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一日一詩  作者: 時ノ宮怜
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向世

 暗く厚く、見ているだけでその空気に重みを出すような

 そんな雲が空を覆う

 轟き、嘶き、音だけで人々に畏怖を与える

 原初の神話が鳴り響く

 風は荒れ、雨は横ばいとなり

 決して抗う事は出来ないと見せつけられる


 そんな景色を私は安全なここで見る

 風も、雨も、微塵も感じない

 轟きに驚きはすれど、それだけ、

 人が生み出した永遠の太陽の前に、

 どれだけ雲が重く立ちふさがろうと関係ない


 この灯りは人々の歩みそのものだから


 空はゆっくりと流れていき

 重苦しい雲もやがてその姿を消すだろう

 その確信が私に安堵を与える


 しかし、それでも

 恐怖はなくても

 興奮はあった


 重苦しい雲の向こう側

 遥か彼方の空に浮かぶ、私の頭上を覆うそれとは違う雲

 遠いからだろうか、雲のその上の上、上部すらもよく見える

 私の頭上はこんなにも冷徹な蓋なのに、

 あの向こうに見える、

 切れ間に見える雲は、日に照らされて輝いていた

 まるで、あの下には理想郷があるのだと信じさせるほどに

 そんな、柔らかな輝きがあった


 いつか私もこの、安全な場所を飛び出して

 外の恐怖と向き合って、

 あの向こうにたどり着けるだろうか

 あのアルカディアへ

ゲリラ豪雨がゲリラ過ぎて、自分の上空と少し向こうの空で全然天気が違っていました。

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