新潟県民同士は、方言では話さない。
私の地元は、新潟県三条市。
しかし、地元以外の新潟県民と話す時は、方言では話さない。
なぜなら、通じないからだ。
「いやいや、同じ新潟県民でしょ?」と思われるかもしれない。
ところが、新潟県民にとっては、これが意外と普通なのである。
その理由を調べてみると、新潟県は「方言の宝庫」と呼ばれていた。
江戸時代、新潟は北前船が寄港し、信濃川や阿賀野川の舟運でも栄えた土地だった。全国から人や物、そして言葉が集まる場所だったのである。
さらに、山や大きな川が生活圏を分け、それぞれの地域で独自の言葉が育っていったらしい。
下越、中越、上越、佐渡。大きくは四つの系統に分けられ、さらに細かく見ると十種類近くにも分類されるそうだ。
下越は東北方言の特徴を色濃く残し、中越は語尾が「〜が」「〜がぁ」となることが多い。上越は北陸方言の影響を受け、佐渡は本土とは異なる独特の言葉を持つ。
そりゃ、同じ県民同士でも通じないわけである。
テレビで「新潟弁特集」が始まる。
「……何言ってるかわからん」
もちろん、「なじらね?」や「ばか(とても)」のような、有名な新潟弁はわかる。しかし、それ以外の言葉になると、私も検索しないと意味がわからない。
……新潟県民なのに。
紹介されるのは新潟市周辺の言葉が多く、三条育ちの私には馴染みがないのである。
介護の仕事をしていても、よく感じた。
ご利用者さんは長岡の方。当然、私よりずっと長岡弁が強い。だから、こちらも三条弁で話せば親しみやすいだろうと思っていた。
……通じない。
結局、お互い少し標準語寄りで話すのが一番スムーズだった。
同じ新潟県民なのに、である。
それでも、仕事が終わって三条の人と話し始めると、口から出てくるのは三条弁。
長岡の人と話す時は自然と標準語寄り。
三条の人と話す時は自然と三条弁。
意識して切り替えているわけではない。
気が付けば、勝手にスイッチが入っている。
ちなみに、私は長岡へ嫁いだ。
車で四十分ほど。同じ中越エリアだが、嫁ぎ先ではあまり方言を聞かない。
夫がたまに語尾へ「〜が」を付けるくらいで、普段の会話はほとんど標準語だ。
だからこそ、実家へ帰ると三条弁の濃さを改めて実感する。
特に、姉夫婦は二人とも三条出身だ。
そのため、小学生の甥っ子までゴリゴリの三条弁を話す。
義兄「やっぱ三条祭りは現地で見ねばダメらね」
甥「ほんとらね」
姉「ママはごーぎ人混みで疲れるっけ、来年は行かんようにしようかな……」
甥「ええ〜!なんでらて!行こうて!」
実家へ帰るたび、「ああ、三条弁ってこんなに濃かったんだ」と毎回思う。
方言というのは、意外と家庭の中ではしっかり受け継がれるらしい。
実家では今も当たり前のように飛び交っているが、世間では「方言が減ってきた」とよく聞く。だから、三条弁も少しずつ消えていくのだろうと思っていた。
でも、実家へ行くと今日も甥っ子たちはゴリゴリの三条弁でしゃべっている。
どうやら三条弁も、簡単には絶滅しそうにない。
新潟県民の皆さん。異論は認めます(笑)
「うちの地域はもっと違う!」という方は、ぜひコメントで教えてください。




