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素直な気持ち
「どうぞ…」
湯気のたつマグカップを差し出し、私は彼の向かいに腰を下ろした。
「急に来て迷惑だった?」
困ったように笑う彼に慌てて首を振る。
迷惑だなんて思ってない。
ただ驚いたのと嬉しいのとで言葉が出ないの。
「歩果さんの顔が見たくてさ」
「私も…」
声が聞きたかった。
顔が見たかった。
…会いたかった。
堪えてた想いが溢れて涙になる。
そんな私の涙を優しく拭ってくれる彼。
「歩果さん、会いたかったら言ってくれていいんだよ。俺はすぐに飛んでくるから」
俺も会いたいし、と付け加えた彼の言葉にまた新たな涙が伝う。
でもこれは悲しみの涙じゃない。
幸せ、だと実感できた証。
【End】
これにて全話終了です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございましたm(__)m