年下の苦悩
初めて会った時、俺は手に持っていた資料を全て落っことした。
それほどまでの衝撃。
だって目の前にいたのは、大学時代に憧れてた女性だったから。
なんとか彼女との接点が欲しくて、何か理由を見つけては彼女の部署へ通う毎日。
そして知った悲しい現実。
彼女は俺なんか覚えてなかった。
でも仕方ない。
だって俺が一年の時、彼女は四年。
接点なんてまるでないようなものだったから。
俺が彼女を知ってるのは彼女が目立つ存在だったせい。
大和撫子って言葉が似合う彼女を好きなやつは沢山いた。
だから彼氏もいるだろうって勝手に思ってたけど。
「彼氏?いないけど」
思いきって聞いて良かったと思った。
これなら俺にもチャンスはある。
それから始めた猛アタック。
そしてやっと、やっと彼女と付き合えることになった時は飛び上がらんばかりに嬉しかった。
けど、人生そううまくいかないもの。
俺の仕事のせいで彼女との時間が取れなくなった。
今日も書類の山に埋もれながら、思うのは彼女のこと。
知り合って半年と2ヶ月。
彼女のことで分かったことは、寂しがりやだってこと。
でも強がりで、素直になれないんだってこと。
"寂しい"とか、ましてや"会いたい"なんて彼女から言われたことはない。
俺としてはちょっと寂しい。
でも彼女が素直になれないなら、素直になれるようしてあげるのが彼氏の役目ってもん。
〜♪〜♪
突然鳴った着信音に、また仕事の催促かと溜め息をついた。
「…あ」
ディスプレイに映し出された名前。
あるはずがないと思ってた彼女の名前に俺は慌てて着信ボタンを押した。




