鳥と人の話
気持ちを持ち直すのに時間がかかりました。
ヒトガタは朝目が覚めると袋の中身を確認する。荒らされたことなど今まで一度もなかったが、あり得ないことと決めつけるのはとんでもない失敗を生むと考えていたので、ヒトガタはいつもそうやって確認をしていた。やはりいつも通り荒らされていない。
特別驚くことも安心することもなく次の行動として今まではいなかった鳥型が今は何をしているかを確認しようと辺りを見る。
鳥型は椅子の背中に泊まりガラスの扉越しに外を見ていた。やはりヒトガタは鳥型の表情などは理解できなかったため声をかけようと立ち上がる。
「オキタかヒトガタ、アサのエサはどうするんだ。」こちらが起きたことに気が付いた鳥型の第一声がそれだった。
「お前ちょっと食い意地が張りすぎてないか。」思わずそんな言葉が漏れる。
「エサはイチニチにサンカイが普通だろ?だからアサのエサはどうするんだ。」
「食料の残りを加味して随時決める、今の残りだと一日三色は厳しい。加えて食事はどんなに余裕があっても一日二食だ。」ヒトガタはきっぱりと自分が今まで行っていた食習慣を鳥型に伝える。
「わかった。」
「…いいのか?」
「ヒトガタが飼い主、ペットは飼い主のルールに従う。そうイウものだ。」
「そういうものか、わかった。なら朝飯の支度をする」
ヒトガタはそう返事をしながら朝の食事の準備を始める。食事に関しては鳥形からいろいろと駄々をこねられると思っていろいろと言葉を考えていたため消化不良になりながらランチョンミートの缶詰をあけ、自信の分と鳥形の分で分ける。
二人の間に特別な会話はもちろんなく昨日と同じように食事をとると、二人はすぐに建物を発つ。建物を発ちはしたもののヒトガタに明確な目的地があるわけではない。当てもなく歩き方建物をあさり食べ物を集めまた同じように当てもなく歩く。
歩き進んでしばらくたち、ヒトガタは鳥型が昨日空からみた建物のことを思い出す。
「遠くの方にも状態が良い建物があったんだよな?とりあえず今日はそこに向かおう。」
鳥型はその提案を拒むことなくヒトガタについていく。その姿を見てその建物に進むことを決める。
やはりというべきか、ヒトガタと鳥型は移動する間も会話が弾むことはなかった。しかし言葉を交わすことが全くなかったわけではない。むしろその少ない言葉が鳥型にとって大きく影響を与えることになる。
「お前は何で飼い主を探してたんだ、それは自由をあえて捨てるようなものじゃないか?俺は自由な方がいいがなあ。」ヒトガタは飼い主を求めた鳥型の言葉をふと思い返し、何となしに言葉を漏らした。
「ナニをいってる?オレは自由だぞ。」
「そうか?誰かに飼われるってのは・・・支配されるってことで、それは・・・自由を捨てるってことじゃないのか?」
「オレは自由じゃない?」
「別に俺は支配しようとしてるわけじゃないけど、相手によってはそうなるかもって話で。」話の雲行きが怪しくなったことに気が付き慌てて自分に自由を奪う意図はないことを伝えようとするヒトガタだったが。
「先に行っててくれ、オレ少し考えたい。」相変わらず表情は読み取れなかったが鳥型は深刻な声色でそういうとどこかへ飛び立っていった。
「待てって、悪かったよ。」ヒトガタはそう大声で呼びかけるも鳥型は、どこかへ飛び立ってしまった。
ヒトガタは仕方がないと思い、どうしようもない気持ちを押し込めて再び歩き始めた。しかし気持ちが落ち着かないこともあり、あまり歩みは進まなかったのだが気持ちも後押ししためか疲れを感じ、足を休めるために近くの建物に寄りかかり腰を掛ける。そうして、近くにあった新聞紙を手に取りヒトガタは鳥型が戻ってくるまでの間に時間をつぶすことを決めたのだった。
こんなご時世ですが、そんなことは関係なしに。投稿期間は空くことでしょう。私はそういう奴なんです。