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終末を過ごすあなたへ。  作者: 深山 希
もう、どこにもいないあなたへ。
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夢で逢えたら

 おっと、歌詞の引用はダメなんだった。気づいて慌てて削除。例のフレーズは各自脳内再生していただく方向で。


 残念ながら、君に夢で逢えたことはまだ1度だけ……あぁ、君がいなくなってしまって以降の話だけどね。


 でもさ。夢っていうのは毎日、どころか一日に複数回見てて、その全部を覚えてない日のことを『夢を見ていない』って認識してるわけで。

 だからきっと。俺と君は毎日夢で逢ってるんだと思うことにする。


 それで記憶に残ってる1度の話だけれど。


 いつもの街を、ふたりで歩いている夢だったよ。夢の中の君が、ちゃんと笑っていてくれて良かった。




 風邪をひいたりなんかもしました。

 季節の変わり目に見事に。


 いつも叱ってくれた君がもういないから、イメージしてみる。


『おにーさんはさぁ、ホントにさぁ』


 えー。今回は特にわかりやすい不摂生もしてないし、事故みたいなもんじゃない? 俺は悪くねぇ!


『元気でいて、って言ったよね?』


 ……うん。返す言葉もありません。気を付けます。


 叱って、その後で心配してくれる君がいなくても、しっかり自己管理しないとね。




4月9日


 閑話休題に日付を入れればわかりやすいことに気づいたので、ここからはそうしようと思う。


 そんなわけで今日は隣駅までお花見に。昨日から準備しておいたいつもの紅茶、水出しのさくらんぼフレバードティーにカシスリキュールを……使い切りそうだったから全部入れたけど、ちょっと多かったかも。

 タンブラーを使うのも久しぶり。君と出かけなくなって以降、使う機会もなかったからね。


 外はあいにくの曇り空……って、崩れないか不安になって慌ててスマホで天気予報を確認。とりあえず雨は明日らしい? 現在の降水確率は25% 雨男的にちょっと心配。でもまぁ、日々の電車から見た感じ、葉の緑が増え始めてたから、次の雨でほとんど散っちゃってたかもね。


 天候がもつようお祈りしつつ、まずは君と行った時にも買ったおにぎりのお店へ。君はおにぎりの具ではおかかが一番好きだったよね。その店ではおかかチーズが人気商品だったけど、変わり種を君は断固拒否。あの頃にはもう、それも予想できるようになってた気がする。

 今日選んだのはサーモンハラスと、せっかくだしたけのこおかか。チーズと違って、これなら君も食べられたかも? 最近、おにぎりを買う時におかかを選ぶ頻度が増えたよ。なんとなく、ね。

 あと、おにぎりだけでは寂しいので、ついでにコロッケとかも買ってみたり。


 あの日と同じ食料(具は違うけど)を調達して、いざお花見へ……?


 うん。あるぇ? ここってこんなんだったっけ? なんかもっとこう、広場的なものとか、出店的なものとかなかったっけ……?

 とりあえず桜並木を歩いてみるものの、桜の向こうには学校らしき建物が。そして目に入る高等学校の文字。

 ……うーん、ここらで座っておにぎりとか食べてたら不審者じゃね? ってことで学校を離れる方向で手ごろな場所を探してみるものの、どこもかしこも関係者以外立ち入り禁止の文字が。が。


 適当な桜の木の下でおにぎりを食べたりなんかしてみたけれど。




 なんか思ってたのと違う!




 紅茶の準備とかしてる時に感じてたりした『しんみり』はどこかへ行っちゃいました。良かったんだか悪かったんだか。

 こんなコメディーテイストになるはずでは。


 最寄り駅まで帰ってきて、歩いていると桜が目について、なんとなくふらふらとそちらへ。


 ――こっちの木の方が見ごろじゃね?


 でもまぁ、その公園、キッズたちが遊んでるしベンチもないしで、平日の昼間にいい大人が地べたに座っておにぎりとか食べてたら、通報待ったなしだったかもしれない。


 ……思い出に浸るつもりだったのに、なんでお巡りさんの職質に戦々恐々としてるんだろうね? 泣ける感じの次回予告だったアニメが、いざ蓋を開けてみたらギャグ回だった、みたいな。


 記憶の中の君が腹抱えて笑ってる。


『しwょwくwしwつw』


 草を生やすな。


『ねぇねぇ、職質ってどんなこと聞かれんの?』


 いやされてないからな!?


『えー』


 不満そうにするんじゃありません。まったく……

 来年以降は、紅茶を入れたタンブラーだけ持って、近所の桜の木があるあたりを散歩でもしようかな。




4月……


 夜中にすぐ裏手の家で火事が。特定防止のために日付は入れないでおこう、念のため。


 安全のためということで、部屋から追い出される。


 ……そのまま出たら地味に寒いでやんの。暫く我慢したものの、また風邪をひきかねないので服を取りに入らせてもらう。

 火災報知器が反応するので、窓は開けないように注意されつつ、上着と、ついでに持って出ていなかったスマホも取って再度外へ。


 この手持ち無沙汰な時間も、いつもなら君と通話でもして潰せたのにね。


 もう、何があっても君に伝えられないんだね。




4月30日


 某アラサーVの新刊を買いに街まで。ショップ特典で選んだのは、君とは結局行くことのなかったお店で。

 がっつり薄い本とか売ってる店だし、君と行くのもアレな感じかもだけど。


 お目当て以外の本も何冊か。


 そういえばお互い、本屋さんに行くと予定外の本が増えてたよね。ワリと大量に(笑)

 君は幸せな重さだー、なんていつも言ってたっけ。電子書籍否定派、というか、紙の本が好きだったものね、ふたりとも。


 今回は全部で三冊だからゼンゼンだよね。


 有償特典付きのがあるから金額は五千円近くいったけども。

 万を超えなきゃ買いすぎとまではいえない感じだったよね、君も、俺も。


 そうそう、お昼は例のスープのお店で食べたよ。お野菜たっぷりのサラダスープと、完熟トマトのクリームポタージュを、ごはんで。気になるスープがいっぱいだったから、定番のビスクは今日はお休み。


 いつものお店、とはいうものの、実は前々回、2月2日に行ったのってけっこう久しぶりだったりするんだよね。

 君が南蛮かつ丼を気に入って以降、お昼はずっとあの店だったから。


 ……また食べたい、って言ってたのにね。




 さぁ、月が替わってしまいそうだから、このへんにしておこうか。


 それじゃあ、また、来月に。

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