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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
110/116

110 もうとぼけるのはやめろ

キラーは私の話を黙ってきいていたが、首を軽く左右に振り、銃を上下に動かして、




「休憩おわり」




といい、また私に手を上げるように促した。私はタバコをもみ消して、両手をあげながら、いった。




「ご静聴ありがとう。タバコはうまかった」




「もう、思い残すことはないかい?」




「いや、ある」




「何だ」




「教えてくれ。永野先生は、やっぱり殺されたのか?」




「なぜ、そんなことを俺が知っているんだ」




「君は同級生じゃないか。河合や内田の。しかも親密な」




「そうかい?さっき変なことをいってたな。内田は永野先生の忠実な弟子で、永野先生の亡霊が一方にいて、それは「殺し」によって永野先生の教えを実行してる。そういうもんかな」




「もう、とぼけるのはやめにしてくれ。殺す気なら、冥土の土産に、本当のところを教えてくれ。これじゃあ、死んでも死にきれない。




永野先生は殺されたのか?それに、この際だから、みんないうが、なぜ、君は河合を殺し、篠原を殺し、この宮本までも殺そうとしているのか」




「ふん」




キラーは、私の言葉を鼻でせせら笑った。




「それについても、ちゃんと、あなたなりの考えがあるんだろう?」




私は黙ってキラーの顔を見ていた。キラーはいった。




「あんたの知っていること、私に関して知っていることを、全部教えてくれよ」




私はいった。




「出川靖夫。君は光聖学園高校の出身だ。河合や内田と同級生だ」




出川ことキラーは、頷いた。




「それで?」




「卒業後は、防衛大学にすすみ、学ぶべきことを学び、きわめて優秀な成績で中退し、アメリカの民間軍事会社に就職した。




その軍事会社での君の階級は、軍隊で言うところの将校か?正式な名称は知らないが。君は高校では、極めて優秀な成績だった。




東大の医学部にだっていけたんじゃないか?首席で高校を卒業した。しかし、なぜかそうした道に進んだ。




そして、あらゆる銃器に関するテクニックをマスターしている。頭脳も肉体も、完璧な男だ」




「ありがとう」




「殺し屋なんかにしておくのはもったいない」




「そうかね」




「そして…」




「うん」




「君は、河合と兄弟なんだ」




「うん。そうだよ」




キラーは、こともなげにいった。




「君は篠原が河合の母とも、マユミの母とも違う、別の女性に生ませた子供だ」




「よく調べましたね」




キラーは、感心した様子でいった。




「だから?」




「君もまた、不幸な生い立ちの子供なんだ」




・・・・・つづく







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