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テレフォンライン  作者: 新庄知慧
108/116

108 ああああ

「違うのか?」




「あんたは、見かけによらず、よく調べる人なんだな。私が出川だったら、どうだというんだ」




「実は、僕はマユミの死の真相は、これでは十分に解明されていないと思う。そうだよ、君もそう思っているだろう?君の協力が必要なんだ」




「いよいよ、みんな死ななければならなくなりますよ」




「どのみち、ここまで僕は知ってしまったんだから、どうせ殺されるんだろう。僕は最後まで知りたいんだよ。藤山さんも、そうですよね?」




「え?はあ、まあ、さ、さいです」




藤山はどもりそうになりながら、いった。




キラーは憂鬱そうに表情を歪めて、唾を床に吐き出した。憂鬱そうな顔をしたまま、銃を黒い包みの方へ向けた。そして引き金に指をかけた。




私と藤山は恐怖で彫像のように静止した。体中に脂汗が滲んだ。藤山は小刻みに体を震わせていた。キラーは再び、いった。




「爆弾だぞ、これは」




そして、肩を鳴らし、面倒臭そうな顔をしていった。




「撃っちゃおうか」




キラーは引き金にかけた指に力を入れた。




そのとき。




「ああああああああ!」




という変な、空気の抜けるような声がした。そして、どたん、と人の倒れる音がした。




私は唖然とした。




倒れたのは藤山だった。




極度の緊張のあまり、藤山が気絶して倒れたのだった。




キラーは倒れた藤山を見て、ぷっと吹き出した。




私が見下ろすと、藤山はダンプカーにひき殺された蛙のように、目を閉じて口を開けたまま、両手を上げて床に転がっていた。




「あわれな親父だな」




と、藤山を見てキラーはいった。




「まるでみっとない漫画じゃないか。これが警察なんだから、どうしようもないな」




私は黙っていた。じっと手を上げたまま、キラーの出方を待った。キラーは私にきいた。




「それで。私は出川何さんなんだ?」




キラーは銃口を再び私の方へ向けながらいった。




「出川靖夫。目鼻だちは高校時代の顔写真に比べて随分違っている。整形手術でも受けたんだろう。でも顔の輪郭の基本というのは、やっぱり変えられない」




「探偵を職業とする者の目はごまかせないというわけか」




「僕に相談してくれれば、もっと腕のいい整形外科医を知っている」




「そうかね。この仕事が終ったら、紹介してもらおうかな。いよいよ顔を変えて、どっか外国へでも行こうかな。それで、私の協力がほしい、とは、一体何のことだ」




「マユミの死の理由だ」




私は、いよいよ殺されるかな、という思いになったが、逃げの姿勢に出れば、即座に射殺されるだろうと、やはり考え、あくまで正面からキラーを見据えていった。




・・・・・つづく





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