7人目・とある男爵令嬢〈エピローグ2〉
「すみません、エデルトルーアさん、新作魔導具の件なんですけど」
と、ミーナちゃんが私のところに駆け込んできた。
「あ、魔物ホイホイ?」
答えれば、ミーナちゃんがあれっという顔をする。
「この新作のこと、魔物ホイホイって呼んでるんですか?」
しまった、無意識に口に出してしまったか。
ミーナちゃんの顔がほころぶように笑顔になって。
「わあ、ぴったりの名前ですね!」
……ミーナちゃん、あなた転生者でしょ。
そしてミーナちゃんが首をかしげる。
「ところで、ホイホイって、どういう意味なんですか?」
…………だから、どっちなの!!
結局、ミーナちゃんが不思議そうにこちらを見るから。
「あ~、そうね、うん、古~い文献で見たのよ、魔除けみたいな?意味で?
魔導具が上手く作動するように、願掛けしたって、感じ?」
と、誤魔化してみたところ。
「そうなんですか。やっぱり、エデルトルーアさんはすごいですね!」
純粋な賞賛の視線を、こうもイタく感じるとは。
でもねミーナちゃん、あなたのやってることも、すごいからね?
そもそも魔物ホイホイだって、聖魔法を入れてもらわないと作動しないんだし。
まあ、いっか。
ミーナちゃんが、前世の記憶で悩んでいるようなら、私と会話してみるのもいいかと思ってたんだけど。
ミーナちゃんに前世の記憶があったとしても、かなり断片的みたいだし。そもそも目の前の毎日に一生懸命で、ミーナちゃんはあまり気にしていないみたいだし。
ならば、そうだね。
ミーナちゃんがもっとこの暮らしに落ち着いたころ、あるいは10年後か20年後、二人で女子会なんかしながら、実は転生者?なんて話題を振ってみるのも、楽しそうじゃない?
そして、数日後。
まさか私が、こんなセリフを叫ぶことになろうとは、数日前の私には全く予想できなかったさ!
ミーナちゃん、あなた、
「魔物ホイホイって、王都への手紙に書いて、送っちゃったの!?」




