介護士は追跡する
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公爵を誘拐した犯人は、警備隊が追跡している。
転々と目印を残していってくれる事になっているそうだ。
「これだ。」
早速アーネスが目印を発見した。これだと言われても、どれだか分からない。俺の目には、特に目印らしい物は何も見えない。こういう場合の訓練を積んできたのだろう。一見しても分からないという事は、兵士が捕虜になって連れ去られたような場合にも備えていたという事か。その場合には、連れ去る連中に気づかれないように目印を残す必要がある。
「いくぞ。」
アーネスがどんどん進んでいくのを、俺たちは後から追いかける。
「隊長。こっちです。」
「うむ。ご苦労。」
しばらく走ると、誘拐犯を追跡している兵士と合流を果たした。
少し離れた所で、誘拐犯がゴーファ公爵を連れて行くのが見える。
どうするつもりかとアーネスを見ると、アーネスは首を横に振った。
「このまま隠れて追跡していこう。」
ここで襲撃すればゴーファ公爵を取り戻す難易度は低い。だが、それだと「蛇」の本拠地が分からない可能性がある。殺さずに制圧するにしても、それから尋問する手間がかかる。洗脳されているメンバーだったら本拠地は分からないだろうし、洗脳されていないメンバーだったら素直に尋問に応じるとは考えにくい。嘘の情報を教えられて何度も確認に走るという可能性もある。警備隊長であるアーネスが同行している時点で、あんまり時間をかけていられない。警備隊の指揮を誰かとるのか、という問題になるから、よそで「蛇」の別働隊が動いていても満足に対応できないという事になる。
だから、このままバレずに追跡していけば、素直に「蛇」の本拠地まで案内してもらえるかもしれない。ただ、ゴーファ公爵を殺害するのではなく誘拐するという時点で、向かう先は本拠地ではなく誘拐専用に用意した別の場所という可能性もある。だが、それならそれで敵も大勢いるだろう。尋問相手が増えれば正しい情報を喋る奴もいる可能性が上がる。
「さすがに冷静だな。」
誰かさんは村を制圧されて暴走していたが……とアルテナを見ると、ちょっとイラッとした顔で見られた。
「どうせ私は冷静じゃないもん。」
俺は肩をすくめる。
どっちが良いか悪いかという話ではない。大事な事は、自分を俯瞰して見ることだ。そして状況に適した、自分の目的に向かうために有利な態度を選んで、表に出していかなくてはならない。いつも感情の赴くままに振る舞っていたら、気分屋で付き合いにくいと思われてしまう。
人間は1人ではそう大した事はできない。仲間が居て、共通の目標に向かうから大きな事ができる。自分の幸せを作るために、仲間は必要だ。そして仲間を得るには相応の振る舞い方というものがある。つまりは、その人の態度が、その人の人生を作るということだ。
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