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後書き
「顔が見えない人」と「顔しか見てもらえない人」を同じ場所に立たせたら何が起きるだろう、という思いつきから始まった話です。持っていない側と、持ちすぎている側。噛み合わないはずの二人が、それでも同じ速さで歩けるようになるまでを書きたいと思っていました。
苦労したのは雫のほうでした。彼女は純粋な気持ちだけであの桜の下に立ったわけではありません。三十分早く起きて顔を作り、勝てると思って行きました。そこを削って綺麗なヒロインにしてしまうと嘘になる気がして、途中から語り手を彼女に渡しています。
タイトルにした絵を、審査員は「理知的な判断」と評します。けれど朔はただ描けなかっただけです。それを知っているのが雫ひとりだという形にしたくて、この話を書いたようなところがあります。
ここまでお付き合いくださって、ありがとうございました。




