1:かrは人か:後
屋根の下にはツバメの巣
昔は居内に作ったそうな
糞が汚い・五月蝿い・と
人々はその巣を破壊する
ツバメは幸せ運ぶと言うが
人はその手で幸せ壊す
特殊能力というものがある
ゲームのキャラクターを出せば早いだろうか
ソレは何時から現れたのか
人々に備わるはずの無い能力が宿り始めた
その能力を持った者を排除しようとする者もいたが
次々と確認されていく数の多さ 宿ったからと言って誰でも使えるわけではない・という現実
に断念された
能力を 神の怒りと恐れるものもいた
能力を 大いなる進化と喜ぶものもいた
現在 人類の9割以上が能力を持つとされ
中には宿るだけでなく その身を異形とする者まで 現れた
大通りは地獄と化した
トラックを投げ飛ばしたその者は、次々と物を飛ばし続ける
乗用車 電信柱 公衆電話 遂には壊した建物の一部まで
彼の名は小野寺
異形の体に異常の心を持った愉快犯である
ただ、楽しいから殺すのであり、気持ち良いから壊すのである
「アハハハッハハハハハハハーー」
・・・笑い方も逝っちゃってるし
襲う者がいれば襲われる者もいる
彼らがとる道は基本的に[逃げ]である
斗守もまた、逃げる人々の中にいた
「あーけっこう酷いわ。っとあぶねぇ」
その最中、倒れた女性を助けに近づく
しかし、支えられて立ち上がった女性は、彼を敵に向けて突き飛ばし、自分はさっさと走ってしまった
突き飛ばされて倒れるも
「いやまあ、いつものことだし」
斗守はたちあがり
「いやだから、怒る理由が無いんだって。…えっ?」
独り言の会話をしながら
「…もうちょっと早く言ってよ」
敵に向かって走り出した
崩れた瓦礫の隙間に一人の少女
彼女の元についた斗守は
「何でいつも逃げ遅れるのよ」
「あぁっオッチャン」
「いや答えてよ」
彼女を抱えて走り出す
ちなみに斗守は14歳
そして彼女-西ノ宮 薊-は9歳
斗守に言わせれば『五つも離れりゃ十分オッサン』とのこと
獲物を見つけた小野寺は、嬉しそうに攻撃を始めた
しかし斗守はただの一度も振り返らずに、飛んでくるものを回避し続けた
「オッチャン。よく私がわかったね」
「紫炎が教えてくれてね」
「それよりも、いつもよく回避できるねぇ」
「このくらいなら経験済みですから」
しゃべる余裕があるほどに
一方の小野寺は顔を歪めだした
当たらない苛立ちに加え、警察と機動隊が攻撃の布陣を整えたからからである
その程度はどうでもいいが、あの中に能力を使えるヤツがいると面倒である
斗守を挟んで対極地
要救助者救援のため、二人の警察官が二人に向かう
しかし薊を受け取った警察官は、あろうことか斗守を突き飛ばした しかももう一人が彼に向かって発砲したのである
最も、彼はそれすら簡単に回避したのだが
二人の警察官の到着と同時に、斗守ごと攻撃開始の武装集団
標的が残った事を理解できないまま、嬉しそうに攻撃開始の小野寺
かくして斗守は、瓦礫と煙の中に消えた
しかしその最中
すべての攻撃を避けながら
「詠無、いこうか」
小さく呟く斗守 すると目の前に
“おおせのままに ご主人様”
汚れた布をまとった女性の影が現れ
斗守の中に吸い込まれ 斗守は小さく分解された
突如、後ろに気配を感じた小野寺が振り向くと
「あ れ ?」
自分の体が切り刻まれていくことを感じ取った
意識の消える前、ソイツはみた
巨大な鎌を振り回し
自分の体を切り刻む
白き死神のすがたを
状況終了の後、歓声を上げる人々の前で分解した死神は
誰もいない路地裏で斗守の姿に集合した
「あいかわらずすごいねえオッチャン」
駆けつけてきた薊がただ一人賞賛する
「だけどもうちょっと勝負になっても良かったんじゃないの。あの力自慢」
「? いや、あいつはただ押してただけだよ」
これが
この街で一番の英雄に変身する
この街で一番の迫害の被害者の
昔話のはじまり
小野寺怪人体
能力
:浮遊
効果
:手に触れた無機物を一定時間僅かに浮かせる。小野寺はこの能力で浮かせた物を押して飛ばしていただけである




