介護士はすれ違いになる
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熊獣人の村から戻って、セシールにパワードスーツ・ゴーレムの感想を伝えた。セシールも独自に改良案を用意していたようで、さらなる改良のためにゴーレムは一旦返却する事になった。
そのあとギルテールの街へ戻ってきたので、アーネスの所へ顔を出そうと思ったのだが。
「隊長なら出撃中です。」
「今度はどこへ?」
「犬獣人に襲われた馬獣人を助けに行きました。」
また獣人が獣人を? しかも犬獣人……とマクセンを見る。
クォーターだが、マクセンも犬獣人だ。犬獣人の血は25%なので、走るのは得意だが、見た目は完全に人間で、嗅覚もそれほど鋭くない。
そのマクセンは、困惑した顔で首をかしげていた。
「馬獣人なんか襲っても、食うわけでもないし……どういう事っすかね?」
「やはり、か。」
「兄貴?」
「『蛇』の後ろにいた奴が動き出したという事だろう。」
虎獣人と同様に、おそらく今度は犬獣人が洗脳されている。
ただ「蛇」のときと違うのは、単純な洗脳ではなさそうという事だ。その証拠に、虎獣人が熊獣人を圧倒した。それほど実力差があるはずのない両種族に、それほどの結果が出たのだから、強化魔法みたいな作用も加えられているのだろう。
とすると、犬獣人も強化されているはずだ。だから馬獣人が警備隊に頼るような事態になったのだろう。そうでなければ、馬獣人もけっこう戦える種族である。足は速いし、四足歩行だから踏ん張りがきくし、上半身が人間なので手も器用である。馬獣人1人が騎兵の役割をそのままこなせる。
馬獣人の下半身は馬の首から下になっており、要するにケンタウロス状態だ。だから馬部分に人を乗せる事もできる。そうすると馬獣人と騎手の2人で左右を同時に攻撃するなど、手数が2倍になる。警備隊が馬獣人と協力すれば、非常に強力な騎兵ができるだろう。馬術に慣れていない者でも、馬獣人なら言語で意思疎通ができる。
「なるほど。貴重な情報ありがとうございます。隊長に伝えておきます。
……それで、隊長に何かご用でしょうか? 伝言なら承りますが。」
「ああ、いや……一応婚約したわけだし、俺の両親をこっちへ呼んで、ゴーファ公爵と顔合わせをしておかないと……と思っているんだが。」
婚約直後にもゴーファ公爵に確認したが、しばらく「蛇」の後始末で忙しいという。
だから両親には手紙だけ送っておいた。俺の両親は、元冒険者で今は農民だから、いつでも出てこられる。そんなわけで、そろそろゴーファ公爵の予定が立たないかと思って相談に来たわけだ。
「まあ、ちょっと確認だけしておきたかったんだ。
居ないなら別に、また今度でいい。」
ゴーファ公爵に時間ができても、アーネスが警備隊で忙しいなら両家顔合わせは無理だ。
そして虎獣人の洗脳に、犬獣人の暴走?と来れば、おそらく警備隊はまたしばらく忙しくなるだろう。その後で公爵も後始末に忙しくなり……というわけだ。
スマホですぐ連絡がとれた地球が懐かしい。だが、昭和の頃は、こんなものだったか。小学生の頃、日曜日に友達と遊ぼうと思ったら連絡がとれないなんて事は珍しくなかった。家の固定電話しかなかったから、しかも田舎で日曜日だって家族は畑仕事に出ていたり、友達本人も外で遊んでいたりすると、電話の音なんて聞こえない。どうせ暇だからと思って直接出向いてみて、やっぱり不在だったなんて事もある。
「それより、犬獣人の所在が分かったのならチャンスだ。見に行くぞ。」
「兄貴、ブレないっすね。」
「本当はアーネスが心配とか?」
マクセンが苦笑し、アルテナがニヤニヤしている。
アーネスは元々強いのが俺との対戦でさらに強くなっているし、馬獣人の協力も得られるなら、そう心配ないだろう。とはいえ、人質を取られると弱いところがある。また捕まって裸に剥かれていないかと思うと、いくらか心配ではある。
……む? これはフラグか? いかんいかん。思い込むと引き寄せてしまう。アルテナめ、余計なことを……。俺は犬獣人を楽しく観賞しに行くだけ。モフモフと戯れに行くだけ。思い込み思い込み……ダメだ。馬獣人を襲っている犬獣人なんて、楽しく観賞する状況じゃない。
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作者は感謝感激しつつ、小躍りして喜んでおります。(o´∀`o)キャッキャッ♪
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