296話 青と緑の親睦会
「それじゃあ、行ってきまーす」
コバルト、ピュア、ライトの三人はケッテンクラート、ドイツの軍用車に乗って行ってしまった。他のみんなはそれを見送った。
「さて、お見送りも終わったことやし、あとは彼らからの報告を待つだけやな。おいミント、すぐに緑の国に戻るぞ。転送魔法よろしく頼むわ」
ピスタチオが急かすようにミントに懇願する。ミントはしぶしぶ転送魔法を使い、街まで戻る。そしてピスタチオは緑の国のログハウスに入るなり、なんやら魔力ポケットから何かを取り出し、言い放った。
「さてさて、コバルト達が赤い国へ向かったから、ワイらはお留守番やな。とりあえず、今日は残ったメンバーで親睦会をやるで。みんな仲良くなるためや。そのためにいいものを用意したで。これや」
「ピ、ピスタチオ!あ、あんた」
ミントがギョっとして見ていると、ピスタチオが目の前に出したのは、案の定というか、予想通りというか、やはりあの透明の国で散々やった麻雀だった。ミントはそれを見て、ピスタチオが何を企んでるのか、ようやく理解できた。
「ピスタチオ、あのねぇ、あたしたちはお留守番って言っても、ただ寛いで待ってればいいってもんじゃないんだよ?まったくもう、あんたはいつも遊ぶことしか考えてないんだから」
「とかなんとか言って、お前もやりたいんだろ?ミント。みりゃあわかるぞ」
エメラルドが横槍を入れるようにミントに突っ込む。ミントはギクリとした顔をして、目を丸くしていた。図星だった。
「まあまあ、そうだね。せっかく人数いるんだし、よかったらやろうよ。あたしもピスタチオにリベンジしたいし」
「ほー!ハンタ!よー言ったな。せやせや。お前がどれだけ力をつけたか見てやるわ!楽しみやで」
「いや、ピスタチオ。麻雀をやるのはいいが、人数が7人しかいないぞ?どうする?2つに分けるのはいいが、人数が一人足りないぞ」
スプルースがピスタチオに突っ込む。何気他のメンバーもやる気になっているようだ。
「あー、せやなスプルース。あと一人誰か引っ張ってくるか。けど、親睦会やし、戦闘に参加しないやつを引っ張ってきてもなあ」
『そんなに人数がほしい?』
どこからともなく、部屋の一面に声が聞こえてくる。エメラルドはその声の主が誰か理解していた。いや、エメラルドだけではもちろんなかった。
「あー、もうわかったわかった、シャルトルーズ、いるのはわかったからすぐに出てこい!」
エメラルドが叫ぶとその場にパッとシャルトルーズとクロッカスが姿を表した。ピスタチオは突然出てきた二人を見てギョッとしていた。
「シャ、シャルトルーズ!そ、それにクロッカスも!な、なんやお前ら!何しに来たんや!」
「やだなあ、ピスタチオ。君たちがあと一人麻雀のメンバーをほしいっていうからわざわざ僕が連れてきてあげたんじゃないか。僕がやってもいいんだけどさ、せっかくクロッカスを連れてきたんだからクロッカスにやらせてあげなよ」
「ジョ、ジョーダンやない!お前ら二人共、そもそも存在自体が反則やで!クロッカスなんかにやらせたら一人勝ちで勝負になるか!シャルトルーズ、お前にもやらせとうないわ!お前みたいな得体のしれんやつと麻雀なんかうてるか!」
ピスタチオが必死に二人を麻雀に参加させまいと諭す。たしかにこの二人だけには誰でも参加させたくないだろう。
「だよねー、そう言うと思った。そもそも麻雀はもともと中国の遊びだしね。だからま、それに相応しいゲストをおよびしております、どうぞ!」
中国?シャルトルーズの口からみんなが知らない言葉がでたが、ハンタだけはそれを理解しているようだった。そもそもこの世界で麻雀が浸透したのは、気づいたらいつの間にか浸透していて、はじめは誰がやったか分からなかったのだが、当然、発祥があるのだろう。
そしてシャルトルーズが一瞬消えて、パッと再び現れたかと思うと、そこには紫の国で、コバルトたちを王宮へ導いた、あのチャイナ服を着たラベンダーの姿があった。ラベンダーは少し照れくさそうにしながらその場に佇んでいた。
「ラ、ラベンダー!」
エメラルドがラベンダーを見て、顔を赤らめた。ああ、ラベンダー。やっとまた会えた。エメラルドが少し照れくさそうにしながらラベンダーを見て、ドキドキしていた。
「あ、あの、みなさん、私、紫魔族ですが、ど、どうぞよろしくお願いいたします」
ラベンダーは照れくさそうにしながらそう答えた。シャイな娘だ。そしてピスタチオはラベンダーのそのチャイナ姿を見て、ああ、これは麻雀をやるにはピッタリの娘だなと、心底思ったのだった。




