1本500万円のガンブレードを販売する
「えっと……一応、宣伝がありまして」
あまり案件みたいなのはやらない方針だが、今回の話は許可した。
ただ影山としては……赤字になるんじゃないか、と考えている。
なんなら、大手ネオファンのわりにはずさんな案件だと思っていた。
しかしネオファン的にはどうしてもやりたいとのことなので、影山も宣伝に協力することとなった。
万が一赤字でも、影山や朝日に負債が来るわけでもない。
「俺が使用している“ウォールブレイカー”のレプリカが、一般へ向けて販売されることが決定しました。これがサンプルです」
影山がアイテムボックスから、ウォールブレイカーレプリカを取り出す。
見た目は影山が使用しているウォールブレイカーそっくりだ。
しかし一般販売向けに、一部材料が差し替えられている。
その筆頭は、オリハルコンだ。
これは見た目が似ているクリスタルというアイテムへ変えられている。
影山はブン、ブン! とカメラへ向けて軽くウォールブレイカーレプリカを振った。
『おおおおおお!』
『やっぱり! そろそろ来ると思ってた!』
『待ってたぜ!』
『やったあああああああ!』
『かっこいい!』
『本物と同じ金色だ!』
「そうですね。さすがは朝日ちゃんとネオファンで、オリハルコンは使われていないのに、見た目がそっくりです」
「みんなで頑張りましたっ!」
冒険者と企業が契約をした時、専属装備を開発する理由の1つ。
それが今回のような“専用装備の一般販売”だ。
有名ダンジョン配信者の〇〇が配信で使っている武器、というのはかなりの宣伝効果がある。
ファンが購入するため、一定の売り上げが見込める仕組みだ。
そして影山はその場で素振りをし、ベーシックマガジンで丘へ向けて軽く射撃する。
「一般販売用にコスト制限されて、様々なチューニングが施されてますが、使用感、性能共に大きくは変わらないので、かなりの高品質だと思います。実際の商品は、4つのマガジンもついてくるらしいです」
『最高やん』
『これは買うしかない』
『めっちゃほしい!』
『デザインが好みだから、販売待ってた』
「いや、ただ……えっと、ですね」
影山は、ちょっと微妙そうな表情を浮かべていた。
コメント欄の流れも変わる。
『どうした』
『なにを言いづらそうにしている』
『受注生産限定かな』
「あ、1つはそうですね」
『まあ、だろうね』
『高いのは想像つく』
「……そこなんですよね。めちゃくちゃ高いです。正直、ネオファンさんはおかしくなったんじゃないかって、思っています」
『ボロクソ言ってて草』
『いくら?』
『そんなに高いのか?』
「1本500万です」
アホみたいな値段であった。
売る気があるのかと、正気を疑いたくなる。
が、実際のところ、たった1本に多くの予算がかかっていた。ウォールブレイカーが性能全振りなことと、代用した素材が原因で、この値段である。
むしろ、これでも安くするために様々な工夫がされている。
トップレベルの武器なのだ。
とはいえ、マイナーなガンブレード。
ビジュアルだけのネタ武器、とさえ言われるカテゴリーだ。
実質、コレクター向けである。
1本も売れるわけがない。
そう思っていた。
『たっっっっか』
『!?!?!?』
『車かな?』
『やべぇ』
『買います 5200円』
『今日予約します 4000円』
『2本買わせてもらいます 3000円』
『コレクション用で買います 1000円』
『壁破壊二キのファンなので買います 2000円』
『スパチャで購入宣言するの草』
『ブルジョワすぎる(笑)』
『こりゃ売れそうだな』
『なんでこんな金持ちばっかりなんだ!?』
「えぇ? 本当ですか……?」
『二キ、ドン引きしてるぞ』
『引くな(笑)』
「あと、こんなにスパチャありがとうございます……本当、助かります」
(まあ、購入は流れで言っているだけだろう)
影山はそう思った。
配信には、その場のノリというものがある。
実際、購入報告スパチャは面白かった。
……しかし次の日、影山は知ることとなる。
配信の終了後、多くの注文がネオ・ファンタジアへ届いたのだ。
ガンブレード“ウォールブレイカー・レプリカ”は185本も売れた。
売上にして9億超えである。購入者によるレビュー動画がいくつか投稿され、そのどれもが高評価で、話題の武器となった。




