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一日一詩  作者: 時ノ宮怜
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酷解

 なんて酷い話だ

 残虐で、残酷で、本当に泣けてくる

 なぁに、私は優しいからさ

 とりあえず、全部ここで吐いていきな

 そうすれば、少しは気分も晴れる

 大丈夫だ

 私は味方だからさ、

 聞くことしかできないけど、話していきな


 煙をくゆらせ

 独特の甘い甘い香りが充満する小さな部屋の中で

 顔も見えないお前が話す

 どうしようもない

 終わりの話


 始まりはクソくだらない

 よくあるありふれた不幸自慢

 誰それに騙されただの

 何それに失敗しただの

 そんなことは、この世界に溢れている

 誰もが経験して、そして踏み越えてきた

 そんな普遍的な一幕だ。


 だけど、この話はそれで終わらない

 お前は止まらない

 周りは不幸に、お前はもっと不幸に

 どんどん落ちていく

 人生は歯車。狂った歯車はどこへ向かうのか


 家族は消え、代わりに金は増え

 金は煙に消え、代わりに幸せな夢を見る

 夢は消え、あるのは空っぽの現実だけ


 ああ、本当に酷い話だ。

 可哀そうに、同情するよ

 私は優しいからさ、ほらお恵みってやつだ

 これをもってこの建物の裏に行くといい

 そこで人生変わる事を祈っているよ


 大丈夫、私は味方だからさ

 信じているよお前はかわれる


 あいつはきっと人生が変わっただろう

 私のくゆらせる甘い甘い煙よりもなお、蕩けるような煙を吐きながら

 幸せに浸かるだろう


 なんて酷い話だ

 残虐で、残酷で、笑いすぎて泣けてくる

嘘はいけない

だから、真実を隠して本当を言う

本当は真実なんかじゃない

嘘は優しさ

私は優しいから嘘をつく

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