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鬼の宴 - ENN -  作者: 星夜 燈凛
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二人の鬼の戦い

 御覧いただきありがとうございます。お目に留まりましたこと作者として大変嬉しく思います。


 初めて小説を書かせていただくため、読み苦しい部分もあるかと思いますが、お付き合い頂ければと思います。

 週に一話は更新する様に努めてまいります。応援よろしくお願い致します!



«注意喚起»

 こちらの小説では『お酒』が題材となっております。

 全てフィクションである事をご理解の上お楽しみください。


 【 お酒は二十歳になってから。 】


 「ちょっとくらい……」と聞く耳を持たなかった子は、その身を焼かれ鬼に落ちてしまうかもしれませんよ……?


 なんて、異界ジョークもこれくらいにして……



 一人の男と鬼の頭領酒呑童子のお酒を巡る物語の幕開けです。







 ────ドンッという爆風と共に大きな二つの影が互いの距離を取る。




 その爆風のせいで鬱蒼(うっそう)()(しげ)っていた森の木々はほとんどなぎ倒され、二人の周りだけが丸くはげて地面があらわになっていた。





「…………っ何故(なぜ)……」




 腰を通り越す銀色の長い髪を振り乱し、肩で息をつきながら青年が呟く。


 その体躯(たいく)は常人の物より大きく、手には鋭く長い爪、頭には二本の角、(いまいま)々しげに食いしばられた口元には牙のような鋭い歯が覗く。その姿はまさに、鬼と呼ぶに相応しい姿だった。

 そして、その青年の鬼がまとっている白色の狩衣(かりぎぬ)は所々引き裂かれ、血がにじんで薄汚れており、二人の戦いの激しさを物語っている。




 青年の薄紫の瞳が(いきどお)りの感情を宿(やど)して、目の前の相手を鋭く(にら)みつけた。



「何故だ、茨木童子(いばらきどうじ)……。お前は、俺の友であり、ここまで強さに(おぼ)れた奴じゃなかっただろう!!?」


 青年の震える声には、驚きと戸惑いの色が伺える。


 茨木童子と呼ばれた男はその言葉を鼻で笑うと、ニヤリと口の端を吊り上げた。


「何故……と問われてもな、酒呑童子(しゅてんどうじ)よ。

 強さを求めるのは鬼ならば当然であろう?」


 そう言いながら、茨木は己の爪を(かか)げ、同意を求めるよう首をくいっと(かし)げてみせた。


 二本生えた角は一本が途中で折れてしまってはいるが、その姿は酒呑童子と呼ばれた青年の鬼と同じく、鬼と呼ぶに相応(ふさわ)しい姿だった。

 (りゅうりゅう)々と鍛え抜かれた筋肉、獅子(しし)のような燃える赤色の髪、褐色がかったその赤い瞳に見据(みす)えられてしまえば、恐ろしさから震え上がってしまいそうだ。




「だが、それでも異常だと言っているのだ、茨木童子。

 確かに、お前とは幾度となく刃を交えてきた。それでも、お前はこの場所だけには見向きもしなかったではないか!

 それなのに何故、いまさら人間界への門を破ろうとする?

 いったい何が狙いだ?いい加減吐きやがれ。」



 酒呑童子が矢継(やつ)ぎ早に茨木童子を責め立てる。





「くっくっくっくっ…………

 言えといわれて素直に言う奴がいるか。

 なぁに、どうせ言ったところで貴様にはわかるまい、酒呑童子よ。

 どうしても言えと言うのであれば.......力ずくでやってみろ!!!」


 そう言いながら、茨木童子の手に大きな炎の球が作り出され、次々と酒呑童子に向かって放たれる。炎球は凄まじい轟音(ごうおん)と共に地面をえぐり火柱を上げた。



 酒呑童子は素早くその攻撃をかわし、ぐっと地を蹴って茨木童子との距離を詰める。


 その手にはどこから取り出したのか、日本刀が握られていた。

 目にも止まらぬ早さで斬撃(ざんげき)が繰り出され、茨木童子を切り刻まんと迫っていく。

 対する茨木童子は、赤々とした純度の高い炎を手に(まと)わせ強化した長い爪で、攻撃を器用に受け流していた。


「酒呑童子!!その傷でここまで動けるとは、流石(さすが)よ。

 それでこそ我らが鬼の頭領だっ!」


 あぁ!という歓喜(かんき)の声をあげながら、茨木童子はうっとりとした表情で酒呑童子の攻撃を受け止めていく。今まさに己の首が狙われているという時に、嬉々とした表情で戦いに挑むその姿は異常者以外の何者でもなかった。



戯言(ざれごと)を言っていられるのも今のうちだぞ、茨木童子。

 …………鬼酒生成(きしゅせいせい)!」


 酒呑童子が何かを呟いたかと思うと、剣を握っていない方の手にどこからともなく爆弾が出現し、茨木童子に向かっておびただしい数が投げつけられる。




「ぬうっ……!」


 さすがに、この至近距離で大量の爆弾を避け切るのは、いくら鬼と言えども至難(しなん)(わざ)だ。大きな爆発音と共に激しく爆煙(ばくえん)が上がり、茨城童子を包み込む。



 ────……奴は(もろ)に爆弾を食らっているはず。



 酒呑童子はこの一撃で茨木童子に相当のダメージを与えられるだろうと踏んでいた。




 静かに煙が晴れ、その姿が(あら)わになる。

 茨木童子は後ろにのけぞった血まみれの上体をゆっくりと起こしているところだった。


「あの攻撃を受けても立つのか……化け物め。」


 酒呑童子は少し信じられない思いでいた。

 なにせ投げつけた爆弾は、雑魚鬼ならば一瞬であの世行きの代物(しろもの)だったからだ。


 ────ただし、鬼にもあの世があればの話だが。


 酒呑童子はそんな事を考え、チッと軽く舌打ちをした後、改めて茨木童子に向き直る。








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