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第19話 フェスティバル

 吹き抜けるような青空。

 気候も丁度良く、催し事を行うには最適な日。

 東区画には楽し気な音楽が流れ、西区画はいつにも増してコロシアムが盛り上がり、南区画は異様な雰囲気に包まれ、北区画は平常運転。

 そんな中でライムたちが訪れたのは、リーナに勧められた東区画。

 想像以上に騒がしく、飾り付けも派手。

 普段は出ていない屋台もあり、まさにお祭り騒ぎ。

 パメラは少し行きたそうだったが、『月夜の歌声』の営業を優先したようだ。

 ルビーとマリンが圧倒されている一方で、ライムも興味深そうに辺りを見渡している。

 しかし、その時間は短く、娘たちの手を握りながら言い放った。


「2人とも、今日は楽しもう」

「う、うん! 楽しみ!」

「いろいろあり過ぎて、目移りしてしまいます……」


 何やら気合いを入れているルビーと、やや緊張した様子のマリン。

 彼女たちの様子にライムは苦笑し、足を踏み出しつつ声を掛ける。


「気負うことなく、適当に見て回ろう。 時間はあるからな」

「そ、そうですね」

「あ! パパ、あれ何だろ!?」

「あれは……綿菓子と言う食べ物らしいな。 食べてみるか?」

「うん! どんな味か気になる!」

「本当に、食い意地が張っているわね。 では、貴女がお父様に買って頂くのは、それで終わりよ」

「そ、それは嫌! パパ、やっぱりなし!」

「ルビー、心配いらない。 マリンも、そこまで厳しく考えなくて良いぞ。 昨日の約束に関しては、わたしが何を買うか決めるから、それ以外は別だ。 楽しむことを優先してくれ」

「お父様……かしこまりました。 全身全霊で楽しみます」

「ホント、堅苦しいわね。 そんなだと、息苦しくない?」

「放っておいて頂戴。 少なくとも、誰かさんのように考えなしで生きるよりはマシよ」

「ちょっと!? 誰が考えなしなのよ!?」

「心当たりがあるなら、その人ではないかしら?」

「む~! 腹立つ! ねぇパパ、やっぱりあたしたちだけで行こうよ!」

「ふざけないで! 気に入らないなら、貴女がどこかに行けば良いでしょう!?」

「べ~だ! 誰があんたの言うことなんか、聞きますかっての!」

「この……!」

「その辺りにしてくれないか? 折角の楽しい時間が、台無しだ」

『……ッ! ごめんなさい……』


 ライムに冷たい声で窘められた双子は、しょんぼりと俯いて謝罪した。

 その姿に溜息をついたライムは、一旦手を解いて2人の頭を撫でながら、自身の考えを述べる。


「わたしは、3人で一緒に楽しみたいんだ。 誰かが欠けるだなんて、考えたくない。 キミたちは本当に、わたしと2人きりの方が良いと思っているのか?」

「それは……」

「違うと思います……」

「そうだろう。 喧嘩をするのは仕方ないかもしれないが、勢いに任せた物言いは感心しない」

「うん、そうだよね……」

「申し訳ありません、お父様……」

「充分反省出来たようだな。 それなら、この話はここまでだ。 改めて行こう。 まずは、綿菓子だったな」

「い、良いの、パパ……?」

「遠慮するな、ルビー。 わたしはいつまでも、引き摺ったりしない。 だから2人も、ここからは意識を切り替えてくれないか?」

「かしこまりました。 ……ルビー」

「な、何よ?」

「……余計なことを言ってしまって、悪かったわね」

「へ!? あ、いや……あたしも、ごめん……」

「別に……気にしていないわ」


 顔を真っ赤にして、目を逸らしながらも、しっかり謝罪し合った双子。

 歩み寄った娘たちを優しく見つめたライムは、再び頭を撫でてから手を握り直す。

 不安そうな2人に微笑み掛けて、彼は歩き出した。

 綿菓子の屋台の前まで来たライムは、美男美女の集まりに気圧されている店主を気に掛けることもなく、淡々と注文する。


「綿菓子を2つ、お願いします」

「お、おう! ちょっと待ってな!」


 ハッと我を取り戻した店主が、慌てて綿菓子を作り始めた。

 その工程も面白いらしく、ルビーは瞳をキラキラとさせて、マリンもジッと眺めている。

 彼女たちが立ち直ったのを察したライムは、思わず苦笑を漏らした。

 しばしして完成した綿菓子を、ルビーたちに渡しながら店主は笑顔で言い放つ。


「ほい! お嬢ちゃんたち可愛いから、サービスしといたぜ!」

「わーい! 有難う、おじちゃん!」

「なんだか申し訳ないですが……感謝致します」

「気にすんなって! お嬢ちゃんたち、『宝石姫』だろ? いろいろ言う奴もいるけどよ、俺は応援してるぜ! 頑張れよ!」

「おじちゃん、良い人ね! あたしたち頑張るから!」

「応援、有難うございます。 これからも精進します」


 綿菓子を受け取ったルビーは満面の笑みで、マリンは柔らかな微笑を湛えていた。

 美少女2人の笑顔を目にした店主は、デレデレしていたが、小声でライムを呼び寄せる。


「おい、兄ちゃん」

「はい、何でしょう?」

「あの子たち、お前の娘って本当か? あ、義理ってことはわかってるぜ」

「えぇ、間違いありません」

「そうか……。 だったら、最後まで責任取れよ。 あの子たちは、兄ちゃんが大好きみたいだからな。 ちゃんと、気持ちに応えてやれ」

「勿論そのつもりですが、もう1度気を引き締め直します。 その機会をくれて、有難うございました」

「兄ちゃん……マジでホムンクルスか?」

「良く言われますが、見ての通りです」

「確かにチョーカーは付けてるな……。 正直、俺はお嬢ちゃんたちのファンで、兄ちゃんのことは興味なかったんだが、気が変わったぜ」


 そう言いながら、綿菓子を作り始める店主。

 2つ分の代金しか支払っていないライムは、不思議に思っていたが、店主は気にせず作り上げて押し付けた。

 ひとまず受け取ったライムが、視線で真意を問い掛けると、店主は歯を見せて笑って言葉を紡ぐ。


「そいつもサービスだ、持って行け!」

「良いんですか?」

「おうよ! その代わり、さっきの約束を守れよ? もし破ったら、100倍の金を請求するからな?」

「それは少々横暴ですが……良いでしょう。 わたしが、約束を違えることはありませんから」

「良く言った! ほら、そろそろ行きな。 フェスティバルには、まだまだ楽しみがあるからな!」

「はい、行って来ます」


 店主に丁寧に頭を下げたライムは、綿菓子を片手に娘たちの元に戻った。

 彼女たちは綿菓子を美味しそうに頬張りながら、ライムに疑問を投げ掛ける。


「パパ、何の話をしてたの?」

「簡単に言えば、キミたちのこともよろしく頼む……そう言うことだ。 彼はよほど、2人のことが気に入っているらしい」

「たくさんサービスして下さいましたしね。 お父様も、是非食べてみて下さい。 甘くて美味しいですよ」

「あぁ、歩きながら頂こう。 他にも気になるものがあれば、言ってくれ」

「はーい! まだまだ楽しむわよ!」

「わたくしも、なんだか気分が高揚して来ました」


 それから3人は、東区画の大通りを中心に、様々な屋台を見て回った。

 ルビーは食べ物が多く、マリンは的当てなどのゲームが気になっている。

 娘たちの楽しそうな姿に、ライムも微笑ましくなっていたが、とある店が目に入って立ち止まった。

 手を繋いでいたルビーとマリンが、不思議そうにしていると、彼は少し考える素振りを見せてから声を発する。


「ここに入ってみよう」

「ここって……服屋さん?」

「フェスティバルに参加していると言う感じではないですね」

「そうだな。 だが、営業はしているらしい」


 扉に掛けられた札を見たライムは、双子の手を離して中に入る。

 その後ろを2人が付いて行くと、様々な色やデザインの服が並べられていた。

 すると――


「服飾系ギルド、『愛の天使(ラブアンジュ)』にようこそ。 ……おや?」


 店の奥から出て来た男性が、何やら芝居掛かった仕草で一礼した。

 歳は30手前くらいだろう。

 身長は180センツ前後で、線は細いが引き締まって見えた。

 輝くような金髪をミディアムヘアーに整えており、眩いばかりの笑みを浮かべていたが、ライムたちを見て目を丸くする。

 白のスーツに黒のシャツ、赤のネクタイ、黒いハットと言うコーディネート。

 彼の反応をルビーたちは訝しく思っていたが、ライムはマイペースに問い掛けた。


「服を見せてもらっても良いですか?」

「……あぁ、失敬。 勿論だとも、ライム=ハワードくん」

「わたしのことを知っているんですか?」

「勿論だとも。 キミほどの美少年、話題にならない方が不自然だからね。 当然、そちらの美しい姫君たちのことも、存じ上げているよ」

「ふふん! まぁ、それほどでもあるかもね!」

「ルビー、恥ずかしいから自分で言わないで……」

「何を照れてんのよ、マリン?」

「て、照れていないわよ!?」

「ははは! 愉快な姫君たちだ。 おっと、自己紹介がまだだったね。 僕はレンジ=クルーガー。 『愛の天使』のリーダーさ。 よろしくね」


 爽やかな笑みで、ライムに手を差し出すレンジ。

 対するライムは、感情を窺わせない顔で握手したが――


「レンジさん、『愛の天使』は服飾系ギルドなんですね?」

「その通りさ。 もっとも、メンバーは僕ともう1人だけどね」

「なるほど」


 一言で済ませるライム。

 だが、握った手から伝わって来るレンジの強さを、彼は確かに感じていた。

 ここにも隠れた実力者がいたかと、内心で感心するとともに、少しばかりの警戒もしている。

 今のところ敵対する理由はないが、この先どうなるかはわからない。

 レンジの存在を偶然知れたことを、ライムがラッキーに思っていると、背後で扉が開く音がした。

 ルビーたちとともに振り返った先に立っていたのは、1人の女性。

 年齢はわかり難いが、10代終盤から20歳を超えた辺り。

 身長は150センツほどで小柄だが、胸元の双丘は大きく育っている。

 白髪を縦巻きロールにしており、不愉快そうな面持ちを浮かべていた。

 黒のゴスロリ服に、薔薇の飾りが付いたヘッドドレス。

 かなり派手な装いながら、妙にしっくり来る。

 ライムがそのような感想を抱いていると、レンジが女性に向かって声を投げた。


「お帰り、アネット。 買い出しご苦労だったね」

「まったくです。 このわたしを使い走りにするだなんて、良い度胸をしてやがります」

「おいおい、公正なコイントスの結果だろう? 僕に文句を言われても困るよ」

「関係ねぇです。 本来なら、テメェが自分から買い出しに行くべきだっただろうがこの野郎です」

「やれやれ、仕方のない子だ。 取り敢えず、彼らに挨拶したらどうだい?」


 丁寧なのか荒っぽいのか、良くわからないアネットはレンジに言われて、ようやくライムたちに目を向ける。

 すると、ルビーとマリンを見て目を見開き、首が捻じ切れるのではないかと言う勢いで振り向いて――


「ラ、ラララララ、ライム様!? ど、どうしてこのようなところに!?」


 それまでの余裕もどこへやら、一瞬にして混乱した。

 同時に、双子の目がスッと細められる。

 そのことにライムは気付いていたが、敢えて無視して口を開いた。


「どうしてと言われましても、服を買おうかと思いまして。 まだここで買うかは、決めていませんが」

「そ、そうでしたか! 何と光栄なことなのでしょう! な、何かございましたら、な、何なりとお申し付け下さい! は!? レンジ! お茶の1つでも、お出ししたのでしょうね!?」

「アネット、生憎とうちはそう言ったサービスはしていないよ」

「馬鹿野郎ですか!? ライム様を、その辺の塵芥どもと一緒にしやがるなです! も、申し訳ありません! すぐにご用意を――」

「あぁ、お構いなく。 食べ物や飲み物は、屋台で調達するので。 それより、服を選ぶのを手伝ってもらえませんか?」

「わ、わたしがライム様の、お手伝いをしてよろしいのですか!?」

「忙しいのなら、そちらを優先してもらって構いませんが」

「滅相もございません! ライム様のお役に立つことに比べれば、世界の破滅すら些末事ですから!」

「それは言い過ぎだと思いますけど……よろしくお願いします」

「はい、お任せ下さい!」


 買い出しの食料をレンジに押し付けたアネットは、スキップでもしそうな勢いでライムの傍に寄った。

 そんな彼女はライムは持て余す――こともなく、絶妙な距離感を保っている。

 アネットは幸せ絶頂と言った様子だったが、一方のルビーとマリンはレンジにジト目を向けた。

 それを受けた彼は小さく肩をすくめ、苦笑交じりに言い放つ。


「すまないね、姫君たち。 アネットはライムくんの、大ファンなんだよ。 最初は見た目が好みだったようだが、その後の彼の言動を追い掛けて、ますますのめり込んだらしいね」

「お父様の素晴らしさを理解していることは、評価に値しますが……」

「あんまり近付き過ぎるのは、ちょっと見過ごせないんだけど……」

「はは。 心配しなくても、アネットにそう言う意図はないよ。 彼女はライムくんを崇拝している節すらあって、恋愛対象とはまた違うんだ」

「それが本当なら良いのですが……」

「油断は禁物ね……」


 複雑そうな顔付きで、ライムとアネットを見やる双子。

 その間も彼らは服を吟味しており、ライムの問にアネットは逐一答えていた。

 視線を交換したルビーとマリンは、一旦様子を窺うことにして、暇潰しにに店内を見て回る。

 それから暫くして、ライムはいくつかの服を持って帰って来た。

 ライムの買い物が終わったと思った娘たちは、どことなくホッとした様子だったが――


「2人とも、これを着てみてくれるか?」

『え?』

「何か買うと言う約束だっただろう? 気に入るかは、わからないが」

「パパ、あたしたちの服を選んでたの!? すっごく嬉しいんだけど!」

「お父様……わたくし、感激です!」

「大袈裟だな。 サイズの問題もあるから、合わせてみてくれ」

「うん!」

「少々お待ち下さい!」


 ルンルン気分で試着室に入る、ルビーとマリン。

 上機嫌な彼女たちを見て、ライムは苦笑をこぼしていた。

 そこに歩み寄って来たレンジは、軽くライムの脇を肘で小突いて言い放つ。


「いやはや、キミも中々やるじゃないか。 サプライズでプレゼントするなんて」

「わたしに、サプライズのつもりはありませんでしたが。 この店に入ったのは、最初から彼女たちの服を選ぶ為でした」

「流石はライム様です! プレゼントしてもらえるガキども……ではなく、お嬢様たちが羨ましくてたまりません!」

「アネットさんが手伝ってくれたお陰で、良い服が見付かりました。 有難うございます」

「そ、そそそそそ、そんな! こ、こちらこそ、お手伝いさせて下さって、感謝の極みです!」

「アネット、普段からそれくらいのモチベーションで、接客して欲しいんだけど?」

「お断りに決まってやがります。 テメェがキリキリ働けば済む話だろうがです」

「本当に……やれやれだよ」


 苦笑を堪え切れない様子のレンジ。

 そんな彼に、冷たい眼差しを突き刺していたアネットだが、ぐりんと首を巡らせてライムに願い出た。


「あ、あの、ライム様! よろしければ、握手して頂けませんか!?」

「構いませんが」

「……ッ!? はぅ……」


 アネットが意を決したように差し出した手を、ライムはタイムラグなく掴んだ。

 思わぬ反応に彼女の思考はショートし、ふらりと倒れる。

 それを受け止めたライムだが、このことを知ったら彼女は息絶えるかもしれない。

 レンジは本気でそう思っていたが、ライムは手早く行動に移っていた。


「どうやら気を失ったようです。 レンジさん、アネットさんを休ませられる場所はありますか?」

「あぁ、奥の控室なら大丈夫だろう」

「わかりました。 わたしがこのまま、連れて行っても構いませんか?」

「良いけど、本人には内緒にしてくれるかい?」

「心得ています」


 ライムとて、アネットが自分に並々ならぬ想いを持っていることには、とっくに気付いている。

 ただし、だからと言ってどうこうするつもりはない。

 ある意味で無慈悲だが、それが彼のスタンスだった。

 レンジに案内されたライムは控室に入り、アネットを寝かせる。

 彼女の状態が問題ないことを確認した2人が、店の方に戻ると――


「あ、パパ! どうかな!?」

「に、似合っているでしょうか……?」


 天使たちが待っていた。

 言うまでもなく、ルビーとマリン。

 彼女たちが着ているのは、ワンピースにカーディガンと言う、シンプルな組み合わせ。

 ルビーのワンピースは薄いピンクで、カーディガンは鮮やかな赤。

 対するマリンは薄い紫と、美しい青。

 本人たちの雰囲気も相まって、同じデザインでも受ける印象はまるで違う。

 何より、超が付くほどの美少女である2人が着ると、非常に可愛らしい。

 レンジも思わず言葉を失っていたが、ライムは満足そうに頷いて、娘たちの頭を撫でながら告げた。


「とても良く似合っている。 2人とも、凄く可愛いぞ」

「えへへ~。 有難う、パパ! 大事にするね!」

「わたくしも、一生の宝物にします!」

「それほど喜んでくれると、わたしも嬉しい。 では、レンジさん。 服はこのまま着て帰るので、会計をお願いします」

「……うん、わかったよ。 お買い上げ有難う」


 尚も衝撃を受けていたレンジだが、なんとか現実に復帰して会計を済ませた。

 そうして衣装チェンジした双子を引き連れて、ライムは店をあとにする。

 3人の背中をレンジは感心したように見つめていたが、あることが気になった。


「……うん? そう言えば、最初に来ていたドレスはどうしたんだろう」


 手ぶらで出て行ったハワード一家を思い出し、小首を傾げるレンジ。

 しかし、すぐにそんな余裕はなくなる。


「レ、レンジ、ライム様は……?」

「おや、目が覚めたかい、アネット。 彼らなら、ついさっき帰ったよ」

「はぁ!? どうして起こしやがらないんですか!? ライム様をお見送り出来なかっただなんて! このアネット=プレソー、人生最大の不覚だろうがです!」

「そんなこと言われても、気を失ってたんだから仕方ないだろう?」

「だから、起こしやがれです! 罰として、買って来た昼飯は抜きだです!」

「そ、それは酷いよ。 僕、今日はまだ何も……」

「うるせぇです! テメェは良いから、店番でもしてろです!」


 肩を怒らせて、控室に引っ込むアネット。

 聞く耳を持たない彼女に嘆息したレンジは、空腹と戦い続けるのだった。

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