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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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『鎌を持った少女……』

 十二歳の時から鎌を持っていたのかと私はしみじみクシャナの凄さを実感していた。

 あの大きさの鎌を幼い少女が扱っていたのかと思うと……、私も七歳で剣を振りまわしていたから、人のことは言えないけど。

『初めての異国で大興奮だったみたいよ』

 私もラヴァール国に国外追放されるって知った時は興奮状態だった。

 新しい世界を知るのはいつでも楽しいもの。恐怖よりも興奮が勝つ。

『クシャナはデュルキス国では誰にも見つからなかったの?』

 私の質問にキイは苦笑いを浮かべた。

 ……その反応は見つかってるじゃない。……でも、見つかっているのに、大事にはなっていないのね。

 ラヴァール国からの侵入者なんて聞いたことないもの。……狼ぐらいかしら。あの事件からラヴァール国に興味が湧いたんだったわ。 

『闇夜に輝く金髪の少年に出会った』

 ………………フィン様。

 私はデュルキス国で金髪と言えば、真っ先に浮かんだのが光属性のスミス・フィンだった。

 もしかして、フィン様の恋した相手って……。まさかね、と思いながらもキイの話の続きを待った。

『森から森へと続く道で、クシャナからしたらまさか人がいるなんて思ってもみなかったからびっくりしたんだって。……天使みたいな子がいるって。それに、自分より一つ上って聞いて信じられなかったみたい』

 十二歳の時にフィン様は十三歳だったということは……、クシャナは私の四つ上?

 あの貫禄はもっと年上だと勝手に思い込んでいたわ。クシャナが今二十歳なら……、八年間。八年間も森の女王を務めたってこと!?

 若くして女王になり、よく八年間も安寧な世を保っていたわね。……凄いの一言以外出てこない。

 女王になった経緯も気になるけれど、今はフィン様との出会いよ。デュルキス国で「天使みたいな子」はフィン様以外考えられない。

 てか、どうしてフィン様は夜に森なんていたのかしら……。

 私みたいに家族のみんなにバレないように夜にお屋敷を抜け出して、貧困村に行っていたわけじゃないだろうし……。

 フィン様っていつまで経っても、どこかミステリアスに包まれているわよね。

『夜の森って危険でしょ?』

『そ、そうね』

 私は慌てて笑顔を作る。私も夜の森を通っていたのよね……。今思えば、よく無事だったわね、私。

『すぐに盗賊に見つかったそうよ』

『フィ……、その少年はどうして森にいたの?』

『それは聞いてないけど……。盗賊に見つかってどうなったかの方が気にならない?』

『どうせクシャナがやっつけたんでしょ』

『あ~~! 先にそれ言っちゃう? アリシアってば、面白くな~い!』

 キイは口を尖らせながらそう言った。

 やっぱり。十二歳といえども、クシャナが負けるわけないわ。

『少年がお金持ってそうに見えたからか、盗賊は彼を狙おうとしたそうよ。その瞬間、クシャナは鎌を持って盗賊に立ち向かったの。一瞬で片付いたらしいわよ。殺す勢いだったらしいけど、その殺気に気付いたのか、盗賊はすぐに逃げてったらしいわ。クシャナが追いかけようとした時、その少年に腕を掴まれて、もう大丈夫だから、って言われたって。……こてんぱんにやっつけたら良かったのにね。そんな盗賊たち』

『鎌を持つクシャナに少年は少しも怖がらなかったの?』

『ええ、少しも。怖がられるだろうって思っていたから、意外だったってクシャナも言っていたわ』

 ……流石フィン様。肝が据わっている……、って言葉だけで片づけていいのかしら。

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