介護士は鍛えた・その4
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お待たせしました。夜勤明けは自宅に帰るまでの運転が危なくてしょうがないですね。無理はいけません。事故のもとです。なので会社の駐車場で、車中泊よろしく仮眠を取ったりします。
牛獣人。犬獣人にコボルト、豚獣人にオークという、よく似た魔物が居るように、牛獣人にはミノタウロスという似た魔物がいる。話しかけて会話ができれば獣人、できなければ魔物とみていい。慣れれば魔力の感じで判別できる。魔物は闇属性が強い。
牛獣人にしろミノタウロスにしろ、牛の特徴を持っていて、怪力で大柄ということは変わらない。あと女性は巨乳である。分類的にはシカの仲間だが、シカ獣人が山岳地に住んでいるのに対して、牛獣人は平地に住んでいる。あまり起伏は得意ではないのだ。嗅覚が人間より優れているのは、シカ獣人などと共通している。
胃袋が4つあって反芻するというのは、ミノタウロスだけの特徴で、牛獣人は普通に1つしか胃袋がないし、反芻もしない。あと菜食主義者というわけでもない。まあ、傾向としては肉より野菜のほうが好きであるらしい。
「さあ、これで最後です。ふふふ……。」
「実戦訓練を開始する。」
魔物の森へやってきた。
この森は、浅いところではゴブリンなどの初級の魔物、深いところではオーガなどの中級の魔物が出る。新設部隊の実戦訓練としては、浅いところから順番に戦っていくのがちょうどいい。
「特に口は出さないので、できる所までやってみよう。」
獣人部隊は森に入っていった。
まず兎獣人がその聴力で索敵し、犬獣人がその嗅覚で索敵する。
発見したら合図し、それを受けて猫獣人と虎獣人が飛び出す。待ち伏せと奇襲が得意な猫系獣人の瞬発力には、目を見張るものがある。
馬獣人は左右から包囲するように回り込み、熊獣人は正面からそのタフさを生かして突撃する。馬獣人には、兎獣人や犬獣人が乗って一緒に移動し、さらに索敵範囲を拡大する。
個人の能力も部隊としての連携も、見違えるように良くなった。これならオーガ相手でも特に問題なく討伐できるだろう。
あとはパワードスーツゴーレムを配備したら、さらに強くなるだろう。セシールに相談してみよう。馬獣人だけ明らかに骨格が違うから、たぶんゴーレム最初から作り直しだな。まあ、馬獣人にはニンジンパワーがあるからいいか。
「しかし、問題発覚だな。」
「問題? どこが?」
「うまくやれてると思うけど。」
「何か問題があるっすか?」
俺の指摘に、3人ともが首をかしげる。
失敗は成功の元とかいって、失敗から学ぼうとする事は多い。それはいい事だ。しかし、成功から学ぼうとする姿勢も必要だ。
不思議と成功する事はあっても、不思議と失敗する事はない、という言葉がある。それは半分正しく、半分間違いだ。世の中の大半が成功する事なら、不思議と失敗する事はないというのは正しい。だが、世の中の大半が失敗する事や、世の中にはまだない新しい事に挑戦するときは、不思議と成功する事はないのだ。
「アーネスの女限定部隊は、本当なら人間を組織するはずだった。
だが、今のこの部隊を見ると、獣人の能力に頼って成果を出している。
これはこれで成功しているが、ここに人間を混ぜたら、どう使えばいい?」
「あっ……。」
「えっ……。」
「おお……。」
既存の警備隊に混ぜて使うならいい。
だが、女兵士はこれから募集して、これから鍛えようというのだ。獣人たちとの能力の差はどんどん開いてしまうだろう。結果、人間は補給などの後方任務にしか使えないという事になりかねない。
まあ、最初はそれでもいいかもしれない。後方支援だって立派な仕事だ。それなくして作戦は成り立たない。ただ、もっと前線で活躍したい、獣人に負けていられない、という意識の高い兵士が入ってきた場合には、その心意気に応えられる制度が必要だ。
「特殊部隊を作るか。」
日本警察の中のSAT、アメリカ警察の中のSWAT、消防庁の中のレスキュー部隊、自衛隊の中の第1空挺団など、いわゆるエリート部隊。制度として用意しておけば、そこに挑戦しようという根性を見せる者も現れるかもしれない。合格すれば、それはそれで喜ばしい事だ。
もっとも、今の部隊規模で特殊部隊を作るのは、ちょっと難しい。分けるほどの人数がいない。
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