拍手小話② 「白雪姫パロ・NG集」
Take1 (王妃:マリアンナ、鏡:ジークフリート、白雪姫:ハルカ)
とあるお城の一室で、王妃様が“魔法の鏡”に問いかけました。
「鏡よ、鏡、鏡さん。この世で一番美しいのは誰ですか?
私、マリアンナですよね」
問いかけと見せかけて、自分で答えを言ってしまっています。
王妃様は鏡に追従を求めているだけのようです。
「はあぁ?何を言っている。この世で一番美しいのは、“俺の”白雪姫に決まっているだろうが。
ふざけたことをぬかすな、この年増が」
しかし、この鏡は王妃様の無言の要求を理解できなかったようです。
………理解していて、あえて言ったのかもしれませんが。
ところで、“俺の”ってどう言うことですかね。
そんな設定は微塵もありませんよ。…この鏡には妄想癖があるようです。
「あら、この鏡壊れているわ」
『パリーン』
王妃様は鏡が壊れていると思い“ウッカリ”割ってしまったみたいです。
ええ、“ウッカリ”です。決して、年増呼ばわりに怒った訳ではありません。
その後、鏡の発言はなかったことにされ、この世で一番美しいのは王妃様ということで落ち着いたそうです。
☆☆☆
Take2 (白雪姫:ハルカ、小人×7:アレン)
白雪姫は、森の中に小さな家を見つけました。
…彼女がなぜ森にいるのかは不明です。きっと“チャックを閉めたら森にいた”とか、そんなところでしょう。
「ここは誰の家でしょう?」
そんな白雪姫の前に7人の神官ちょ……いえ、小人が現れました。
ちなみに、彼らのサイズは成人男性と変わりません。
「ああ、女神様!」
「どうか私達のところにお住みください」
「ああっ!これからは女神様に思う存分お仕えできるのですね!!」
小さくない小人達が口々に話し始めます。
…跪いて、祈り始めるモノもいます。とても恐ろしい光景です。
「気持ち悪いです。…さようなら」
白雪姫もこの小人達とは関わりたくなかったようです。
賢明な判断ですね。
むしろ、急いで逃げた方が良いかもしれません。
「「「「「「「ああぁ~!女神様ぁ~!!」」」」」」」
森には、小人達の悲痛な叫び声が響き渡りました。
………この森には入らない方が良いようです。
☆☆☆
Take3 (白雪姫:ハルカ、王子:レオンハルト、従者:ギルバート)
とある森の中、それはそれは美しい姫君が棺の中で眠っていました。
その美しい姫君は白雪姫でした。
…何が原因なのかは分かりませんが、白雪姫は死んでしまっているようです。
「おお、なんと美しい姫君だ!!」
そこに、たまたま通りかかった王子様が彼女を発見しました。
きっと、森に虫でも探しに来ていたのでしょう。
虫王子………王子様は頬を染めて白雪姫を見つめています。
どうやら一目惚れしてしまったみたいです。
結構惚れっぽいですね。ソレ、一応死体なんですけど。
「殿下、いくら美しかろうとソレは死体です。まったく、誰がこんなところに放置したのだか。
後で弔いましょう。ほら、行きますよ、殿下」
「えっ!?おい、ギル?
……引きずらないでくれっ!首が絞まる…っ」
従者は尤もなことを言って、王子様を引っ張って行きました。
その後、白雪姫のことは王子様の国の使いがちゃんと弔ったそうです。
…えっ、生きていたんじゃないかって?
何言ってるんですか、“死んでしまって”いたんですよ。生き返ったらゾンビじゃないですか。
☆☆☆
Take4 (王妃:ハルカ、鏡:着ぐるみ、白雪姫:マリアンナ)
とあるお城の一室で、王妃様が“魔法の鏡”に問いかけました。
…鏡に話し掛けることが流行っているのでしょうか。怖いですね、中二病って。
「鏡よ、鏡、鏡さん。この世で一番美しいのは誰?」
「それは、もちろん相棒……じゃなくて、白雪姫ダヨ?」
王妃様の問いかけに、鏡は“白雪姫”だと答えます。
何だか不満そうなのは気のせいでしょうか。
「ああ、そうですね。マリアンナさん、美人ですし、白雪姫は適任です」
しかし、王妃様の方に不満はないようです。
アッサリと鏡の言葉に納得してしまいました。…何で質問したんですか。
あと、さり気無く白雪姫のことを“マリアンナさん”って呼ばないでください。
適任とか言わないの!
「相棒の方が美人だよ!!…あの人は白雪姫っていうより、黒バラ姫って感じだし……」
確かに、白よりも黒って感じです。
というか、さっき“白雪姫”って答えてたじゃないですか。
えっ、ウソ吐いたんですか?
マリアンナさんに割られちゃいますよ。
「……まあ、何であれ、鏡は団長よりあなたの方が良いと思います。イロイロと」
王妃様の意見には激しく同意です。
でも、この鏡もかなりあなた贔屓だと思います。
「相棒、メタにも程があるよ…。たまには自重して」
………結局、この世で一番美しいのは誰だったんですかね?
☆☆☆
Take5 (王妃:レオンハルト、鏡:アレン、白雪姫:ハルカ)
とあるお城の一室で、王妃様が“魔法の鏡”に問いかけました。
本当に、鏡に話し掛けるのが流行ってるんですね。
「鏡よ、鏡、鏡…殿?この世で一番美しい者を教えてくれ」
ちなみに、この王妃様は男の方です。所謂“男の娘”ってやつです。
男の方でも美醜はかなり気になるんでしょうか?…それとも、“心は女”な方なんですか?
………夫が誰なのか、物凄く気になります。
「もちろん、それは女神様です!!あの気品溢れるお姿には、誰も敵いません!」
王妃様が男であることには一切ツッコまず、鏡は“女神様”を称えています。
気持ちの悪い鏡です。
壊れているのかもしれません。誰か割ってください。
「…女神?…ちゃんと役の名を……」
地味な王子………王妃様は鏡を注意してくれました。
「姫などっ!女神様をそんな風にお呼びするわけにはいきません!!」
しかし、王妃様の話は聞いてもらえません。…地味だからでしょうか。
「……だからな、私の話を…」
「確かに女神様は白雪のごとく美しいですが。
…いえ、あの方の美しさを他の物に例えるなどと、私はなんて不敬を……っ!!」
「話を聞いてくれ…………」
地味な王妃様は、いつまでも話を聞いてもらうことができませんでした。
言いたいことは、もっとハッキリ言わないと。だから地味なんですよ。
………まあ、この鏡には何を言っても無駄でしょうが。
鏡の話は2時間にも及んだそうです。




