謁見とラブ
久しぶりの休日ということで修道院でゴロゴロしておりましたら、王様からのお呼び出しで院長先生がお出かけらしいです。
院長先生がご無事でお戻りになられますように。
などと殊勝に思っておりましたら私も一緒に呼び出されてました。てへ、行きたくない。
そんな理由が通るはずもなく謁見です。
でも今回は元2の姉様オーレリアさんも一緒です。ちょっと気楽ー。
もれなくモンド様も姉様に付き添っておられます。あら、赤ちゃんも連れてらしたのね。寝てる。かわいー。
揃って頭を下げておりましたら王様からお言葉がかかりました。
「グラジュエラよ。もはや誰も異論を唱えられぬ。素晴らしい成果だ」
発言されたのは推定年齢おじちゃんな王様です。お髭もふもふですが、親しげに名前を呼ばれたのは院長先生でした。
知り合いより親しそうな呼び掛けかたでした。何気に本名を今知りました。
6音か。やっぱりお貴族様だったのですね、院長先生。
「恐れ入ります陛下」
「そのように畏まらずとも良い。そなたはもはや誰憚る事のない余の誇る妻ではないか」
って、まさかのご亭主!? 院長先生の!??
たしか王様には病弱な奥様がいらしたはずですけれど、お子様は三人いらしてて、これまた病弱な三女の姫様と一緒に基本的には宮に引きこもって一般にはお出ましにならずに養生していらっしゃるのが世間の定説です。
ん? 待って。そもそも病弱なのにお子様三名とか、それは病弱ではないのでは?
「既に反対する者はおらん。余の愛する唯一の妃として城に戻って来て欲しい」
よし、情報量が多い!
「わたくしの生まれ石は魅了を示すものでございます。陛下の治世に堂々と並び立つ事は許されぬ身。子もお授けいただきましたし、こうして孫もおります。どうかこのまま辞させていただきとうございます」
情報量過多!
監視役の院長先生すらピンク石持ちってどゆこと!?
「器の増加は世らの孫が体現しておる。捨て置かれた魅惑持ちを、そなたが修道院と名付けた場で健やかに育て上げた。魔法道具の達人でもある、そこなるシャルティのお陰で貴族子弟の魔力量も総じて上がっておる。庶民にも行きわたる事ができれば国民全体の魔力も上がるであろう」
ハッ。よく見たら赤子ちゃんの髪のキラキラ具合と姉様のキラキラ具合と王様のキラキラ具合がそっくり。確実に遺伝。
「オーレリアーヌ・オ・ミゼラ・ヴィロスも大儀であった。モンドリアル・コルビュジエ・メルジールと末永く幸せに歩むことを祈る」
優雅にお辞儀をなさる姉様。
オーレリア姉様、実は7音だったのですね。王族じゃないですか!
そして王様とそのお妃様であらせられる院長先生とのお子? つまり上二人と年の離れた病弱な三女の王女様って姉様の事!? 病弱すぎて民にも貴族の前にもお出ましになられない、絵姿も出まわっていない幻の王女様!?
「戻って欲しい。グラジュエラ」
王座を降りながら院長先生を見つめ、歩み寄る王様。
それを合図にしたかのように控えておられた方々が続々と退出なさいます。
モンド様と姉様もお辞儀をしてくるりとこちらをご覧になられました。
慌ててお辞儀をして姉様達に続きます。院長先生を置いて。
どゆこと?
院長先生6音だから上位貴族出身だろうし、王様が院長先生にラブでお妃様にはなったけれど、ピンク石だから反対されてて公式には表に出られなかった?
そこに三女のオーレリア姉様までピンクだったから修道院立ち上げてお城から逃げ出した? もしくは何らかの条件があって達成するまで妃に戻れなかった?
ちょっと、誰か捕捉説明ないの!?
そのまま退出して、キョトンとしたままの私には、褒美としてチャリチャリと音が鳴る布袋が渡されました。
結局誰も詳細説明してくれなかった。聞かない方がいい話って世の中にはあるよね。
きっとそれだ。そうに違いない。。。納得できかねる!!




