無しの重戦士 ID:ndfhuuj
次はゲーム側で一騎打ちのシステムを用意してくれないかなぁ
勝った側に全体バフ、負けた側にデバフみたいな感じで

758:名無しの騎士 ID:UTkmyzz
調整大変そうだけど、確かにあったら面白そう

759:名無しの軽戦士 ID:urea9U4
エースのいないウチは拒否ばっかになる気が



 大人気だな、一騎打ち……それにしても弦月さんがハイエルフか。言い得て妙だな。
 俺がパソコンをシャットダウンしてベッドの方を振り返ると、まだ未祐は丸まったままである。
 こいつにしては復帰が遅いような?
 そんな風に思っていると、部屋の扉がノックされた。

「どうぞ」
「兄さん、次のログイン前に――何ですかそれは?」
「ああ、これ? 中に未祐が入っているんだが――」

 俺が最後まで言い切るよりも、その動き出しは早かった。
 未祐という名前を聞いた直後、理世が全力で布団を引き剥がす。

「ああっ、私の快適空間がっ!? 貴様、何をする!」
「それはこちらの台詞です! あなたは一体何をしているのですか!? ただでさえここのところ、兄さんの部屋にあなたの匂いが混じって不快だというのに! これ以上狼藉を働く気なら、全力で家から追い出しますよ!?」

 布団を引っ張り合いながらドタバタと騒ぐ二人。
 盛大に埃が立った部屋の中を見て、俺は黙って換気を始めるのだった。
本日、活動報告にて書影(表紙イラスト)を公開いたしました。
キャラクターデザインと合わせまして、こちらもよろしくお願いいたします。
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