50話 緑の王宮
その日、二人はまだ体の傷が完全に治っていなかったので休息をすることにした。エバーはコバルト、ライト、ピュアにそれぞれ部屋を与え、コバルトとハンタはその日はゆっくりと休んだ。
そして次の日
二人と一匹はそれぞれ起きると、昨日、みんなで話した家に向かった。そしてそこにはエバーとミントとハンタがそれぞれ席について待っていた。
「ああ、コバルト、ピュア、ライトおはよう。昨日はお疲れ様。今朝食ができるからちょっとまってね」
ハンタがそう言って席に腰掛けて椅子を後ろに倒しながらギッタンバッタンやっている。子供がよくやるあの行為だ。どうやら落ち着きがなさそうで朝ごはんが出来上がるのをただまっているだけだった。
エバーが席に座ってお茶を飲みながら待っている。ミントが台所でどうやら朝食を作っているようだ。ハンタは手伝わないのか?
「あ、ミント、よかったら私も手伝います。何かできることはありますか?」
「ああ、ありがとうピュア。わざわざありがとう。けど大丈夫だよ。あなたたちは客人なんだから座ってまってて」
ミントがにっこりと笑って優しくピュアに語りかける。すごい、緑色のハリネズミが椅子を使ってキッチンに立って料理をしている。本当にメルヘンの世界に来たみたいだ。
「ハンタ、あなたは手伝わないの?ここ、あなたたちの家でしょ?」
「あー、いいのいいの、ミントにやらせておけば。ミント、そういうのが好きで一人でやってるから。ピュアもこっちに来てまってなよ」
ハンタは初めっから手伝う気なんかさらさらないようだ。ただぼーっとテーブルで待っているだけだ。ああ、怠惰だなあの子。家事とかできなさそうな。
「あー、いいのいいのピュア、ハンタに手伝わせたら仕事増えちゃうから。あたし一人でやるから座って待っててよ。ありがとう」
ミントがピュアにこっそりと耳打ちをする。どうやらハンタは家事そのものが下手すぎるし雑なようで仕事を増やすタイプのようだ。全く女の子としてこれでいいのだろうか?
「おまたせー、できました!」
ミントが六人分のプレートを持ってくる。うわあすごい、ウッドプレートの上にサラダとスクランブルエッグにウインナーとパンの上にジャガイモが乗った朝食だった。他にもクロワッサンとかベーカリーもあって、コーヒーとグリーンティーも用意されていた。
「ああ、あと木苺のジュースもあるからね」
ミントがそういって瓶に入った赤色のジュースを持ってきた。ピュアはコップに入れてそれを飲むととても甘酸っぱくて美味しかった。なんだか、前の国ではあまりお目にかかることのなかった食べ物、飲み物が多かった。
ミントは窓を開けると、爽やかな森林の朝の風が家に吹き込んできてとてもいい感じだった。村は森の中にあって家のすぐ裏に木々が生い茂っているので小鳥の囀りが聞こえてきた。とても気分のいい朝食だ。
ライトがグリーンティーのラテを飲み干し、みな朝食をたべおえた。なんかこうやってみんなで食べるご飯は美味しいな。懐かしい。昔どこかでこんな感じあったかな?コバルトはそんなふうに考えていた。
「さて、ご飯も食べ終わったし、それじゃあそろそろいこっか」
「え?ハンタ、いくってどこへ?」
「ピュア、そんなの決まってんじゃん、王宮にだよ」
ハンタがそういうと、ハンタとミントとエバーは二人と一匹を外へ連れ出し、村を回った。村は青い国と違って森林の中にあり、とても静かで質素だった。前と違ってガヤガヤしたよした様子もなく、だれもいなかった。
村の端まで行くと、そこから建物はなく木々が生茂る中、一本道があった。森の中の一本道を抜けると、そこには白と緑でできた、青い国よりもずっと小さくなんとも質素な宮殿があた。そしてそこの庭にたくさんの緑魔族が待ち構えていた。
「ついたー、ここだよ。ここが緑の国の王宮だね。街から離れた場所にあるんだよね。じゃあさ、今から就任式を始めるからさ、よろしく」
ハンタがそういうと、四人と二匹は他の緑魔族に敬礼されながら王宮の壇上へとあがっていく。そして入り口の前にある壇上にたどり着くと、皆を見下ろした。
バサバサバサと突然そこに一羽のフクロウが飛んできて、ハンタの肩にとまった。すごい、深緑をした大きなフクロウですごく慣れているよいうだった。
「どうもはじめまして。私、スプルース・グリーン・アウルと申します。ようこそ緑の国へ。あなた様方は青魔族様でいらっしゃいますね。私はこの王宮で結界を張っているものです。よろしくお願いします」
大きなフクロウが翼を前に出し、ペコリとお辞儀をするとそう言った。ああ、なるほど、青い国はでラピスラズリが結界を張っていたが、ここではこのフクロウが結界を張っているのか。それにしてもフクロウが喋っているとかすごいなあとコバルトは思った。
「ああ、スプルース、結界を張っている中、わざわざきてもらってすまないね。昨日伝えた通り、コバルトがあたしに勝ったからさ、これからそのことについてここにいるみんなに話しておこうとおもってさ」
「はい、陛下。承知しております。では今より皆の前で布告をよろしくお願いいたします」
スプルースはそういうとハンタの肩から離れて近くの置いてあった止まり木にとまった。そしてハンタは王宮の広場に集まっている緑魔族を前に話を始めるのだった。




