三角関係?
ネオファン作成のトレーニングルームに置かれた、3つの人形。
靴で低空飛行しながら、ウォールブレイカーを振って斬っていった。
ずば、ざしゅ!! と、人形の胸へ的確に切れ込みを入れる。
正確な動作。それでいて早い機動力を求め、何度も練習した。
朝日に撮影してもらった映像を見て、時折自己分析しつつ、この日も訓練を終える。
「ハイパーブーストは今の状態で本当にいいの? もう少し抑えられるけど」
「うん。大丈夫だよ。多用するわけじゃないなら、スピード重視でいい」
ハイパーブーストはスピード重視にし、消費量は多くてもかまわないと、影山は注文した。
最終的なMP消費量は、1秒につき20となった。
通常のブーストがMP1なのと比べると、かなりの消費量だ。
今の影山のMPは145なので、最大で7秒しかもたない。
緊急用の回避。
そしてもう1つが、初速の強化としてハイパーブーストを使うという使用方法を見出した。
また、通常ブーストに関しては速度のベースが、俊敏の値と同じ程度のものとなる。
ハイパーブーストは俊敏の値よりも上振れの速度になるので、地上戦であっても、様々な場面で扱えるものとなるだろう。
「あ、あの、影山さん」
「ん?」
この日も解散となるが、靴の調整はもう終わりの段階だ。
そして2人は同じタワマンに住んでいる。
帰り道は一緒だ。
「一緒に、帰ろ……」
「う、うん」
(考えてみれば推しの朝日ちゃんとこんなにも一緒にいることが当たり前になって本当にありがたいし幸せすぎる同じ世界で生きていてくれるだけでも尊いのにこれからも一生推し続けます恥ずかしそうなお顔助かります)
心の中のセリフですら早口で長文だ。
本社を出ると、朝日はとっても上機嫌な足取りであった。
「ふふふ、今日は影山さんがおごる番だよ~」
「そうだね。明日も、一緒に帰れたら帰ろう」
影山は自分で口にして、自分で驚いた。
シンプルに、思っているが自然と口に出たのだ。
口下手なので、普段はどちらかというと自己主張ができない。
だけど朝日が相手だと、ふと、するりと言葉が出る時があった。
「うん、帰ろっ。えへへ、嬉しいな~」
そんな会話をしつつ、影山は以前ユーマと一緒にいったうなぎのお店へ行った。
この前行って、気に入ったのだ。
お店の前。朝日は1人ではっとした。
(う、うなぎ!? うなぎと言えば精のつく料理……! そして一緒に帰ろうというお誘い!? これはまさか、影山さんが“一緒に帰る部屋も……同じだ”とか言う展開になるってことなの! えへ、えへへへへへへへへ、もう、影山さんったらエッチ! 360度どこから見てもかっこいい可愛いだいしゅき一生推せますぅ~~~~~~!!!)
「どうしたの?」
「はっ!? な、なんでもない。いつでもいけますっ」
「???」
「ウナギのお店、高そうだけどいいの?」
「大丈夫だよ。このくらい任せて」
かっこつけている。
影山はちょっと調子に乗っていた。
しかしその陰キャ、実際に稼いでいる。
「あとここ、美味しいんだ。ユーマと一緒に来たんだけど」
「……ユーマさんと?」
「うん」
むむむ、と朝日は唸る。
そして両手で、ぐぐっ、と拳を握った。
「私、負けないから!」
「???」
(ヒロインレースの勝者は私ですっ)
朝日は勝手にレースを開催して、勝手に優勝宣言を心内でする。
そんな様子を見て、今日はよくわからない発言が多いな、と影山は小首をかしげる。
しかし天然なところも推せると思っているので、影山は内心でとっても癒されていた。
(天然ありがとうございます。ずっと天然ボケしていてください)
2人はウナギのお店へ、入っていった。
やや不思議な形だが、仲は良さそうである。




