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第324話 蹴鞠する少女(18)
だが、《《あの日》》《《あの時》》、俺の足はなぜかリフティングの毬を蹴る音に惹かれ、誘われるように向かっていた。
「あっ!」と俺の口から珍しく声が漏れる。
今日は氏真だけだから……。
そう《《あの時》》、俺の瞳に映ったのは、漆黒の艶やかな長い髪を持つ麗しい今川氏真ただ一人だった。
それでも俺は、いつものように今川氏真にいちゃもんをつけられ、毬の代わりに蹴られ、踏まれ、しつけと呼ばれる虐めや折檻を受け、最後には。
「わらわの足を舐めなさい~!」と女王さま羞恥プレイを要求される。
その後、俺はいつものように今川氏真の可愛いお尻の椅子にされるのは嫌だ。
やばい! 不味い! 逃げるか?
よし、俺は勇気ある撤退を決めたとなる。
しかし、《《あの日》》! 《《あの時》》! 俺は何故か、あの麗しい今川氏真のリズムよいリフティングの様子に魅入ってしまった。
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