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年上の苦悩
三話で終わる予定が全四話となりました…
一話一話は短編的な感じです。
読みづらかったらすみません。
―わがままなんて言える訳ない
今日何度目かのため息。
開いたままの携帯電話。
ディスプレイに映し出されたのは、年下の彼の名前。
仕事の関係で知り合って、彼からのアタックに半ば折れた形だったけど、実は初めて会った時から気になってはいた。
けど私は彼より年上だし、なによりまだ若い彼とじゃ釣り合わないから。
だからずっと断っていたんだけど。
彼の気持ちは嬉しかったし、折れたって言っても、私だってそれを望んでいたわけで。
結局、私が素直になれないだけだった。
そして今も。
彼の仕事は今、波に乗っている。
けど、部署が違う私は毎日定時で仕事を終える。
これじゃすれ違いが生まれるのは必然的。
けど"会いたい"なんて言えるはずもない。
だって彼は仕事だし、何しろ私は年上。
いい年した大人がわがままを言うなんてあり得ない。
だから彼の名前をただ見つめるしかない。
そんな臆病な私。