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幕間:授業

入学から即一ヶ月飛ばすのもアレなんで、今回はその間にある話となっております。

「えー、今日から魔物生態学の講義を始めます。この授業はC、Dランク合同で行いますので、どんどん発言して下さい。」


 学園、大講義室にて。俺は眠気に耐えながら授業を受けていた。これが今日最後の授業なのだが、前半でスタミナを全て持ってかれてしまったからだ。


(つーか、ハガネの奴いつでもシャツ一枚かよ。思いっきり鼻提灯付けて寝てやがるし。)


 教師と黒板が見えるよう、俺達生徒の席は段々とせり上がるように配置されている。

 お陰で教師からも丸見えであるし、こちらからも座席が下の生徒がよく見える。


(おいフィリア、この学園に序列ってあるよな。)


(あるわよ。それがどうしたの?)


 隣のフィリアに話しかけると、ペンを止めフィリアがそれに応じる。

 フィリアはしっかりと黒板を凝視し、要点をまとめてノートに写している。また、教科書に挟まれているしおりは今日の範囲より大分先だ。

 その様子を見て、少々疑問に思うことがあった。


(もしかして、勉強も序列に反映されるのか?)


(当たり前でしょ。だから来年Sランにいけるよう、必死こいて勉強してるんじゃない。)


(…Sランは上位何人だ?)


(上位5人よ。因みに1位は王女様。模擬戦でも変動するし実力の方がウェイト重いけど、勉強で足引っ張られる場合もあるわよ。)


 マジかよ。模擬戦で勝てばいいのかと思ってたわ。これは王女様への道のりが大分遠のいたな…。


 クラス分けについては、学年終了時の序列がそのまま反映されるようだ。俺の当初の計画だと、学年終盤にSランクの一人に喧嘩吹っかけて順位かっさらおうとしてたんだが。


「そこ、私語を慎みなさい。()()()()()D()()()()()…。」

 

(おいお前の視界の中に鼻提灯付けてる奴いるだろ。シャツ一枚の奴。)


 ハガネが寝ているからか、教師の発言に対し嘲笑をこぼすCランクの奴ら。所々で俺達を馬鹿にする声が聞こえてくる。

 …グレンの奴は真面目に授業受けてるな。ハガネにたたき直されたか、元から真面目なのかは知らんが。


「では話していたフィリアさん、ここで質問です。」


「はい。」


「スライムは魔物の分類上ではどこに位置しますか?」


「ピロス科イグロ目です。」


「…正解です。よく予習をしていますね。ですが私語はいけませんよ。」


「すいませんでした。」


 そう言うと着席するフィリア。そうするとまた黙々と授業を受け始める。Cランクの連中は分かる奴がいなかったのか、すっかり驚いて閉口している。グレンは何か悔しそうな顔してるけど。

 …というか、


(き、聞いたことねええええ!オイオイ、生まれてこの方聞いたことねえぞその単語!?)


「…では次にロック君。」


「はい。」


 また笑い始めるCランクの奴ら。フィリアはともかく、俺は絶対に分からないと踏んでいるのだろう。大正解だよクソ野郎どもが。


「スライムと戦う上での注意点、共生している可能性のある魔物、弱点を述べて下さい。」


(ウッソ!共生魔物に関しては先の範囲じゃない、何紛れさせてんのよ!?)


 隣でフィリアの顔色が青くなる。何とかして俺に回答を教えてくれようとしてるが、必要ない。()()()()S()()()()だ。


「物理無効と、スライムの体内に生息するのは魚型…ピスケス、あとスライムの体吸ってるのはヒル型の魔物。弱点は、魔法か奇跡か、体の中心にある核。」


「―――せ、正解です。」


 またもあんぐりと口を開けるCランク。

 あ、危なかったぜ…!俺の知識でどうにかなる部分で良かった。俺は実際に見てるんだ、その点で勝たないと勉強だとドベになっちまう。


 だが、業を煮やした教師は更に攻撃をする。


「では、そこで気持ち良さそうに寝ている―――」


(おっ、終にハガネか。Dランクだけ集中的に攻撃してくるかと思いきや、良いところもあるじゃねえか。)


「―――クロノさん。」


 俺とフィリアは揃って上に座っているクロノを見る。

 そこには、チェインに体を揺すられているクロノが鼻提灯を弾けさせる光景があった。


「―――何だ何だっ!?我は今、ご馳走を食べようと…」


 涎を拭いてオロオロするクロノ。それを見てCランクの連中は、()()()()とほくそ笑む。


「クロノさん、質問です。」


 顔に青筋を立てた教師がクロノに質問をぶつける。まああんだけ気持ちよさそうに寝られたら誰でも怒るわ。


()()()()()()()()()()()()答えなさい。」


(考えたことねーよそんなもん!?)


(それ教科書に載ってないんですけどお!?上級生の内容でしょそれ!?)


「んー…。」


 左手を顔に当てながら立ち上がるクロノ。その碧眼が悩ましげに揺れる。

 そして、Cランクの連中はクロノが間違えるのを今か今かと待ち構えている。お前ら自分が答えられない問題でも良いのかよ。


「それはだなー、」


 うん?クロノの無邪気な顔が、一瞬めっちゃ邪悪な顔になった様な…。

 

 そして俺の理解を完全に超えた単語を並べるクロノ。隣を見ると、フィリアも首を振っている。


「―――だからだ。」


「―――か、完璧です。」


「嘘だろ!?」「バケモンかよアイツ!?」「馬鹿そうな顔はフェイクか…!」


 す、すげえなオイ。一寸も理解が出来なかった。

 席に座るとまた爆睡し始めるクロノ。ああいう手合いが一番厄介だろう、教師には同情するぞ。


「で、では授業を続けます。あと鋼君は起きて下さい。」


 あ、何事も無かったかの様に授業を進めるのね。質問するのがトラウマになったのか、それとも贔屓なのか知らんが普通にハガネを起こしてるし。





「―――では、最後に鋼君。先程私は、スライムと戦う上での注意点を述べました。それは何ですか?」


「―――っは!?俺は今、刀を打とうと…!」


 流石にマズいと思ったのか、ハガネにも質問をぶつける教師。というかクロノと全く同じ反応してんじゃねーよ。


「鋼君、スライムと戦う上での注意点は?」


「…あー、叩くと堅くなる。」


 それは刀だ馬鹿野郎。

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