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「怒り」という神秘

 怒りは、最も神秘的な感情だと思う。

 ドラマのクライマックスで、よく人が怒る。

 映画の予告編でも怒るシーンが使われ、ドラマチックさを大きな叫び声や、何かが破壊されることで表現することもある。

 歳をとるごとに、怒ることが難しくなったと思う。

 今では、怒ろうと思って意図的に感情を昂らせないと、怒った自分になれない。

 怒った顔をしていても、内心、

「何とかなるさ〜 」

 と脱力していることもある。

 小説のストーリーのなかで、怒りは重要な場面である。

 怒りがなければドラマは成立しない気がする。

 たいてい怒りは、現実と乖離した思い込みを伴い、冷静になると何で怒ったのだろう、と思うものではないだろうか。

 「怒り」をテーマにしたショートストーリーを考えようとしたら、満員電車が浮かんだ。

 満員電車は理不尽に人権を侵害し、人のネガティブな感情を起こさせる。

 だが慣れてしまえば日常である。

 ただし、周りの人が怒ったときには、対抗しないと、もっと面倒なことになりそうだ、という心理からちょっぴり苛立った態度を取って見せなくてはならなくなる。

 怒っている人とは、本能的に距離を空けるので、自分が怒る理由を探して怒ってみせるとトラブルを回避できるのである。


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