護衛依頼をギルドは仲介出来るのか?
冒険者の依頼と言えば討伐か採集ですが、街から街への移動をするような作品では護衛依頼も見ますね。
馬車に乗って移動すれば報酬がもらえる簡単なお仕事、場合によっては食事代まで出る――なんて言い方をするとこの上無く楽な仕事ですが、そんなに上手くいくことは稀です。魔物や盗賊と出会ってしまえば、戦う術の無い護衛対象を護り抜かなくてはなりません。
何度も何度もそんな依頼を受けていれば、そのうちに悲劇があってもおかしくはないでしょう。
護衛依頼に失敗したら冒険者はどういう扱いを受けるんでしょうか?
最後まで戦い抜いて襲撃者を全て撃退したものの護衛対象は死亡、あるいは意思表示の出来ないような重体……そんな事態って、中々有ることじゃありませんよね。
自らも死んで全滅となるか、戦いが激化する前に尻尾を巻いて逃げ出す冒険者が大半を占めるでしょう。前者は二度とギルドに行くことはないので、護衛対象がギルドに訪れないときは冒険者が依頼を放棄した場合になります。
そんな風に単純に冒険者にやる気が無いだけならまだ良いんです。依頼者が永遠に口を出せないようにして、金目のものを全て奪っていく悪党だって居るかもしれません。
勘違いされてドナドナされる可能性を考えると、ギルドへの足も鈍るというものです。悪質な依頼者なら、被害を受けていなくても「受けた」と主張して賠償金を稼ごうと画策することも有りますしね。
依頼者にしたって、なぜ護衛依頼をギルドに仲介させるんでしょうか?
討伐依頼や採集依頼と護衛依頼の間には、明らかな差が存在します。それは、依頼者が顔を合わせる相手です。
討伐依頼や採集依頼では、依頼者が顔を合わせるのはギルドの受付嬢だけです。依頼の途中でトラブルが起こったとしても無関係を貫けます。誰が依頼を受けたかすら知らないでしょう。依頼を受けた冒険者のことを気にするのは、成果がよほど汚い状態で二度と依頼を受けてほしくないか、綺麗な状態で指名依頼したくなったときだけです。
ところが、護衛依頼では依頼を受けた冒険者と顔を合わせなくてはなりません。依頼の間中、常に冒険者に気を払い続ける必要があります。
冒険者の風貌と態度によっては「チェンジで」と言いたくなること請け合いでしょう。一晩どころか場合によっては何日も近くに居続ける相手なんですから、それが受理されなければ依頼者はたまったものじゃありません。しかも、もしトラブルが起これば被害者は依頼者自身です。訴えることも出来ずに人生ジエンドなんてことを考えると、リスクが高過ぎます。
護衛依頼は依頼者の見ず知らずの相手ではなく、信用できる相手に直接依頼されるはずです。ギルドが仲介したとしても、ギルドの信頼に関わってくるので信用のおける冒険者に指名依頼を出すでしょう。
間違っても壁に貼っておくものじゃ有りません。