第19話 尾張の悪役令嬢様との思い出(8)
■毛利新介(勝ち気な姫武将)
「竹千代! 今日こそ勝負だ!! うちが一番槍だ!!」
勝ち気で、短髪で、目つきが鋭い。
今川義元に一番槍を入れた武勇の持ち主……。
「新介はね、竹千代をボコるのが好きなのよ?」
はぁ、何を言っているの、このひとは? と俺も不満に思うから。
「好きじゃねぇ!! ただ……その……姫さまが喜ぶから……!」
(いや、喜ぶ理由が怖いんだよ……)
まあ、クソったれめと、俺は悪態をつく。
■服部小平太(元気な姫武将)
「竹千代くん! 今日もいっぱい遊ぼうね!!」
元気いっぱい、ショートボブの変わった姫カット、笑顔が眩しい。
だが吉法師姫は言う。
「小平太はね……遊ぶと言いながら、竹千代を投げ飛ばすのよ?」
「えへへ~! だって竹千代くん、軽いんだもん!」
(軽いって言われた……)
軽いもなにも! 俺が一番年下だからじゃ、ないか!
◆吉法師姫の命令
「竹千代をいじめて鍛えなさい!」
(えっ!)
(はぁ?)
(このひとなにを言っているのかな?)
吉法師姫は、悪役令嬢スマイルで言い放った。
「三人とも! 竹千代を鍛えなさい! 遠慮はいらないわ!」
「「「了解です!!」」」
俺は震えた。
「吉姉さまぁあああああああああっ!! なんで俺だけぇぇぇぇぇ!!」
「だって竹千代、いじめると面白いんだもの~」
(理由が酷い!!)
◆相撲開始
「竹千代くん、いくよ~!」
小平太が笑顔で突進してくる。
「ひぃいいいいいいっ!!」
成政は泣きながら俺に抱きついてくる。
「ご、ごめんなさいぃいいいいいいっ、竹千代君!!」
「いや、謝りながらタックルするな!!」
新介は拳を構え、目を輝かせる。
「竹千代! 覚悟しろ!!」
「覚悟できるかああああああっ!!」
三人が同時に俺へ突撃──
「ぎゃあああああああああああああああああああっ!!」
草原に俺の悲鳴が響き渡る。
◇◇◇
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