10話 青い指導
「はい、おにーちゃん、よくできました。すっかり羽の使い方ができるようになりましたね」
アイスの教育により、羽が上手に動かせるようになったコバルト。少しコツを教えてもらえるだけで全然動かせるようになるものだ。
「これで練習すれば空も飛べるかな?」
「うーん、お空を飛ぶにはまだ難しいかな。魔力も必要になってくるし」
ああ、そうだ。魔力といったな。いったいそれは何なのか?まずはそこから教えてもらわないといけない。
「ああ、そうだ。魔力ってそういえばどうやって使うんだ?えと、俺ももう使えるのか?」
「魔力は魔族であればみな持っているものだ。しかしそれを具体的に具現化して使うのは難しい。戦闘に使用するにあたっては、戦士の資質がないと無理だ。だが魔力を肉体に宿らせて連動させることができれば、種族としての特徴を活かし、様々なことができる。例えば」
ライトがそう言って、ステッキを背中にさし、屈んで低い体制になると、突然ビュンという音と共に一瞬で何メートル先にも移動した。
「は、早い!何だ今のは、テレポートでも使ったのか?」
「いやいや、違う今のは魔力で自身の肉体を極限まで高めて移動させたのだ。筋力だけではいくら猫といえど、今ほど素早く動けまい。魔力と肉体を連動させれば、今のような動きが可能だ。模擬戦は魔力の使用を禁止していたが、攻撃魔法が禁止であって、今のような魔力の使い方は問題ないのだ」
ライトがそういうと、次にアイスがこう言った。
「そうそう、ねえねえ、おにーちゃんみてて、あたし、ネイビーほどじゃないけど飛べるんだよ。ほら」
そういうとアイスは羽を使い空中に浮かんだ。そして少し動かすと、空を自由自在に動き回ることができた。すごい。羽をバタつかせながらアイスが空を飛んでいた。
「鳥が空を飛べるのは体が軽いからだろう?人間や猫のように重くないからだ。だから今の体で空を飛ぶには魔力で羽を強化し、体を浮かせるしかないのだ。鳥族や竜族、そしてアイスのような希な悪魔族は唯一羽を持っている種族だからな」
「そうそう、アイス羨ましいわ。私も同じ種族なのに、羽生えてないんだもん。私も羽があればなあ」
魔力のことを教えてもらったコバルト。たしかにあの剣を持った時、自分の体の中に魔力が流れているような感覚になった。そうか、これをどう使えばいいのか?
「まあ魔力は日常の生活の中でもある日突然芽生えるものだから。コバルト、お前はそんなに焦らなくてもいい。コツを掴みさえすれば、すぐに羽に連動させて飛べるようになる。まあゆっくりやっていこうって、お前・・!?」
ライトが何か言いかけた時、コバルトは内側に秘められた、人間でないときには感じなかった何かを羽に流し込むように意識をした。そして羽を動かすと、どうやら何か飛べるような感じになった。そして思い切って、空に舞い上がると、飛べた!すごい!俺、空を飛んでいる。
ライトとピュアが唖然としてコバルトを見ていると、アイスは大喜びで一緒になって空を飛んだ。昨日今日の1日でもう魔力を使いこなしている。いくらなんでもはやすぎる。これは異端児だとライトは茫然と空を飛ぶ二人を眺めていた。
「うわー!おにーちゃんすごいすごい!もうアイスより早く飛べるじゃん!今度お空のお散歩デートしよ!」
「ああうん、ありがとう。アイスのおかげだ。空を飛ぶのって楽しいな。タケコプターがあるとこんな感じなのかな?」
「タケコプター?ん?なにそれ?」
「え?なにそれってあれ?そういえばなんだっけ?」
またコバルトは自分でも不思議なことを言ったなと思った。タケコプター?ええとたしかそれは空を自由に飛べる科学的なアイテムだった気が。けど何だったかな?
ひと段落すると、地上に降りてきて、アイスはコバルトに抱きついた。すぐに飛べるようになったのが嬉しかったようだ。
「すごーい!おにーちゃんすぐ飛べるようになっちゃって素敵、そういえばおにーちゃんすっごくカッコいいし、アイス、おにーちゃん大好き!おにーちゃんアイスの彼氏にしてあげる〜」
「ちょ、なに言ってるのよ、アイス!いやーけどコバルトすごいわね。こんな早く飛べるようになっちゃうなんて驚きだよ!」
ピュアが何か慌てて二人の間に割って入る。アイスがコバルトに抱きついて、上を見上げながら嬉しそうに話しているのをみて何か慌てているようだ。
(ピュア、相手はまだ子供だぞ、なにもそんなに焦んなくても)
ライトは呆れたようにピュアを見てそう思った。こんな小さな子にでもやきもちやくのか。ああ、けどそれはそれでかわいいなとも思うライトだった。
こうしてコバルトは、アイスに教えてもらいたった1日で魔力を使いこなすことができるようになり、空を飛べるようになった。そしてこれからもっと成長していくことだろう。今後始まる戦いのためにも。




