介護士は気づく
読んでくれてありがとうございます。
楽しんでくれると嬉しいです。
疾走する馬獣人に乗って、猫獣人の村にやってきた。
「ニャるほど。
それニャら協力するニャ。ジャイロには世話にニャったニャ。」
柔軟でバランス感覚に優れる猫獣人がアーネスの実験部隊に加わってくれれば、馬上でも徒歩でも優れた能力を発揮するだろう。
「あと、キウイフルーツの輸送も頼んでいいニャ?」
マタタビ成分を手に入れるためにキウイフルーツを栽培している猫獣人。
だが実ったキウイフルーツには興味がない。だから売る。追熟に1ヶ月かかるから、その間に遠方へ運ぶことも可能だ。馬獣人に運んで貰えば、さらに遠くへ売りに出せる。
俺が馬獣人を見ると、馬獣人はうなずいた。
「任せろ。」
やはり馬獣人。人だけでなく荷物を運ぶことも得意だ。しかも彼らにとってそれは承認欲求を満たされる行為である。
「ところで……。」
俺は、「蛇」の事件と、虎獣人や犬獣人の異変について話した。
「そういうわけで、猫獣人も気をつけた方がいい。」
俺がそう言うと、猫獣人は首をかしげた。
「それって、あのハゲ貴族も洗脳されてたんじゃニャいかニャ?」
言われてみて、はっとした。
無茶な要求をするのに怒鳴らなかった、あのハゲ貴族。なぜ? とは思っていたが、洗脳されていたのだとしたら、納得だ。
だが、そうすると別の疑問が浮かぶ。毛生え薬を作らせて、それを購入する。そんな行動を、洗脳してまでやらせる目的とは?
「あの薬には、兎獣人の毛が必要だったニャ。
あれのせいで、兎獣人とちょっと仲が悪くニャったニャ。」
「つまり種族間の対立を煽るため、という事か?」
そう考えると、熊獣人と虎獣人、馬獣人と犬獣人のパターンに一致する。
しかし、片方の種族を洗脳するのではなく、あえて第三者のハゲ貴族を使った理由は何だろうか? いや、この部分は「犯人」のノウハウが変わったという事だろう。深く考える意味はないか。重要な事は「何を」とか「いつ」とか「誰が」とかではなくて、「なぜ」「どうやって」の2つだ。特に「なぜ」が重要で、これが定まっていれば他のことは変更してもいい。要するに目的や動機こそが重要で、手段は変更しても構わないという事だ。
そして洗脳といえば「蛇」が思い浮かぶ。獣人のケースと比べて、「蛇」はかなり大規模で念入りだった印象だ。あれも対立を煽るためだとしたら、「蛇」と国家の対立というのは内乱に発展する可能性もあって、だいぶ大規模である。
そうしてみると、「蛇」に始まって、猫獣人と兎獣人、熊獣人と虎獣人、馬獣人と犬獣人……どんどん「犯人」の手法が劣化しているように思える。とくに犬獣人の変異なんて、明らかに「黒幕が居ますよ」と宣伝しているようなものだ。
問題は、その黒幕の居場所や人物が特定できていない事だ。
読者様は読んで下さるだけで素晴らしい。
ブクマとか評価とかして下さった読者様、ありがとうございます。
作者は小躍りして喜んでおります。
休日で暇だったので、短編を書いてみました。
「俺のスキル「適応」が便利すぎた件」
https://ncode.syosetu.com/n1401fz/