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卑屈な僕が、好きと言えるまで――隣の美少女になぜか絡まれてるけど普通に怖いんだが?――  作者: ぷろけー


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第18話 BBQ

「さて、佐々木! 食材をロビーからもらってきてくれ! これは大事な任務だよ!」

「了解だぜかっしー隊長! 松田隊員もついて来たまえ!」

「それは何のノリだよ」

「返事はYESかはいか喜んで、だ!」

「……喜んでー」


 佐々木がマツコの腕を掴んで走っていくのを横目に見ながら、残った面々を見る。女子3人と僕という相性最悪な状態である。

 何かしていないと落ち着かないので、手始めにバーベキューの準備をすることにする。台自体は組み上がっているので、やる事といえば火をつけるくらいだろうか。


「だれかいらない紙とか持ってない? 火つけるから」

「ファイルにいらないプリントあると思う。ちょっと待ってね」


 村雨がそう言って可愛らしいバッグを漁り始める。バッグから紙を取り出すと、そのまま持ってる紙を丸めて差し出してくる。それを受取ろうとすると、少しずらされ、ポンと叩かれる。


「ふぇあ!?」

「えぇ? そんなに驚く?」

「ゴーストタイプは不意打ちに弱いんだよ」


 いままで村雨にこのようなことをされた覚えがない。思わず変な声が出てしまった。

 僕は村雨の不意な攻撃に驚き、手を顔の前に組んで防御姿勢を取りかける。結局そのまま中途半端な姿勢で、紙を受け取ることになった。

 急にどうした? と思うが、考えてみれば、遊びに来てテンションが上がっているのは僕だけではないのかもしれない。

 ボケは伝わらなかったらしく、首を傾げていた。


「英語の小テストだけどいいの?」

「だってもう使わないでしょ?」

「まぁね」

「こういうのはカツオくんみたいにテストの点が低いのを使うんだよ」

「ふふ、変なの。いいの、これくらいしかなかったし」


 そんな村雨は口に手を当てて目を細めて笑う。何がそんなに面白いのかはわからないが、今度のは面白いらしい。

 気を取り直して小テストを棒状にしてから炭の間に差し、ライターで火をつける。


「おー! 松村やるぅ! てか熱くない? 扇風機いる?」

「あ、じゃあもらおうかな」

「あげるー」


 柏部さんからハンディファンを貰い、ちょっと離れたところから手を伸ばして台にハンディファンを向ける。ふつうはうちわなどで風を送り込んで火を炭に移すのだが、そこをハンディファンで横着しているというわけだ。


「……自分で使うんじゃないんだ」


 野村さんの小さなツッコミも聞こえるが、これが案外良い感じなのだ。外が暑いといえど、火の近くはさらに熱い。少し距離を取ると少し涼しく感じる。


「ほらー涼しい?」

「あー涼しいかも」

「よっしゃー。あ、タオル臭くない?」

「臭くないよ、ってか臭いって言ったらどうすんのよ」

「めっちゃへこむかも」


 ハンディファンを向けて仁王立ちしていると、柏部さんがタオルでパタパタ仰いでくれた。会話の雰囲気が和気藹々のバーベキューという感じですでに面白い。


「ただいまー」

「おかえりー」

「お、火の準備さんきゅー! 肉焼こうぜ肉!」


 佐々木が急かすままに、ガンガン肉を火にくべる。


「「いただきまーす」」


 皆で手を合わせてそう言った後、コップに注いだジュースの類を誰からというわけでもなくぶつけ合う。


「うまい!」

「野菜も食べなよ、玉ねぎ美味しいよ!」

「ほら、佐々木。玉ねぎ真っ黒になっちゃうからもらってけ」

「静香ちゃんエビ食べた? 美味しいよ」

「まだ食べてない」


 みなそれぞれが適当な事を言いながら食事をしている。みんな楽しそうで、なんだか僕も楽しい気分になる。やっぱり、こういう雰囲気は好きだ。

 陰キャってなんだろう、という思考が過ぎるが、今は楽しむことにする。黒くなりかけの肉や野菜を自分の取り皿によそってあるので、それを口に運ぶ。久々に焼肉を食べたが、いつもより美味しい気がした。


「松村食ってる?」

「案外食べれてるよ」

「俺も焼くわ。トングとってくんね?」

「あいよ」


 台の隣の箱からトングを取り出し、マツコに渡そうとする。しかし手を伸ばした拍子に卓上のタレを倒してしまった。


「あ、」

「蓋閉まってるし大丈夫そう」

「セーフ」


 コト、という音に内心めちゃ焦りしたが、何事もなかったようで一安心である。


「野村さん肉いる?」

「……もらう」


 マツコが手伝ってくれているので、その間に海老を食べることにする。殻を剥いてむき身にかぶりつくと旨みが口に溢れ出す。


「村雨さん、そこのウェットティッシュちょうだい」

「はい」

「ありがと」


 ドロドロになった手の小指と薬指でウェットティッシュを挟んで受け取る。


「いやー美味しかったねー!」

「美味かった!」

「わんぱくボーイのお気に召したようで良かったよ」


 用意された食材を全部食べ切って、佐々木がお腹をさする。意外と量があって、僕としても満足のいく量を食べられた。


「あ、写真撮るの忘れてた! みんなで写真撮ろ!」

「いいねー」


 柏部さんがそう言って、マツコが相槌を打つ。


「撮れたー」


 写真に映る僕はぎこちない笑みを浮かべている。笑顔が下手くそなのはいつものことだ。


「よし、川行こう!」

「もう少しゆっくりしようぜ」

「気持ち急ぎすぎだろ」

「はやくない?」

「早い気がする」

「……早い」


 佐々木の提案に全員からツッコミが入り、撃沈する。その様子にどっと笑いが湧く。


 みんなと一緒に笑う村雨を見て、村雨もこんな話で笑えるんだと、なんとなく思った。

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