27 陰編 君以上の人はいない
__王都、ギルフォード伯爵屋敷
「おかえりなさいませ」
使用人たちは一斉に主人を迎える。
手をつないで馬車から降りてきた二人を見て
みなほっとした表情を見せる。
しかし、
言葉少なく、屋敷に入る。
しばらく見ない間に、少し大人っぽい表情になったようなソフィア。
どちらとも取れない夫婦の様子に、
執事のトマスと侍女長のベルは、
食事の支度だけ済ませると、早く下がるよう侍女たちに指示し、自分たちも早々に部屋から下がった。
久しぶりの屋敷は、やはり居心地よく、
皆に心配をかけた心苦しさもあり、
すこし元気が出なかった。
いつものように向かい合い、食事につく。
馬車での醜い嫉妬。
そのことを少し恥じていた。
優しく抱きしめてくれたけれど、
本当はどう思っただろうか。
言葉少ないソフィアを見つめ
フレデリックはそっとテーブルの上に置かれた
ソフィアの手に自分の手を重ね、
目を細めて優しく微笑む。
その温かい手に包まれると
今までずっと小さく震えていたような心臓が
トクン、トクンと正常になっていく。
・・・。
やっぱり、私はフレディを愛してる。
とても深く。
食事を終えて、
新しく完成した夫婦の部屋に
初めて入る二人。
完成から数日たつ部屋は
主人の帰りを待っていたのだろう、
侍女たちにより、美しい花が至るところにあふれるように飾られたいた。
(まぁ・・・なんて素敵な・・・)
これほど贅沢な部屋は想像していなかった。
大好きな花々の香りに包まれ
いたるところに柔らかな光が灯され
特別な空間が演出されている
ふと、領地に行く前に、フレディにもらった
植物関連の専門書が目に入った。
そういえば、
泊まり込みの仕事が決まっていたのに、
式の準備から、部屋の改装・・・
手伝ったソフィアも大忙しだった。
そのうえ、
合間にこの本の用意まで。
こんなに探すのは大変だったはずだ。
誰かに頼んだ様子もない。
本の系統がバラバラだった。
専門知識もないフレディが、なぜこんなに本を準備
できたのだろう?
不思議に思って聞いてみた。
「いつもソフィアの話を聞きながら、研究員に聞いたりして実は私も勉強していたんだ」
といった。
ソフィアは今まで見えなかったフレディの大きく包み込む優しさを知ることになる。
「君が大好きなものの話が分からないのでは、
夫として失格だからと思って・・・」
そして、ゆっくりと
フレデリックはソフィアの前に跪いて、
その手を取る。
「ソフィア。
僕にとって、君以上の人はいない。
それは君への想いに気づいた日から、
忘れたことはない。これからもずっとだ。
どうか・・それを・・信じてほしい」
そして、左手の指輪に優しいキスをした。
ソフィアは反対の手で、あふれる涙をぬぐう
ソフィアを優しく、しかし情熱的に抱きしめる。
心を見せ合いたいほどに
お互いに惹かれあっているのに…
…それでも傷つけてしまった…
そして、フレデリックは涙にぬれる
ソフィアの顔を見つめ
キスをした。
触れるようなキスから
食むような口づけはやがて…
唇から首筋に移る…
ソフィアの表情も少し熱を帯びてくる。
美しい首筋にフレデリックのキスが
何度も落ちる。
(ちゆっ)
新しいベッドは
二人でも広すぎる・・・
そっとソフィアを抱き上げ
ベッドに寝かせた。
愛してる。ソフィア。
君をとても愛してる。
髪も瞳も唇も。
か細い腕も。
美しい胸も。
誰にも見せたくなかった背中も。
細く長い脚も。
全部自分のものにしたい。
ソフィア・・・ソフィア
フレディ・・・
愛しているわ。
二人はその夜。 深く結ばれたのだった。
最後までお付き合い頂いてありがとうごさいました。
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