第10話 ちょっと話を遡り、転生した頃の話しだ(8)
「わりゃぁああああああああああああっ!」
《《あの時》》の俺は少女を逃がすことに必死でね。強姦魔! 糞男! 変態男!
先ほど少女に乱暴……。自分の火照った身体を冷やし、静めるために夢中になり、自分の無防備な背を俺にラ〇ダーキックをされ──前方へと吹き飛んだ!
強姦魔の地面に叩きつけられた身体は苦痛に歪み、汚い尻を俺に向ける行為をやめ、慌てて立ち上がろうとした。
俺は震える少女の肩を見つめ、言葉にならない怒りが胸を締めつけるのを感じた。
『逃げろ!』と俺が荒々しく告げる前に、闇の中で光を失った変態男の姿が目に映った。
俺は左回りに素早く動き、冷たい夜風を切り裂くように、奴の顔面へ渾身の回し蹴りを叩き込んだ。
そう前世の俺は、親父が有段者だったこともあり、幼い頃から近所の空手教室に通わされていた。
俺自身も初段の帯を締め、喧嘩は得意だったが、この瞬間の正義感はそれ以上に熱く燃えていた。
偶然辿り着いたこの【あの現場】は、異世界転生後の俺が愛する和歌や蹴鞠を嗜む高貴な悪役令嬢さまに酷似した麗しい少女が凌辱されている場所だった。
そんな少女が強姦されている現場に、喧嘩っ早く正義感に溢れた転生後の徳川家康が通りかかるなんて、偶然を超えた運命の悪戯のようだった。
《《あの時》》の俺は、後に神さまや女神さまが日本で流行の《《異世界転生》》を授けてくれるとは夢にも思わなかった。
それでも俺は黒髪の美少女を守る騎士として、悪しき男が身体を起こそうとした瞬間──「はぁっ!」と気合を込めた回し蹴りをその顔面に叩き込み、闇夜に響く音と共に、馬鹿はあっさりと吹き飛んだ。
俺は躊躇わず、再び奴へと詰め寄った。
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