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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

北の大地にて

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イベント発表と遠征の開始

イベント名:魔物の大発生から町を守れ!
概要説明:ベリ連邦・城郭都市スクートゥムに、飢えた魔物の大群が押し寄せる――。
ベリ連邦北部にて大寒波が発生し、『モンスター・スタンピード』が確認されました。
己のHP・壁の耐久値の続く限りモンスターを倒し続け、達成報酬・ランキング報酬をゲットしましょう!
参加単位:1~5人(PT戦闘)
形式:サバイバル&防衛、インスタンスフィールド
参加可能レベル:10以上
アイテム使用:可
乗り物使用:不可
※都市へ撤退した時点でクリアとなります。
PT全滅及び壁が破壊された際は、戦闘結果にマイナス査定がかかります。

「報酬に勇者のオーラがあるぅぅぅ!? 個人討伐数! 一戦とかいう方の!」
「……じゃあ、今回も参加ってことで。みんないいかな?」

 俺の言葉にユーミルを除いた全員が綺麗に二度頷く。
 もはや定番の流れである。
 場所はTB内、渡り鳥のギルドホームの談話室。
 今夜のメンバーはヒナ鳥を含めて、八人全員が揃っている。

「まずは生産系施設の時間停止操作だな。ついでに収穫できるものは収穫しておこうか」
「では、私はイベントに向けて回復薬の調合を。そちらの処理はみなさんにお任せします」
「私は取引掲示板に装備の在庫を登録してくるね。戦闘系イベントなら、今が稼ぎ時だから」
「リィズ殿とセレーネ殿はそれがいいでござるな。では、残った我らはハインド殿の指示通りに」
「「「はーい」」」

 ヒナ鳥たちも今回のイベントに参加するとのことで、一緒に遠征の準備を開始。
 メニューの報酬画面を見て叫びを上げたユーミルを置いて、ぞろぞろと目的の場所に向けて移動を始める。

「――あ、あれ!? なんだか反応が冷たくないか!?」
「冷たくねえよ。ほら、ユーミルも行くぞー。早く早く」
「あ、ああ! もちろんだ!」

 こうして異論一つなしにスムーズに出発しようというのだから、むしろ優しいだろう。
 腑に落ちない様子のユーミルの背中を押して、俺はみんなを追いかけた。



 放っておくと腐ってしまう畑の収穫作業を最優先に、農業区での作業を進めていく。
 植林エリア、キノコ小屋、羊小屋、豚舎、そして厩舎……。
 生産設備を一通り停止させた俺たちは、続けてホームへ戻って倉庫へ。
 収穫物をしまい、遠征に向けた道具を揃えて準備を完了した。
 残るは今回の「足」についてなのだが……。
 別行動していたセレーネさんとリィズも含めて一度集合したのは、町の共用のものではなく農地にある自分たちの厩舎である。
 グラドタークもラクダたちも既にここに移送済みで、最近は町の厩舎を使うことはなくなった。

「サイネリアちゃんの努力の甲斐あって、無事飼っている馬がレンタル馬のステータスを超えました! めでたい!」

 そこで俺とサイネリアちゃんは、成長した六頭の馬を厩舎の外でギルドのみんなにお披露目した。
 世代は野生のものから数えて三世代目。
 弦月さんから授かったノウハウとサイネリアちゃんの献身的なお世話を経て、ここまでステータスは順調な伸びを見せている。

「ありがたいことでござるなぁ。確かに、拙者たちが捕まえた野生の一世代目よりも馬体が大きいような」
「艶々で綺麗な毛並みだ! 良い馬だと私も思うぞ!」
「初代よりも優しい目をしていますね。これなら安心して乗れそうです」
「ゲームとはいえ、生き物のお世話って大変だよね。ありがとう、サイネリアちゃん」
「わー! サイちゃん素敵ー!」
「サイ、輝いてるよー」
「ちょ、ちょっと、みんなやめ――は、恥ずかしい……ハインド先輩も色々してくれたし、私だけの手柄じゃないから……」

 最近になって分かったのだが、サイネリアちゃんはとても照れ屋である。
 褒めるとこうやって赤い顔で小さくなるのが可愛いらしいと思う。

「そんな訳で、今回はグラドターク二頭に加えてこの六頭の馬で移動するぞ。馬具はセレーネさんと俺で作っておいた」
「初めてだから結構難しかったね。微調整は利くから、おかしなところがあったら遠慮なく私かハインド君に言ってね」

 銘々に頷き、気が合いそうな馬を求めて触れ合いを始める。
 まだまだ世代交代させる予定なので、あまり名前を付けたりして思い入れ過ぎないようにとは言っておいた。

「ところでハインド殿。この馬、等級的にはいかほどで?」
「まだ一般馬だけど、ステータス上では駿馬の一歩手前って感じだ。それがどうかしたか?」
「拙者、考えたのでござるが……グラドタークは丁度雌雄なのでござるし、その二頭を交配させれば簡単に――」
「もちろん俺とサイネリアちゃんだってそうしようとしたさ。疑問に思ったなら、グラドタークのステータスを開いて最下部をよく見てみるといい」

 トビが言われた通りに俺が手綱を持ったグラドタークに触れ、ステータス画面を呼び出す。
 それを見て、得心がいったように「あー」と呟いて渋い顔をした。

「イベント産の馬は交配不可でござるかぁ……」
「ああ。もしかしたらお手軽に名馬を増やせるかもと思ったが、そう簡単にはいかないらしい」
「交配不可だろうと極めて有能でござる故、やむなしでござるな」
「まあな。グラドタークには何度も窮地を救われているし、他の馬の最終目標としてこのまま活躍してもらおう」

 野生のものや飼育している普通の馬は、ステータスの最下部に交配残り回数というものが表示されている。
 交配といっても、同じケージに雌雄を揃えて置いておくだけでいつの間にか仔馬が増えている不思議仕様だが……それはさておき。

「うおぉぉぉぉ! バトルだ、バトルゥゥゥ!」
「バトルだー!」
「そこの騎士コンビ、うるさいよー。そろそろ出発するかー」

 どの馬に乗るかの組み合わせも決まったようなので、俺たちはワーハから北へ向けて旅立った。



 ワーハの北フィールドは途中まで踏破済み、砂漠から徐々に荒野へと変わって行く辺りからは未踏破となっている。
 砂漠を早々に抜け、今は未踏破の『シックス荒野』というフィールドに入ったところだ。
 どこまでも続く白い砂地から、赤茶けてひび割れた大地へと景色が変わっていく。

「それにしても、渡り鳥はいいとしてヒナ鳥さんたちはどうするのですか?」
「何がですかぁ?」

 リィズの言葉にリコリスちゃんが首を傾げる。
 言葉が足りなかったと見たのか、リィズは再度口を開く。

「イベントのPTは普段と同じ最大五人……メンバーを組み替えながらやってもいいと思いますけれど、効率は落ちますよね? 常に三人余ります」
「あー、それなら先輩が助っ人を呼んでくれましたよ。ねー、先輩」

 どこからか取り出した枕を抱え、馬上で揺られるシエスタちゃんが口を挟む。
 乗っている馬まで何だか眠そうに見えるのはどうしてだろうか? 眠気が伝染している……?

「そういやリィズとセレーネさんに言うのを忘れていたな。農業区の作業をしている間に、メールを入れておいたんだ。普段の活動時間からいって、そろそろログインして返事を――」

 そこで言葉を切り、俺は着信したメールを開いた。
 彼らを呼べるかどうかは正直早い者勝ちで、フレンドだからと贔屓してくれるような性格でもない。
 断られることも覚悟しつつ文面を確認すると……。

「おっ!」
「ハインド先輩、どうです?」

 俺はサイネリアちゃんに向かって笑顔で頷いた。
 それにヒナ鳥の三人も嬉しそうな顔をしてみせる。
 メールの送信者である彼らは、助っ人を引き受けてくれるそうだ。

「少々値段は張るが……うむ! やつらが身近にいればいい刺激になるな! 私も楽しみだ!」
「おおお! 兄貴と会うのも久しぶりでござるな!」
「兄貴? ということは……」

 トビの言葉に大方察したようだが、一応リィズとセレーネさんに対して正しく情報を伝えておく。

「アルベルト親子をイベント期間中、ヒナ鳥たちの出資で雇ったんだ。これで十人になるから、それぞれが効率よくイベントを進められると思うぞ」
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