介護士は鍛えた・その2
読んでくれてありがとうございます。
楽しんでくれると嬉しいです。
獣人の中でも、最も人間に近いのが、猿獣人だ。尻尾と体毛があるものの、爪だの牙だの耳だのといった特徴はない。しかし元々人間に近い特徴を備えている分、純粋に身体能力は高くなっている。何をやっても全体的に筋力が強いのだ。
たとえば犬獣人は、走るのは速いが、握る力は弱い。だから短剣を持って走り回りながら戦うのが得意だ。長剣を使うと、握る力が弱くて簡単にはじき飛ばされてしまう。ところが猿獣人になると、走るのも握るのも強い。走るのは犬獣人ほど速くないが、人間より速いので、人間と同じ剣術を、人間より速く・強く使うことができる。
他の獣人のように特化した能力がない分、全体的に強いというわけだ。しかし、弱点もある。魔法が苦手なのだ。肉体的には人間の上位互換みたいな性能を持っている反面、魔法では人間の下位互換みたいな性能になっている。
「さあ、あなた方も我が軍門に降りなさい。」
獣人部隊は走りながら魔法を2種類使うことに苦戦していた。
「そんなに難しいか?」
自分がどうやっているのかを確認するため、走りながら魔法を使ってみる。
加速・身体強化・防御力向上……ああ、なるほど。
「よし、ちょっと小道具を用意しよう。」
紐と盾でいいか。
全員に配布して、紐は足首に結んで貰う。ミサンガみたいな感じに。
「足首の紐は、加速魔法を補助してくれる。
手にした盾は、防御魔法を補助してくれる。
全員、そのまま走ってみよう。」
やらせてみると、すぐに加速魔法と防御魔法を同時に発動しながら走れる奴が現れた。
要するに、集中力が問題なのだ。走る事に集中すると魔法が使えない。魔法に集中すると走れない。だが足首に紐をつけて、手に盾を持ったまま走ることはできる。そして紐の感触と、盾の重さに意識を奪われる。魔法を使うには、その程度の集中力でいいのだ。
紐の感触で加速魔法に意識を向け、盾の重さで防御魔法に意識を向ける。その程度の集中力で魔法を使えないのなら、まだ魔法の訓練が足りない。そしてこの部隊には、魔法の訓練が足りない奴はいないはずだ。
「なるほど。考えたわね。」
「アルテナは、どうやって複数の魔法を?」
「1つの魔法を発動したまま、他の魔法を発動するのよ。
よく使う魔法、常に使い続けてもいい魔法から、順番に同時使用の数を増やしていくの。
寝ていても発動するぐらい癖になれば、同時に使う魔法を増やしても大丈夫だから。」
「つまり紐も盾も使わない方式か。」
「そうね。だからもうちょっと時間がかかると思っていたわ。」
読者様は読んで下さるだけで素晴らしい。
ブクマとか評価と化して下さった読者様、ありがとうございます。
作者は小躍りして喜んでおります。




