色んな戦い方を試す
マップを見ながら進んでいく。スライムではなく、目的のモンスターがいる。それが出現するところまで移動だ。
『協会からなにか言われた?』
「いえ。特には」
『お役所仕事かな』
『ドタバタしてんだろうね』
『前例がないから扱いに困るだろうね』
『あのクモ、データベースと照合したけど。未知のモンスターだって』
『マジか』
『ドロップアイテムとか、期待できそう』
『武器は斧にするの?』
「一応、他も持ってきましたけど。試した時は、斧がしっくりきました」
コメントを読みつつ、床から盛り上がる丸い岩陰に、腰を落として隠れる。
視線の遠い先には、ゴブリンがいた。
130センチほどの身長。
赤い肌に、細身な四肢。
右手には木で作られた棍棒が握られている。
砂壁を背にして座り、休んでいた。
1体。ちょうどいい相手だ。
『思ったんだけど、銃とかガンブレードと相性良い気がする』
「……遠距離攻撃?」
『たしかに。安全に相手の弱い“点”を突ける』
『エイムが合えばの話だけどね』
「なるほど」
納得の意見だ。
物陰に隠れながらゴブリンの急所をつくことができる。
理想論ではあるが。遠距離攻撃も良さそうだ。
「次回、試してみます」
そう言いながら、岩陰から飛び出す。
「ゴブっ!」
ゴブリンは気がつき、棍棒を片手に前へ飛び出した。
瞬間――影山は驚いた。
「早い――うわっ!?」
予想より早くに近づかれ、棍棒を振り下ろされる。
その軌道は影山の右の太腿へ向かい、ばしんっ! と鈍い衝撃を与えた。
「ぐっ……!?」
影山が慌てて斧を横へ一閃。
しかしゴブリンは腰を落とし、ひょいとそれを回避しながら横へ。
さらに棍棒を影山の背中へ叩きつけた。
「がはっ!?」
頭が揺れるような、強い衝撃。
背中の骨がきしむのようだ。
よろめきながらも、なんとかすぐに体勢を整えて斧を構える。
「このっ!」
「ゴブゴブっ!」
斧を振るう。しかしゴブリンは後退して、余裕そうに回避する。
2撃、3撃と結果は同じだ。
『大振りすぎる』
『焦っている』
『落ち着いて』
『やっぱ、いうて動きは素人だな』
『よく昨日は、あのクモにパンチ当てられたな……』
「ぐっ……」
音声が読み上げた指摘コメントに、影山は頭を冷やす。
じりじり、と武器を構えながらゴブリンとにらみ合う。
「……透視で、まずは武器を狙います」
『それがいいと思う』
『さて、どうなるか』
『リアルタイムで透視が見れるか』
『武器壊せるのかな』
ゴブリンが前へ飛び出す。棍棒を持ち上げた瞬間を狙って、透視を発動。
青く光る瞳。
棍棒の真ん中と、ゴブリンの胸中央に線が見えた。
影山は斧を振り上げ、棍棒の線へ斧の刃を当てる。
瞬間――ばごおおおおんっ! と大きな音を立てて棍棒が折れた。
「ゴブっ!?」
コメントの勢いが増す。
『出た出た(笑)』
『やっぱいけんのか』
『てか、ここぞという時は動き良くなる』
武器を失ったあとは、一方的な展開になった。
斧をゴブリンの体めがけ振り下ろし、それが胸へ。
透視は切れているので、一撃では仕留められない。
しかし何度か斧の刃を叩きつけることで、ゴブリンはばたりと床に倒れた。
体が消えると一個200円ならしい、魔石がぽつんと砂床に残る。
「……次、行きます」
剣、槍、ガントレットと試していく。
そのどれでも、ゴブリンを撃破することができた。
影山の感触としては、斧が一番使いやすい。
しかしコメントに聞くと、印象は違っていた。
『全部同じくらいかな』
『悪くない動きだけど、まだ初心者感が抜けない』
「……今日は早めに終わります。またお店に寄って、銃とガンブレード試してみます」
16時すぎ。影山は早めにダンジョンの入口へ向かい、配信を切った。
そしてダンジョンから出た時、協会からとある要請を受けることになる。
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