第十五話 決着の日
決着編
「烈火雨」
「氷刃雨獄」
二人が大技を詠唱した。そうして空から氷と炎が降ってくる
「……どうだ?」
瓦礫や住宅からブラッドハウンドは姿を現す
「残り100ぐらい……か」
煙が晴れると、氷の重さで崩れた家や、炎の海と化した道路が姿を見せる
瓦礫や家の中からもブラッドハウンドが這い出してくる
「なぁ、アルベルト」
傷ついた体は徐々に元へ戻り、死んだ仲間の血を舐めて回復する個体もいた
「はい」
その直後、目や体から赤黒い光が一瞬だけ閃く
「これって、結構まずいよな?……というか、また強くなった? 同族の血でも」
「そうだと思います。そして、強くなったとも思います」
少し遠くの民家から悲鳴が聞こえる。きっと血を吸われているのだろう
リュシアとセイアがそちらへ顔を向ける
「やっぱりあれだけやったのにまだ残ってる……」
「司君。私の神裂断なら、倒せるかもしれません」
「うん」
「でも、此処で放つと家は消えます」
「そうか……倒せる、でも放てない……ってことか」
「そういうこと……だね」
司は下を向き、少し考え込む
「だったら、王都の端の方まで誘導すればいいんじゃねぇの?」
「確かに」
「それなら王都への被害は最小限に神裂断を放ち、ブラッドハウンドたちを殲滅できる……そう考えているのですか? 司」
「ああ。そうだ」
「じゃぁアルベルトは浮いて先の障害物をどかしててくれ。俺が誘導する」
「そしてリュシアはセイアと協力して反対方向……あっちの時計台のある方に住民を避難させてくれ」
司が時計台のほうを指さす
「そして俺が誘導できたらアルベルトが空に火を放つから、それが見えたら……来てくれ」
「できるか?」
「いや、できるじゃない、やろう!」
「では、私は先に」
アルベルトはそう言うと羽を広げ、空へ飛び上がる。そのまま道路上の障害物を炎で燃やし、砕いていく
「リュシア。またあとでな」
「うん。司君」
「魔獣どもぉぉぉぉ! ついてこぉぉぉい!」
司は道路を氷で覆い、そのままフィギュアスケートの要領で滑っていく
ブラッドハウンドも追いかけてくる。氷に足を取られるかと思われたが、足の裏の毛と肉球をうまく使い、速度を落とすことなく迫ってくる
「結構距離があるな……氷壁!」
司が氷壁を生み出し、ブラッドハウンドの進路を塞ぐ
ブラッドハウンドは端へ寄り、氷壁をよけようとする
「氷槍!」
「危ない……」
大きな音とともに、ブラッドハウンドの一匹が氷壁を破壊する
開いた穴から亀裂が走り、氷壁は広がるように崩れていく
「氷針追尾!」
「これでいったんは少し安心──……
なわけなかった!」
司のすぐ後ろまでブラッドハウンドが迫っていた
「ちょっと速度を上げるか」
司はさらに加速し、距離を広げる
その先にあった障害物を、アルベルトが炎で砕いた
「ありがとよ! 巨氷!」
司の後方に巨大な氷がせり上がり、道路を塞ぐ
しかし、それも長くは持たない。ブラッドハウンドが氷を破るのは時間の問題だった
さらに道路沿いの住宅からブラッドハウンドが飛び出してくる
「そうか、こういうことも想定しなきゃな! ギリ離れてたから良かった……」
### リュシア・セイアside
「セイア。あっちの方に取り残された人がいた!」
「分かりました。行ってきます」
「こちらです! 大丈夫ですか!」
「あ……ああ、ありがとう……手、貸してくれるかい……?」
「分かりました」
セイアは手を差し出す
「ありがとう」
「いえいえ。一緒に行きましょう。こちらです」
セイアに支えられ、住民は避難場所へ向かう
「リュシアさん! 負傷者運びました!」
「分かった! この人の対処が終わったら行く!」
「魔獣はこっちに来ないんですか?」
「今は私の友達……が対応しています」
「リュシアさん。かなり、壊れちゃいましたね」
### 司side
「よし、そろそろ住宅がなくなってきたな」
「アルベルトまであと少しか……よし! 氷晶足場!」
司は空中に氷の足場を作り、アルベルトの浮いている場所まで上がっていく
「よし。合図を送ってくれ」
「承知しました。焔槍!」
炎の槍が時計台方面へと放たれる
「少し待つか」
・・・
「司君!」
「リュシア。来たか。セイアは?」
「あっちで避難誘導をしてる。やっぱりまだ炎は燃えてる」
「分かった。じゃぁここならやれる。つまり……神裂断を放てる……な?」
「うん」
「……神裂断!」
ブラッドハウンドが神裂断によって次々と切り刻まれていく
それでも生き残った個体は、死んだ仲間の血を飲み、ステータスを上げながら傷を癒していく
「んじゃぁここからは3人で行くぞ!」
「了解!」
「承知しました」
「焔刀」
アルベルトは炎で造られた刀を握り、ブラッドハウンドを次々と切り伏せる
だが、驚異的な生命力を持つ相手は、切られただけでは倒れない
「押しつぶされろ! 巨氷!」
巨大な氷が落下し、ブラッドハウンドをその下へ押し込む
「風刃」
風の刃がブラッドハウンドを切り裂く
普通の氷槍なら倒せない……なら!
「それからの超硬質氷槍!」
高密度に圧縮された氷槍がブラッドハウンドを貫く
最後の1匹が倒れた
「終わったぁ」
「よし──……」
「被害確認だ」
司は周囲を見回した
To Be Continued──…




