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滲夢
じっとりと滲むように
じくりと痛むように
夢のなかで感じる
過去の思い出
夢のなかで私の思い出にしみるように
にじむように
馴染むように
幸せが、一つまた一つと雫となって
でも、乾いた思い出には
まだ足りない
夢もなかで私の思い出は風化する
風に吹かれて
砂のように
楽しいが、一つまた一つと消えていく
でも、幸せの泉は
枯れることを知らない
じっとりと滲むように
じくりと痛むように
夢のなかで感じる
私は今が幸せだと
微睡の中で思うのだ
そこで見たモノが幻で
儚くて、覚えていられなくても
そこで見たモノが懐かしくて
儚くて、忘れられないものだから
ここが私の幸せ
覚めることを知らない幸せ
じっとりと滲むように
じくりと痛むように
私の夜明けがやってくる
寝ても寝ても、寝足りない
もう、ずっと寝ていたい




