第一話『初動』
悪巧みから生まれた、チーム対抗戦『五色聖戦』のゲームマスターに当たる人物――KEYによって火蓋が切られようとしていた。
「五色のチームの猛者共よ、精々、戦略を練り上げて激闘を繰り広げてくれたまえ。では――開戦!」
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今回の闘いの舞台となっているのは広大な自然のフィールドであり、その内の四分の三が密林エリア、残りが岩場エリアに分けられている。
青、赤、緑、黄、紫の五チームとも、開戦時は密林エリアに転送されている。なので、如何に密林エリアの中で生存率の高い立ち回りができるかが重要になってくる。
それぞれのチームに視点を移しながら、観察していこう。
まずは、銀何率いる青チームから。
青チームは、開戦直後から小走りで辺りを散策しており、フィールドの地形を把握することを優先するような動きをしていた。
「んで、青チームのリーダーには銀何君が選ばれた訳だけど……銀何君、何か策はあるのかい?」
緑髪の青年、キュモが銀何に問いかける。
各チームのリーダーは、それぞれに一人入っている『Sランク』の人物が担当する事となっている。青チームであれば、銀何が該当する。
更にはアヴァロン出身のキュモと、レスター王国代表の銀何のように、異国のメンバー同士が同じチームになる事が起きやすい。
今回の戦いで、チームメイト同士がどれだけ協力し合えるかという所も重要だ。
「そうだなぁ、俺はあまりリーダーとかやった事はないんだけど……俺たち青チームは『撹乱』する戦法にしようかと思ってるんだ」
「撹乱?」
「そう、撹乱。確かにラオを含め、三人とも近接戦闘はできそうだけど、他のチームにも近接戦闘が強い奴は沢山いる。そこで鍵となってくるのは、俺たちそれぞれの『能力』を活かせるかどうかって事だ」
「……確かに、我々の能力を見るなら、その方が無難かもしれませんね」
最後に応えたラオは『結界士』の二つ名を持つ魔法特化のエキスパート。レスター王国の魔術防壁を作った張本人である事などから、魔法を使って守りを固めるのに長けていると見える。
次にキュモの『未来の預言者』という能力はまさに万能である。攻守一体で戦えるものではあるが、どちらかと言えば守りに徹した方が強みを活かせるものであるそう。
だが、肝心の銀何は完全に近接攻撃特化だ。いくつかの武器や道具でも戦えるので、キュモやラオが危険に晒された時にカバーに入ることはできそうである。
「でも、一体どんな風に他のチームを『撹乱』しようと考えてるんだい?」
「そこが大事になってくるよな。まずはラオの出番かなっていう所は考えてる。」
「やはり俺……ですか」
「そうそう。『結界士』の力を活かしていく為には、『守備範囲』を広げる必要がある。……と言っても、このフィールドがどんな地形をしてるのかは定かじゃないからさ。まずは地形把握をしつつ、時々ラオに頑張ってもらうと」
青チームは特に意見の対立をする事も無く、地の利とメンバーの能力を活かして戦う作戦を開始した。最初の出番が来るとのラオの能力は、どのようなものなのか。
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続いて、紹介の時と順番は変わるが紫チームを見ていこう。
ムオウ率いる紫チームは、三人ともが青チームよりも速いペースで疾走しているようだ。しかし、その目的はフィールドの把握というより、『索敵』に近いと思われる。
「ムオウ様、ニダンさんとも……私は初対面ですので緊張しておりますが、やはり……敵を見つけようとしてらっしゃいますか?」
「ああ、そうだぜゴレスちゃん。俺たちの強みは、『先制攻撃』と『布陣展開』の二つだからな。先に敵を見つけた方が有利になるって訳だ」
「なるほど……それは良きお考え。私もお恥ずかしながら……早く戦いたいという衝動に駆られておりますわ」
「俺のチームメイトは血の気が多いな……」
最初に問い掛けたゴレスは、戦闘メイドという謎の役職に就いている。様々な銃火器を所持しており、ゴレスに不意に弾幕を撃ち込まれた際には、いつ体が蜂の巣状になっているか分からない。
ゴレスの問いに応えた紫チームのリーダー、ムオウは『Sランク』の刀使いであり、近接戦闘は極まって強い事に加え、能力によってトリッキーな動きを見せる。
最後に温度感の差に当てられていたニダンも剣士である。ムオウの持つ刀とでは武器の形は違うとは言え、近接戦闘も強く、『移動速度』だけは殆どのプレイヤーにも負けないレベルの実力者だ。
紫チームは、敵を見つけたら即座に倒す事ができそうな能力の持ち主が多い為、全速力で索敵を優先している。紫チームの狩人達に見つかるのは、どのチームなのだろうか。
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続いては、ロワ率いる緑チームを見ていこう。
ロワ達三人は、前述の二チームと違って動きを止めていた。かと言って何もしていない訳ではなく――、
「なあロワ……さん? これって……」
「テリガ、積極的に戦いたい気持ちの君には申し訳ないが……僕達は最初、決して『敵には見つからずにフィールドを監視しようと思う。――アセス、準備はいいかい?」
「大丈夫です、ロワ。間も無く発動させます」
ロワの催促を受けて、アセスが周囲に魔法陣を展開する。それも、空中にいくつもの魔法陣が浮かんでいて、森の中では幻想的に見える。それらは一気に光り出す。
「では行きます――魔法陣発動! 『不可視化』、『飛翔』、『ウィーラ・圧縮造形!』」
アセスは同時に三種類もの魔術を発動する。
前者二種は名前の通り、ロワ達三人の姿を他のプレイヤーの視界から見えなくし、加えて上空に浮かふ効果を付与する魔術。
三つ目に発動したのは、緑魔法――言い換えるなら風魔法を派生したもの。通常であれば、木材のような柔らかい物を切ったり対象を吹き飛ばす緑魔法を限界まで圧縮し、魔力ごと『空中に溶け込ませた』ものだ。
結果的にロワ達は空高く飛び上がり、絶対に他人の視界から見えない上、魔力検知もされない状態で、上空に留まる布陣を完成させた。
「さて、二人とも。これで僕達は『空まで届く攻撃』にでも当たらない限り、安全な状態となった。後はゆっくり地上で起きる戦闘を見下ろすとしようか」
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最後に、烈火率いる赤チームだ。
赤チームは烈火とオウガの二人が森の中を歩いているようだ。残ったトツキは『奇襲の弓兵』と呼ばれているだけあり、生えている木を飛び渡りながら索敵をしている。
トツキが烈火達の元を少し離れ、しばらく先に進んだ所で、木の上から影を二つ発見する。
「ん? あれは……ブラックとマグナス……黄チームか!?」
というように、初の接敵をしそうになっているのだった。




