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卑屈な僕が、好きと言えるまで――隣の美少女になぜか絡まれてるけど普通に怖いんだが?――  作者: ぷろけー


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第15話 梅雨

 村雨からの連絡はあったものの、実際に遊びに行くことはなかった。テストが明けてから梅雨入りしたこともあるが、なにより僕の精神衛生のためだ。

 新しい出会いで浮かれた頭を冷やすにはいい時間だと思い、梅雨を言い訳に村雨からの誘いを断った。陰キャ特有の対人間アーマーが消耗し過ぎていたため、アーマーの回復が必要なのだ。

 誘いを断ってから村雨が教室内で話しかけてくることは少なくなった。あいかわらずエクストリームアイロニング部などというトンチキ部活には顔を出しているので、部室では変わらず接しているが少し距離がある。

 時々村雨に勉強のことを聞かれて答える。それと一緒に少し話すくらいだった。対人間アーマーの回復という面では良かったものの、少しの淋しさを感じている自分に腹立たしさを感じた。


 エクストリームアイロニング部も出なくていいなら出ないのだが、黒須の存在がそれを許さない。どこからか手に入れた僕の黒歴史をばら撒かれるわけにはいかない。

 厨二病と被害妄想を拗らせた黒歴史の権化だろと言われれば返す言葉もないのだが、それはそれである。

 梅雨もすぐに明けて、気がつけば夏休みももうすぐといったところだ。その前に期末テストがあるが、今のままいけば問題は無さそうだ。我が家の女王の機嫌も損ねていないし、夏はそれなりに遊べそうだ。


 僕は勉強机にシャーペンを放り出してグッと伸びをする。ノートに書いてあるのは化学の問題の解答である。

 今どきノートを使う生徒はあまりいなく、だいたいタブレットのノートに書き込んでいる。しかし、僕は紙のノートの勉強している感が好きで、紙のノートを使っている。後は我が家の女王様が誤解することがないように、というのもある。

 中間テストは原子の構成や結合の種類などの暗記がメインだったが、期末テストでは物質量を扱う問題が多い。

 簡単なものだと質量と分子量が与えられてるだけの問題や単純な化学反応から生成した物質量を答えるものだ。応用問題になると、質量濃度とモル濃度で与えられた酸・塩基反応を一般化して未反応の酸または塩基を答えるというものもある。

 単位変換の煩雑さに気を取られて酸の価数を掛け忘れるのが良くあるミスで、自分で丸つけする時の虚しさは並大抵のものではない。というのは言い過ぎか。


 ケアレスミスが増えてきてイライラしてきたので一度休憩を挟むことにした。リビングにフラッと顔を出し、スマホを確認する。佐々木から動画が送られてきていたので再生する。


「せえぇえぇ――」


 嫌な予感がした。慌てて画面を叩き、動画の再生を止める。イヤホンを繋いで改めて再生してみた。


『せえぇえぇっくす!!! うぉぉおおお! せっええくす!!! 俺はセックスをするんじゃねぇ! 俺が、俺自身が、セックスになるんだ!!! うぉぉぉ!!! せえええぇぇっくす!』


 吹いた。バカすぎる動画である。こんな事だろうと思ってイヤホンを繋いだ僕は感が冴えている。僕はその動画によって汚されたオススメ動画の中からキンタマを連呼するインコの動画を佐々木に送りつけた。するとすぐに既読が付いた。


『俺金玉になるわ』

『最悪で草』

『キンタマ‼︎』


 既読がついて数分後のやりとりだ。佐々木とのL1NEはいつもこんなもんである。あまりの品のなさに神も救えない。僕は天使が合掌しているスタンプを送ってアプリを閉じた。

 そしてきれいである必要がない友達がいることに少し安堵する。

 

 その後は眠くなるまで日本史の教科書を読んで寝た。脳の半分以上が例の動画に持ってかれていて身は入らなかった。


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