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修道院で暮らす魅惑の魔女  作者: 青い時計


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22/22

修道院で暮らす魅惑の魔女達



 闇の林事件の後、事情聴取と念の為の軟禁、魅惑発動有無のチェックや実験期間が過ぎ、ようやく修道院に帰ってこられました。お城の軟禁部屋のベッドをとてつもなく持って帰りたかったです。


「結局あれは収拾というか何というか、どう丸く収まったのですか?」


 修道院の応接室で直属の上司であるモンド様に向けて伺います。


 掃除ついでに修道院全体に空間魅惑を掛けたミアが虫を全部追い出している最中なので視界が若干ピンクがかっています。


「初めて行使した常時発動魔法に酔って、やりたい放題だったという状態だろう。基礎魔法を使い始めたばかりの子供と同じだ。意識を刈ったのは正解だったな。気絶させるという手段が確立しているのと、魅了中は誰が見ても判りやすい色変化が起こるので判定が容易と判断され、様子見だ。今後も実験に協力して貰う必要はあるが、どこぞの傾国のように暴発されるよりはましだろう」


 宮廷魔法士の中ではそういう結論になったようです。室長のモンド様が仰るなら間違いないでしょう。また何かの拍子に今度は監禁になったらどうしようと思っていたのでほっとしました。


 バッシブスキルぽかったからログアウトというか意識消失でキャンセルできるか不安だったのですけれど、できたので安堵しました。能力ロード中のログアウトで巻き戻った説も無きにしも非ずですが。

 でもあの後は皆制御できていたのであの時が特別だったのか、魔獣という命の脅威に魅了が暴走したか、とりあえず魅惑を使う事しか考えていなかったので魅了が何の制約もなくて制御不能状態になっていたか。分かりませんが、とにもかくにも最初の一歩って偉大ですよね。ブレスレットが五連になったのが少し煩わしいですが、引き続き自由行動を認められるなら軽い代償ですね。


 そうそう。軟禁期間中の(人体)実験で、私も自由に魅惑魔法を使う事ができるようになりました♪ やったね。いつでも傾国になれるよ!

 但し、発動対象を定める必要があります。対象が魅惑状態になるまで魔力が自動発動状態になって、ごそっと力を持っていかれるので疲れます。

 対象は視界内に居ないと発動しませんでした。あと、寝たら効果が切れます。これは他の魔法と同じですね。それを補うために魔法道具があるのですし。


 そう考えると国々を滅ぼしたと伝えられる傾国の魅惑持ちが本当に国を滅ぼしたのか怪しくなるのですが、彼女の資料は何も残っていないので推測しかできないそうです。

 得意魔法が音魔法だったとか、魅了を常時発動しても問題ない底なしの魔力量持ちだったか。

 そもそも論であの時代は国家間の情勢が不安定だったらしく、国が滅んだ事や人々が亡くなった責任を全て魅了持ちの傾国として押し付けられたのではないかという説もあるようです。


「それよりも例の糸指輪。効力が強すぎる」


 驚いて首を傾げながらモンド様を見やります。


「ぇ、効果なんてとても小さな物じゃないですか?」


 だって、モンド様レジストできるって言ってたし。

 それに何処かに無くした指輪や筆記具や斧が出てきたとか、数量限定タイムセールにかち合ったとか、街角で意中のあの人とぶつかりそうになっちゃったとかだからちょっと確率が良くなったくらいでしょ??


「無くし物が出てきた、運がよかった。そこまではまあいい。だが、限定された相手との遭遇は、明らかに相手の行動も制御しているぞ」

「ぃゃぃゃ。ただの巡り合わせじゃないですか?」

「糸指輪の持ち主全員が意中の相手に合えるのだぞ? 宮廷魔法士全員で確認したから間違いない。中には隣国の王子と会えた者もいる。どう考えても見えない糸に操られている。他人の運命を捻じ曲げていないと言い切れるのか?」


 そう、言われると、そうなのかな? あれ? そんな大事になってる??


「国全体に人の行動を歪める魅了魔法道具をばら撒いている。各人を監視すればよい魅惑魔法より厄介だ」


 ぁー、やっぱり修道院って影ながら見守られるというか、監視されていたのですね。これで強盗に遭わない事が確定です。お貴族様に拉致られる事もないでしょう。安心安心。


「殆どの糸指輪は使用済みのようだが、未使用の物もある。出回った数が多すぎて把握できない」


 宮廷魔法士室長モンド様の目が剣呑です。

 あれ? 何かやっちゃってましたか、私。


「早急に魅了無効か魅了返しの作成が必要だ。睡眠時間など無いと思え」


 つい目をそらした窓の外では、姉妹達が魅惑をかけた小動物を集めて撫でまわしております。


 ぁぁ、平和だなぁ。オーレリア姉様に泣きのお手紙だしたら睡眠時間確保できるかなぁ。


 そんなことを思いながら見上げた空は晴天です。


 綺麗な小鳥がピーッと鳴きながら青空を横切って行きました。




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