追放される男
息を、
「各自撤退!全員自分のことだけを考えろ!魔法ランプは使うな!できるだけ月明りだけで行動しろ!」
息を、、、
しなければ、、、
はぁ、
はぁ、、、
ヒュッ
かつてのトラウマがフラッシュバックし、気道が詰まる。
「また、、、俺のせいで、、、」
メルトの近くにある魔法ランプを見つけたのだろう。茂る木々の間から飛び出してきた吸盤のついた触手があたりの木ををなぎ倒す。木に押しつぶされず、触手にはたかれただけだったのは不幸中の幸いだろう。それでも吐血しないほど威力が少ないわけでもないが。
やばい意識が飛んでいきそう、、、このまま、、、
「死にたくな、、、」
目が覚め、飛び起きた拍子に、人に頭突きをしてしまう。
「ごめん!だけど、できるだけ早くここから逃げてくれ!この近くには、、、あれ?」
やけに視界が明るい。さっきまで戦っていたあの不気味なタコは、、、そういえば寝そべっているところも地面では無い。死んだのか、、、?
「あれ、ここは、、、」
「ここは教会医療院だよ」
頭突きした人とは別の人が疑問に答える。
「となりの娘があんたを運んできてくれたのよ。感謝しな!もちろん手当した私にもね!」
「ありがとうございます。そして、あの、その、、、」
「ヒバナです」
ヒバナとなのるその少女は恰好こそ一般冒険者のそれだが、銀髪ショート、光の向きによって緑にも青にも輝く瞳、天使のような白い肌という特徴がメルトの脳みそに焼き付く。これが一目惚れなのかどうかはわからない。
「ヒバナさん。ありがとうございます。頭ぶつけちゃってごめんなさい」
変わった名前だなとは口が裂けても言えない。初対面、しかも命の恩人にいうことではない。
「全然いいですよ。近くに人が倒れていれば助けたいと思うのが人情でしょう」
「ところで、目が覚めたら連絡をよこせとリーダーの人が」
「わかりました。じゃあヒバナさん。また会えたら」
「また会えたら」
去っていく彼女を見送り、ラトリドに手紙を書いていく。
「これ、ラトリドさんにお願いします」
「お邪魔します」
「うわっ、、、失礼しました」
趣味の悪いと言ったら失礼だが、少し不気味なアクセサリーをオフのリーダーはつけてくるので、タンク向きのムキムキな身体を合わせるとかなり恐怖だ。ただ、性格はかなり良く、今回も全治一か月の傷を負った俺に気を使って、リーダーの方からやってきてくれたようだ。
「メルト。怪我はどうだい?」
「大丈夫です」
「俺が助けられれば良かったが、、、本当にすまなかった」
「いや、俺こそ、、、」
「だが、もう1つすまないことがある」
ラトリドは申し訳なさそうに言葉を続ける。
「メルト。パーティーから抜けてくれないか?」
「最近遅刻が目立ってきている。昔からの中だからと我慢してきたが今回の騒動でメンバーの不満が爆発したんだ」
「、、、!」
確かに最近遅刻している。しかも毎回。対策もしてきた。何回も。しかし、その対策も予定した動きをしてくれない。弁明する間もなくラトリドは言葉を続ける。
「今までこんな何回も遅刻してくることはなかったから、何か事情があることはわかっている。ただ、パーティーメンバーがあまりに不満を漏らしていて、、、ここの医療費はパーティーで出す。これが終われば抜けてほしい」
「わっかりました、、、」
「また会えたら」
そしてラトリドは別れの挨拶続け、メルトも応える。
「また会えたら」
そして俺はパーティーを抜けた。




