表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼の宴 - ENN -  作者: 星夜 燈凛
11/19

酒の鬼達







 酒呑童子と約束を交わした後、雄太は改めて酒呑童子の力の一部であり、部下である酒鬼達を紹介してもらっていた。





 最初に会った三毛猫の少年はみりん。


 酒呑童子の世話係で、この屋敷の家事を一手に引き受ける。


 猫の姿で人間の噂を集めたり、あの森の神社と繋がっている鬼の世界に人間が迷い込まないよう案内役を務めたりしているのだという。




「僕は可愛くて優秀な酒呑様の右腕だにゃ。

 酒呑様の(めい)で仕方な〜く、お前の世話もやいてやるんだからからなっ!感謝するがいい。」



 そう言うと、みりんは両腕を腰に当ててふんぞりかえって見せる。



 相変わらずみりんは雄太にだけは毒を()く方針のようだ。



 みりんは自己紹介が終わると、ゴロゴロ〜と喉を鳴らして酒呑童子の膝にすり寄る。


 酒呑童子はその様子に苦笑(くしょう)しながらもみりんの頭を撫で、困ったことや欲しい物があればみりんに遠慮なく言うがいいと雄太に言うのだった。







 次に雄太が紹介してもらったのは、清光という日本酒を司る鬼だった。



 日本刀を自在に生み出す能力を持つらしい。


 そして、酒呑童子の護衛を好き好んで勝手にやっているらしく、雄太は危険人物と認定されたのか先ほどからじっとりと睨まれている。




「私は、至高なる酒呑様のお力の一部、日本酒を司る鬼、清光。我々酒鬼は比類(ひるい)なきほどの強さ故に、酒呑様だけが生み出せる、酒呑様のお力の象徴(しょうちょう)なのである。

 本来我々は、人間如きが軽口を聞いて良い相手ではないのだ。(おそ)(おのの)くがいいっ!」




 そう言い放つ清光は、尊大な態度で雄太を見下してくる。


 プライドが高くてめんどくさそうだというのが雄太の日本酒に対する正直な感想である。





 ────ってか、二人とも酒呑童子の事好きすぎないか?これが鬼の間では普通なのか?





 雄太がそんな事を考えていると、突如(とつじょ)としてヒラヒラとしたスカートが雄太の視界を塞ぐ。



 そのスカートを()いた栗毛色のツインテールの女の子が雄大の前を通りすぎ、ひらりと日本酒の前に舞い降りた。




「そーんな怖い顔してたら、眉間のシワが取れなくなっちゃうぞっ☆きーよちゃんっ♪」



 そう言いながら女の子は日本酒の眉間のシワをツンツンとしている。




「シードルっ!貴様、何をするっ!!そして、清ちゃんと呼ぶなと何度言ったら分かるんだっ!」


 ものすごい剣幕で日本酒がシードルと呼ばれた女の子に吠える。



 そんな日本酒からシードルは「きゃー♪」と言って逃げ回りながらもとても楽しそうである。



 シードルは赤いりんごの形をしたベレー帽を頭に被り、りんごのモチーフがあしらわれたふりふりの可愛らしい洋服を着て、さながらアイドルのようだ。





「だーから、私もそのシードルって呼び方辞めてくれたら考えてあげるって言ってるでしょ~?☆

 さぁ、清ちゃん?私の事をしいちゃんって呼んでごらんなさいな?♪」




「誰が女子(おなご)に軽々しく〝ちゃん〟付けなど……!

 できるかっ……!」




 日本酒は顔を真っ赤に染めてそっぽを向く。


 そんな日本酒を見てシードルは「りんごみた〜い!」と楽しそうにからかいながらケラケラと笑っている。





 雄太が『なんだか、悪い奴らでは無さそうだな』と思いながら眺めていると、先ほどまで二人のやりとりを見てクスクスと笑っていた酒呑童子が改まった調子で「紹介しよう」と言ってシードルを手招きした。





 ……本当にこの頭領は、笑いのツボが浅い。





 そんなことを思いながら酒呑童子と(そば)にやってきたシードルに視線を向ける。




「彼女はシードルを司る鬼、椎愛(しいな)だ。

 酒の力は爆弾と盾。

 今日から清光と共にお前が鬼と対等に戦えるよう指南役(しなんやく)を務めることになっている。

 仲良くしてやってくれ。」




 そう言われたシードルが「はいはーいっ!」と言って可愛らしく手を挙げながら雄太の前に(おど)り出る。




「やっほー!確かお名前、雄太君だったよね?

 んー……なら、ゆうくんっ!あたしの事は『しいちゃん』って呼んでねっ♪ビシバシ(きた)えちゃうから覚悟してよぉ~?☆」




 そう言うとシードルはくるりとまわって可愛らしくポーズをキメ、仕舞いにはウィンクまで飛んできた。



 まるで、アイドルのファンサービスのようだと雄太は思う。






「あの……鬼と戦えるようにしてくれるって話だったのですが、いったい何をするんですか?」



「まぁ、人間風に言うなら修行だな。

 まずは、この二人の鬼から酒を貰うことだ。

 酒鬼から貰った酒を盃の適合者が飲むとその鬼の持つ能力が使えるようになる。」




「一体どうやって貰うんですか?」



「うーん、まずはお願いでもしてみたらどうだ?」



 酒呑童子が面白そうに笑って言った。





 雄太は他に方法も思いつかないため、言われた通りに日本酒の前まで移動し、向かい合って正座をして言った。



「えーっと、お酒をください。お願いします。」


「断る。」


「え?」




 雄太は耳を疑った。お願いしてみろと言った張本人の酒呑童子は腹を抱えて笑っている。



 ……あ、遊ばれた…………






「な、なんで……?」



「酒鬼が与える酒は信頼の証。

 おいそれとやる訳が無いだろう。馬鹿者。」



日本酒はそう言って鋭く睨んでくる。正直とっても怖い。

 ちょっと泣きそうだ。



「じゃあ、どうすれば……?」



「なんでも人に尋ねるな。

 お前のその頭は飾りか、ど阿呆。」



 そんなことを言われるとぐうの音も出ない。雄太は押し黙るしかなかった。



 「そもそも、人間の分際で私に頼みごとをしようなど笑止千万(しょうしせんばん)。私は主様の命令しか聞かぬ。

 ……はぁ。愚かな人間よ、私に酒の力を貸して欲しくば、先ずはお前の強さを示してみせよ。」





 ────強さを示せってこいつと戦って勝てってことか?



 鬼と戦えるようになるための修行をこれからする所なのに日本酒に戦って勝つとか無理だろ。



 ってか、頑固っ!めんどくさっ!

 酒呑童子の命令なら聞くみたいだけど……




 そう思い酒呑童子をチラリと見やると酒呑童子は口の端を吊り上げてニヤニヤと笑っているだけで、どうやら助けるつもりはないらしい。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ